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 愛してる、愛してない...  「愛してる、愛してない...」の画像です

 2002年作品。フランス映画。96分。配給=コムストック。監督=レティシア・コロンバニ 。脚本=レティシア・コロンバニ 。脚本協力=キャロリーヌ・ティヴェル 。キャスティング= ピエール=ジャック・ベニシュー 。撮影監督=ピエール・エム 。スチール=ジャン=クロード・ロテール 。サウンドオペレーター=マルク=アントワーヌ・ベルダン 。美術監督=ジャン=マルク・ケルデリュー 。衣裳デザイナー=ジャクリーヌ・ブシャール 。メイクアップ(オドレイ・トトゥ)=ジャン=クリストフ・ロジェ 。メイクアップ=アニック・ルグー 。ヘアドレッサー(オドレイ・トトゥ)=ジョン・ノレ 。ヘアドレッサー=ジャン=ピエール・カミナド 。編集=ヴェロニク・パルネ 。サウンドミキサー=シリル・オルツ 。音楽=ジェローム・クレ 。製作総指揮=ドミニク・ブリュネ 。製作プロダクション=テレマ 。製作協力=TF1フィルム・プロダクション、TPSシネマ 。製作=シャルル・ガソ。アンジェリク=オドレイ・トトゥ(Audrey Tautou) 、ロイック=サミュエル・ル・ビアン 、ラシェル=イザベル・カレ 、ダヴィッド=クレマン・シボニー 、エロイーズ=ソフィー・ギルマン 、ジュリアン=エリック・サヴァン 、クレール・ベルモン=ミシェル・ギャレー 、アニタ=エロディ・ナヴァール 、ジャンヌ=カトリーヌ・シレ 、レア=マティルド・ブラシュ 、アルチュール=シャルル・シュヴァリエ 、ジャン=ルイ=ミカエル・ムーロ 、ジャン・タンボー=ヤニック・アルネ 、ソニア・ジャスマン=ナタリー・クレブス


 pin「アメリ」のオドレイ・トトゥが主演している注目作。監督・脚本は、26歳の女性、レティシア・コロンバニ。最初の可愛らしい映像を見せられて、まんまと騙された。「アメリ」を観てから制作したわけではないが、オドレイ・トトゥのチャーミングなイメージが広まっていたことで、この作品の切れが格段に良くなったと思う。観客動員効果も含めて、幸運な映画だ。

 パンフレットを買うと、「観賞後にお読みください」という帯封がされていた。ネタバレを避けながら映画評を書くことが難しい。一輪の薔薇がとても重要なカギになっている。これくらいは書いてもいいだろう。「あなたがバラをくれたから、私は心にケガをした」という宣伝コピーは、とても上手い。中盤に驚くべき視点のどんでん返しがある。そして、映画の後半は、それを丁寧に解き明かしていく構成だ。本当に懇切丁寧に辻褄を合わせていく。無気味に変化していくアンジェリクの美術作品は迫力満点。最後の薬アートは必見だ。おっと、ネタバレかな?


 マトリックス リローデッド  「マトリックス リローデッド」の画像です

 2003年作品。アメリカ。138分。配給=ワーナー・ブラザーズ映画。監督・脚本=アンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー。製作=ジョエル・シルバー。製作総指揮=ブルース・バーマン。撮影=ビル・ポープ。編集=ザック・スティンバーグ。音楽=ドン・デイビス。プロダクションデザイン=オーウィン・パタソン。視覚効果スーパーバイザー=ジョン・ゲイター、ジャネク・シルス。特殊効果スーパーバイザー=クレイ・ピネイ。コンセプトデザイナー=ジェフリー・ダロウ。カンフーコレオグラファー=ユアン・ウー・ピン。SFX=バレットタイム、ILM、マネックス・ビジュアル・エフェクツ、スペクトラム・スタジオ。VFX=ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス。ネオ/トーマス・A=アンダーソン=キアヌ・リーブス、モーフィアス=ローレンス・フィッシュバーン、トリニティー=キャリー=アン・モス、エージェント・スミス=ヒューゴ・ウィービング、エージェント・トンプソン=マット・マッカラム、ニオベ=ジャダ・ピンケット・スミス、パーセフォニー=モニカ・ベルッチ、メロビンジアン=ランバート・ウィルソン、カイン=ハロルド・ペリノー・ジュニア、ロック=ハリー・J・レニックス、キッド=クレイトン・ワトソン、エージェント・ジョンソン=ダニエル・バーンハート


 先々行レイトショーで、待望の「マトリックス リローデッド」を観た。爆笑アクション映画だ。私は、前作「マトリックス」のいかがわしさを批判したが、あれから4年。世界は、「マトリックス」のようにいかがわしさを増している。 世界の「マトリックス」化は、確かに進んでいる。「リローデッド」は、荒唐無稽さを加速、それに居直る形で笑えるほど複雑化している。そう、笑って楽しむべきなのだ。すべてを蹴散らして猛スピードで飛ぶネオのスーパーマンぶりには笑うしかない。ザイオンに住んでいる解放されたはずの人類に、あまり知性を感じないのも笑える。「何が真実なのか」「本当の自由はあるのか」「システムの外に出ることは可能か」という問いも発せられている。たしかに根源的な問いだ。しかし、答えはいつも平凡に終わるもの。次回に期待してはいけない。

 カーチェイス・シーンは、これまで観たことがないくらいに素晴らしい。CGが発達したからではない。実際に何キロものハイウエイを建設して撮影するという無謀な試みが、この迫力を生んでいる。前作で話題になったアイデアは、ほとんど「ブレイド」(スティーブ・ノリントン監督)が先取りしていたが、とびきりめりはりの利いたカーチェイスは新しい地平を切り開いたと言える。カンフーシーンは長過ぎるきらいがあるものの、アクションはかなり工夫している。キアヌ・リーブスもキャリー=アン・モスも優美で決まっている。モニカ・ベルッチのパーセフォニーは、奇妙な役で、理解不能。ただ、美しさは人間離れしていた。最後には、全員フィギュアに見えてくる。「マトリックス」万歳。

 エンドロールが始まっても、席を立たないこと。最後に次回作「レボリューションズ」の予告編が待っている。


 めぐりあう時間たち  「めぐりあう時間たち」の画像です

 2002年作品。アメリカ映画。115分。配給=アスミック・エース、松竹。監督=スティーヴン・ダルドリー。制作=スコット・ルーディン、ロバート・フォックス。製作総指揮=マーク・ハッファム。原作=マイケル・カニンガム。脚色=デイヴィッド・ヘア。撮影=シーマス・マクガーヴィ、BSC。プロダクション・デザイン=マリア・ジャーコヴィク。音楽=フィリップ・グラス。衣装デザイン=アン・ロス。編集=ピーター・ボイル。キャスティング=パッツィ・ポロック、ダニエル・スウィー。ヴァージニア・ウルフ=ニコール・キッドマン、ローラ・ブラウン=ジュリアン・ムーア、クラリッサ・ヴォーン=メリル・ストリープ、レナード・ウルフ=スティーヴン・ディレイン、ヴァネッサ・ベル=ミランダ・リチャードスン、クエンティン・ベル=ジョージ・ロフタス、ジュリアン・ベル=チャーリィ・ラム、アンジェリカ・ベル=ソフィ・ウィバード、ロッティ・ホープ=リンジー・マーシャル、ネリィ・ボクサール=リンダ・バセット、レイフ・パートリッジ=クリスチャン・クールスン、医者=マイケル・カルキン、ダン・ブラウン=ジョン・C・ライリー、キティ=トニ・コレット、リッチー=ジャック・ロヴェロ、ラッチ夫人=マーゴ・マーティンゲイル、ホテルのフロント=コリン・ステイトン、リチャード=エド・ハリス、サリー=アリスン・ジャニー、ジュリア・ヴォーン=クレア・デインズ、ルイス・ウォーターズ=ジェフ・ダニエルズ、花屋のバーバラ=アイリーン・アトキンズ、隣人=カルメン・デ・ラヴァラーデ、ロドニー=ダニエル・ブロックレバンク


 1923年のイギリス・ロンドン郊外で「ダロウェイ夫人」を執筆しているバージニア・ウルフ。1951年のロサンジェルスで「ダロウェイ夫人」を読んでいる妊娠中の主婦ローラ・ブラウン。そして2001年のニューヨークで長年の友人であるエイズの詩人から「ミセス・ダロウェイ」と呼ばれている編集者クラリッサ・ヴォーン。3つの時代、3人の女たちは、日々の生活に違和感を感じながら、生きている。3人の一日が並行して描かれ、かすかに出会い、そしてすれ違う。分かりやすい作品ではないが、重苦しい雰囲気ではない。柔らかな色調の映像とともに進む物語に静かに浸りながら、さざ波のような内省が始まる。それは新鮮な心の動き。豊かな時間とのめぐりあいだ。

  ニコール・キッドマンは、顔を変え個性を消し去り、自死へと傾斜していくバージニア・ウルフの立ち振るまいに徹し、見事第75回アメリカアカデミー賞の主演女優賞に輝いた。メリル・ストリープの激しく揺れ動く感情表現には、何時も引き込まれる。収穫だったのはジュリアン・ムーア。いつもはどこかよそよそしい演技が、今回の違和感を抱える主婦にぴったり。妊娠中に自殺しようと試みる難しい役どころをこなした。そして、子役が印象的。子どもたちのまなざしは、大人たちの苦悩を見通しているように鋭く、しかし温かかった。


 あずみ  「あずみ」の画像です

 2003年作品。日本映画。142分。配給=東宝。監督=北村龍平。製作統括=児玉守弘、 気賀純夫 、亀井修、坂上直行。企画=濱名一哉 、遠谷信幸。プロデューサー=山本又一朗、中沢敏明。脚本=水島力也 、 桐山勲。原作=小山ゆう。共同プロデューサー=佐谷秀美。ライン・プロデューサー=大里俊博、青木弥枝美。美術監修=西岡善信。撮影=古谷巧。照明=高坂俊秀。録音=小原善哉。美術・衣装=林田裕至。あずみ=上戸彩、最上美女丸=オダギリジョー、小幡月斎=原田芳雄、浅野長政=伊武雅刀、加藤清正=竹中直人、南光坊天海=佐藤慶、井上勘兵衛=北村一輝、佐敷一心=遠藤憲一二斎=清水一哉、三蔵=坂口 拓、飛猿=松本 実、うきは=成宮寛貴、ひゅうが=小橋賢児、あまぎ=金子貴俊、ながら=石垣佑磨、なち=小栗旬、ゆら=佐野秦巨、あわ=鈴木信二、ひえい=瑛太、こもろ=山口翔悟


 チャンバラ映画は、こうでなければ!!。超ハイテンションアクション映画「VERSUS」の北村龍平監督が、時代劇の殺陣シーンの面白さを思い出させてくれた。「七人の侍」に匹敵する快挙だ。カメラワークの素晴らしさは、どうだろう。編集の巧みさは唖然とするばかり。惚れ惚れと見とれた。刺客という過酷な物語を極上のエンターテインメントに仕上げている。多少の欠点は気にならない。

 あずみを演じた上戸彩は、あどけない笑顔と怒りに満ちた意志的な表情を見事に使い分けた。刀さばきも決まっている。殺人を愛する最上美女丸役のオダギリジョーが、むちゃくちゃかっこいい。真っ白の風に揺れる衣装に真紅の薔薇を持つという、時代考証を超越した絵づくりも支持したい。二人の対決シーンの斬新なアイデアとスピード感がたまらない。


 魔界転生  「魔界転生」の画像です

 2003年作品。 日本映画。105分。配給=東映。監督=平山秀幸。原作=山田風太郎(角川文庫版)。脚本=奥寺佐渡子。衣裳デザイン=ホリ・ヒロシ。企画=遠藤茂行、大川裕、奥田誠治。プロデューサー=天野和人、赤井淳司、佐藤 敦、妹尾啓太、出目宏。撮影=柳島克己。音楽=安川午朗。編集=川島章正、洲崎千恵子。照明=杉本崇。美術=松宮敏之。整音=瀬川徹夫。録音=松陰信彦。技斗=清家三彦。特撮監督=佛田洋。視覚効果統括=橋本満明。特殊メイク=原田智生。天草四郎=窪塚洋介、柳生十兵衛=佐藤浩市、クララお品=麻生久美子、徳川頼宣=杉本哲太、おひろ=黒谷友香、お雛=吹石一恵、伊達小三郎=高橋和也、荒木又右衛門=加藤雅也、宝蔵院胤舜=古田新太、柳生但馬守=中村嘉葎雄、宮本武蔵=長塚京三


 「愛を乞うひと」「OUT」の平山秀幸監督なので、1981年の深作版とは違った、ひねりを見せてくれるのではないかと期待していた。しかし、写実的な時代劇と控えめなホラーCGをつなぎ合わせただけの、退屈で盛り上がりに欠ける作品になった。主題がはっきりせず、最後まで、ハラハラ、ドキドキ感がなかった。一方、深作欣二監督は、山田風太郎の忍法帖小説「魔界転生」に反権力、禍々しさ、官能性を見い出し、ケレン味たっぷりに演出、わくわくする面白さがあった。

 ホリ・ヒロシの衣装には首を傾げた。とりわけ天草四郎の衣装は、勘違いではないか。深作作品の辻村ジュサブローの耽美的なデザインに遠く及ばない。窪塚洋介が天草四郎を演じたのも疑問だ。彼の色気は、天草四郎の色気とは違う。柳生十兵衛役の佐藤浩市も、センが細い。どうしても沢田研二、千葉真一と比べてしまう。クララお品を演じた麻生久美子に、とろけるような妖艶さを期待するのは無理だろう。


 
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