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2007.9

 グラインドハウス 「グラインドハウス」の画像です

 クエンティン・タランティーノ監督の「デス・プルーフ in グラインドハウス」とロバート・ロドリゲス監督「プラネット・テラー in グラインドハウス」。キッチュな低予算映画であるグラインドハウス映画への熱いオマージュに満ちた2007年の珍作だ。

 ねちっこい視線を堪能できる「デス・プルーフ 」、ぶっ飛んだB級ゾンビ映画の「「プラネット・テラー」。タランティーノ監督の俳優としての演技も楽しめる。アメリカでは、一緒に上映されたが、日本では別々に公開された。連続上映でなければ、間に挟まる遊び心に満ちた架空の予告編など、グラインドハウスの味わいは出ない。その点が残念だった。


 スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ 「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」の画像です

 源平合戦と西部劇をミックスした全編英語の活劇。監督は三池崇史。ストーリーはむちゃくちゃだが、マカロニウエスタンと日本の様式美へのオマージュに満ちている。

 伊藤英明、佐藤浩市、伊勢谷友介、安藤政信、石橋貴明、木村佳乃、香川照之、桃井かおり、クエンティン・タランティーノというキャスティングがすごい。北島三郎の主題歌というのも驚き。ただ、桃井かおり以外の人物造形が薄かったのが、残念。木村佳乃の熱演は印象に残った。タランティーノもしっかりした役どころ。間違いなく意欲作だが、荒削りの面が目立つ。三池監督の持ち味でもあるが、もう少し丁寧に仕上げたら歴史的な快作になっただろう。


 SAPPOROショートフェスト2007 「SAPPOROショートフェスト2007」の画像です

 SAPPOROショートフェスト2007が、9月13-17日に行われた。私は15プログラム127作品を見ることができた。また、アワード受賞式で、審査委員や受賞監督のあいさつを聞くこともできた。そのすべてを報告するわけにはいかないので、一部の作品について紹介する。応募作品を厳選した作品部門11プログラムとフイルムメーカー部門3プログラム、そして招待プログラムで構成されていた。招待プログラムでは、オーストラリアショートを見たが、どの作品も殺人や死をテーマにしていた。この暗さ、重さは偶然できないだろう。確実に時代を反映している。

 作品部門のI-A 「まぶしい笑顔」は、いかにもラテン系のコメディ「パコおじさんの夏」でスタートした。なかでも、[観客賞][最優秀ノンダイアログ賞]を受賞した「遠い記憶」が、強い印象を残した。ナチス時代の過去と現在が、風船でつながる奇跡の再会劇。ラストのまぶしい笑顔が忘れられない。I-B 「感性派のあなたに」では、数々のアニメーション映画祭で賞を受賞しているスイスのアニメーション作家ジョルジュ・シュヴィツゲベルの「JEU」が高い技術力をみせつけた。見とれる。I-C 「映画好きもびっくり」は、[最優秀編集賞]の「アウトサイド」、[最優秀ミニショート賞]の「エッグ」など、傑作ぞろいだったが、[最優秀ベリーショート賞]に輝いた2分間の「ティース」の一発芸にしびれた。これぞ、ショートフイルムの醍醐味。I-D 「ディスカバリーズ」では「川辺のマーケット」が[最優秀撮影賞]を受賞。カメラアングルが多彩で,子供が可愛い。

 I-E「アーバンライフ」では、軽い「イヴェットの朝」が笑える。自分でもしそうなドジぶり。そして自分勝手な妄想のおかしさ。I-F「 新機軸の魅力」は、充実のプログラム。[作品部門グランプリ][最優秀脚本賞]を獲得した「交渉の結末」は、乳児の売買をめぐる最も重い作品。 文化の違いなどを巧みに織り込んだ脚本がとてもよい。短い会話が練られている。「D.I.Y」も[最優秀コンテンポラリー・ショート賞][最優秀美術賞]のダブル受賞。人々が知らずにシンクロしていく快感。 I-G 「女性におすすめ」では、化粧の持つ意味に迫った濃厚で、しかもかわいらしい作品「一枚の写真」が印象に残った。I-H 「人間模様」では、会社人間の悲哀を描いた[最優秀男優賞]の「本日欠勤」が、他人事に思えなかった。消防士のパフォーマンス「もえる男」も、笑えた。大人から子供まで楽しめる「チルドレン」プログラムは、粒ぞろいの作品のなかで、特に意表をつくアニメ「偉大な音楽家」が面白かった。

 国内・道内作品では、アニメ「レッツゴー番長デッドオアアライブ完全版」の力技に脱帽した。不良のけんかから始まって宇宙にまで広がる壮大なドラマ。[最優秀国内作品賞]の「Ohayo 」は、ストーリーよりも料理などの映像が魅力的だった。[最優秀北海道作品賞]の「花魁ノ詩(オイランノウタ)」は、しっかりとした出来。そして、札幌在住監督のアニメ「KUROMAME」が、最優秀チルドレン・ショート賞に輝いたことを喜びたい。私のとても好きな坂元友介監督の「蒲公英の姉」 は、非凡な発想を巧みにまとめあげていた。

 フィルムメーカー部門は、5人の監督がノミネートされた。オリジナリティと多様性を兼ね備えたサイモン・エリス監督が、グランプリを獲得した。しかし私にとっては、子供向けのメルヘンだけでなく、想像以上に多彩な表現を駆使していたワン・パブロ・ザラメーラ監督の作品に出会えたことが、今年の最大の収穫だった。そして中尾浩之監督と真島理一郎監督の作品に涙が出るほど笑った。なかでも「日本ボウリング機構CM」は、傑出していた。


 まぶしい嘘 「まぶしい嘘」の画像です

 長沼里奈監督の映画「まぶしい嘘」を札幌芸術の森で体験してきました。上映会場の絵画アトリエは、札幌芸術の森の一番奥にありました。野外ステージ前の細い道を登ると、木々の間にひっそりと建っていました。突然、映画の一シーンのように、画家が登場、キャンバスに向かって絵を描くパフォーマンスから、映画の上映に移りました。やるなあ。洗練された映像と少しぎこちない展開のドラマ。新しい長沼ワールドを、監督の臨んだ、素敵な環境の中で体験しました。


 ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版 序」の画像です

 「新世紀エヴァンゲリオン」を、現在の技術水準で再構築した。手づくり感を生かしつつ、精緻で圧倒的に美しく、すごみがある。宇多田ヒカルのテーマソング「Beautiful World」が、あまりにもぴったりとマッチしていた。


 
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