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2005.8


  ハッカビーズ 「ハッカビーズ」の画像です

 2004年作品。アメリカ映画。107分。配給=日本ヘラルド映画。監督=デヴィッド・O・ラッセル(David O. Russell)。製作=グレゴリー・グッドマン(Gregory Goodman)、スコット・ルーディン(Scott Rudin)、デヴィッド・O・ラッセル(David O. Russell)。製作総指揮=マイケル・クーン(Michael Kuhn)。脚本=デヴィッド・O・ラッセル(David O. Russell)、ジェフ・バエナ(Jeff Baena)。撮影=ピーター・デミング(Peter Deming)。美術=K・K・バレット(K.K. Barrett)。編集=ロバート・K・ランバート(Robert K. Lambert)。音楽=ジョン・ブライオン(Jon Brion)。アルバート・マルコヴスキー=ジェイソン・シュワルツマン(Jason Schwartzman)、ブラッド・スタンド=ジュード・ロウ(Jude Law)、ベルナード=ダスティン・ホフマン(Dustin Hoffman)、ヴィヴィアン=リリー・トムリン(Lily Tomlin)、トミー・コーン=マーク・ウォールバーグ(Mark Wahlberg)、カテリン=イザベル・ユペール(Isabelle Huppert)、ドーン=ナオミ・ワッツ(Naomi Watts)


 環境保護団体の支部長を務めるアルバートとスーパーマーケット「ハッカビーズ」の新店舗建築計画を実現しようとするエリート社員ブラッドの関係を中心に描く不思議なコメディ。ジュード・ロウとナオミ・ワッツの喜劇が楽しめるという新しい発見はあるが、ストーリーはぎくしゃくしている。エコロジストの葛藤やスーパーマーケットの矛盾をうまく噛み合わせられず、ばたばた騒いでいるだけだ。

 実存主義を説く哲学探偵が登場するが、どうみてもセラピストだ。アメリカにはセラピストがあふれている。もっともらしい説教が鼻につく。ラストは、全体への融合でも孤独な個でもなく具体的な関係性が大切という月並みな結論。ダスティン・ホフマンら豪華なキャストが生かされていないが、シニカルなフランス人思想家カテリンを演じたイザベル・ユペールの存在感だけは、傑出していた。


  ランド・オブ・ザ・デッド 「ランド・オブ・ザ・デッド」の画像です

 2005年作品。93分。アメリカ・カナダ・フランス合作。配給=UIP。監督・製作=ジョージ・A・ロメロ(George A. Romero)。製作総指揮=スティーヴ・バーネット、デニス・E・ジョーンズ。製作=マーク・カントン、バーニー・ゴールドマン、ピーター・グランウォルド。製作総指揮=スティーヴ・バーネット、デニス・E・ジョーンズ。撮影=ミロスラフ・バシャック。プロダクション・デザイナー=アーヴ・グレイウォル。編集=ミッシェル・ドハーティー 。特殊メイクアップ=グレッグ・ニコテロ 、ハワード・バーガー。衣装=アレックス・カヴァナフ。音楽=ラインホルト・ハイル、ジョニー・クリメック。特殊メイクアップ=KNB エフェクト・グループ。ライリー=サイモン・ベーカー(Simon Baker) 、チョロ=ジョン・レグイザモ(John Leguizamo)、カウフマン=デニス・ホッパー(Dennis Hopper)、スラック=アーシア・アルジェント、 チャーリー=ロバート・ジョイ、ビッグ・ダディ=ユージン・クラーク、フォトブース・ゾンビーズ=サイモン・ペッグ、エドガー・ライト、 橋守ゾンビ=グレッグ・ニコテロ


 ゾンビの生みの親ジョージ・A・ロメロ監督の新たなるゾンビ映画ということで期待してきた。予告編もなかなか良くできていた。しかし作品を観て、がっかり。ロメロ・ゾンビらしさが乏しい。人間に近くなる「進化したゾンビ」というアイデアは、ゾンビ映画の自殺行為ではないか。エイリアンが人間くさくなるとともに魅力が失われたように、人間くさいゾンビは怖くない。人間との差異を踏まえたアイデアで勝負してもらいたかった。先頭を歩いている指導的なゾンビが、最後まで撃ち殺されないのも不思議だ。

 高層ビルで安全に暮らす裕福な支配者層、恐怖に怯えて生きるスラム層、その周りにうごめく圧倒的多数のゾンビ。そのゾンビたちが武器を持ち、集団行動をとって要塞都市に侵入、権力者たちを滅ぼす。現在のアメリカの抱える差別や恐怖を反映したストーリーかもしれないが、物語の構造は古くさい。「ドーン・オブ・ザ・デッド」(ザック・スナイダー監督、2004年)の方が、アメリカの抱える恐怖心をストレートに反映していたと思う。登場人物も、誰一人魅力を感じない。デニス・ホッパーはなんでつまらない権力者を演じたのだろう。


  ノロイ 「ノロイ」の画像です

 2005年作品。日本映画。115 分。配給=ザナドゥー。監督=白石晃士。プロデューサー=一瀬隆重(Takashige Ichise)。松本まりか、アンガールズ、荒俣宏、飯島愛、高樹マリア、ダンカン


 行方不明となった怪奇作家が残した「呪い」をテーマにしたドキュメンタリービデオ映像。バラエティ番組や事件のテレビ映像、新聞、雑誌の記事と、事実に見せ掛けたスタイルをとる。さらにインターネットを活用して虚実をあいまいにするという手法は、まさに日本版「ブレアウィッチ」だ。ドキュメンタリー形式で謎と恐怖を盛り上げる新しい怪奇映画として評価するか、怪奇ビデオ作品のあざとい手法を真似た駄作と見るか。評価は分かれるだろう。ただ、有名人をスポット的に登場させ、おぞましい出来事を巧みに組み合わせた構成は、最後まで飽きさせない。私は、久々に無気味な悪寒に襲われた。見終わった後も嫌な気配が長く続いた。

 「禍具魂(かぐたば)」という謎の言葉が、不思議と耳に残る。さまざまな怪奇現象が、下鹿毛村という1978年にダムに沈んだ村で行われていた「鬼祭」につながっていく展開も興味深い。そして、松本まりかの演技は特筆すべきレベルだ。作品のリアリティを支えた。「霊体ミミズ」を警告し全身をアルミで覆った霊能力者・堀光男、かつて鬼祭で「かぐたば」を演じて豹変した禍々しい石井潤子、11歳の可憐な超能力少女・矢野加奈。これらの役を演じた無名の俳優たちにも大きな拍手を贈りたい。それぞれ演技賞ものだ。そうそう、怪奇実話作家・小林雅文役も忘れてはいけない。エンドクレジットが一切ないので名前が分からないが。


  メタリカ :真実の瞬間 
 METALLICA : SOME KIND OF MONSTER
「メタリカ :真実の瞬間」の画像です

 2004年作品。アメリカ映画。141 分。配給=パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン。監督=ジョー・バーリンジャー(Joe Berlinger)、ブルース・シノフスキー(Bruce Sinofsky)。製作=ジョー・バーリンジャー(Joe Berlinger)、ブルース・シノフスキー(Bruce Sinofsky)。製作総指揮=ジョン・ケイメン(Jon Kamen)、フランク・シャーマ(Frank Scherma)。撮影=ロバート・リッチマン(Robert Richman)、ウォルフガング・ヘルド(Wolfgang Held)。ジェームズ・ヘットフィールド(James Hetfield)=メタリカ・ボーカル、ギター、ラーズ・ウルリッヒ(Lars Ulrich)=メタリカ・ドラム、カーク・ハメット(Kirk Hammett)=メタリカ・ギター、クリフ・バートン(Cliff Burton)=元メタリカ・ベース(1986年没 享年24歳)、ジェイソン・ニューステッド(Jason Newsted)=元メタリカ・ベース(1986年〜2001年在籍)、ロバート・トゥルージロ(Robert Trujillo)=メタリカ・ベース(2003年加入)、デイヴ・ムステイン(Dave Mustaine)元メタリカ・リードギター(1981年〜1983年在籍)、ボブ・ロック(Bob Rock)=レコード・プロデューサー(アルバム「セイント・アンガー」ではベースも担当)、フィル・トウル(Phil Towle)=セラピスト兼パフォーマンス向上のアドバイザー(2001年初頭にメタリカのマネジメント、Qプライムの要請でバンドに雇われた)


 奇跡のような音楽ドキュメンタリー。1981年の結成からヘヴィメタル界の頂点に君臨するスーパーバンド・メタリカが、解散の危機に直面した2001年からニューアルバムを完成させるまでの3年間のメンバー間の確執や各人の苦悩や葛藤を記録している。ニューアルバムのレコーディングには、分裂回避のためにセラピストが参加するという前代未聞の手段がとられた。攻撃的なヘヴィメタバンドが、セラピー受けながらレコーディングするという笑えない事実。人間的な弱さや脆さも写し出される。

 バンドのイメージが壊れることをいとわずに、カメラを回し続け、それを公開するということは、勇気のいることだ。しかし赤裸々に己をさらけだすという点では、ヘヴィメタルの魂と重なる。そして人間的な対立が音楽を通じて和解ヘと至るプロセスは、やはり感動的だ。アルバム制作の過酷な実態も明らかにされる。観終わると、無性にアルバムが聞きたくなる。


 妖怪大戦争 「妖怪大戦争」の画像です

 2005年作品。日本映画。124 分。配給=松竹。監督=三池崇史。製作=黒井和男。プロデューサー=井上文雄、清水俊。プロデュース=水木しげる(プロデュースチーム「怪」)、荒俣宏(プロデュースチーム「怪」)、京極夏彦(プロデュースチーム「怪」)、宮部みゆき(プロデュースチーム「怪」)。製作総指揮=角川歴彦。企画=佐藤直樹。脚本プロデュース=荒俣宏。脚本=三池崇史、沢村光彦、板倉剛彦。撮影=山本英夫。特殊メイク=松井祐一。美術=佐々木尚。デザイン=百武朋 (妖怪デザイン)、井上淳哉(妖怪デザイン)、竹谷隆之(妖怪デザイン)、韮沢靖(機怪デザイン)。造型=松井祐一、百武朋。編集=島村泰司。主題歌=忌野清志郎『愛を謳おう』。CGIディレクター=太田垣香織。CGIプロデューサー=坂美佐子。スタントコーディネート=辻井啓伺。音響効果=柴崎憲治。企画協力=郡司聡。照明=木村匡博。操演=鳴海聡。装飾=西尾共未。録音=中村淳。妖怪キャスティング=京極夏彦。  稲生タダシ=神木隆之介、佐田(雨上がり決死隊)=宮迫博之、稲生陽子=南果歩、稲生タタル=成海璃子、「怪」編集長=佐野史郎、宮部先生=宮部みゆき、読書好きのホームレス=大沢在昌、駐在=徳井優、アナウンサー=板尾創路、屋台のオヤジ=ほんこん、よういちの父=田中要次、阿倍晴明=永澤俊矢、大人のタダシ/タダシの父=津田寛治、牛舎の農夫=柄本明、稲木俊太郎=菅原文太、猩猩=近藤正臣、川姫=高橋真唯、川太郎=阿部サダヲ、一本だたら=田口浩正、大天狗=遠藤憲一、砂かけ婆=根岸季衣、ろくろ首=三輪明日美、雪女=吉井怜、豆腐小僧(雨上がり決死隊)=蛍原徹、大首=石橋蓮司、ぬらりひょん=忌野清志郎、油すまし=竹中直人、山ン本五郎佐衛門=荒俣宏、神ン野悪五郎=京極夏彦、妖怪大翁=水木しげる、小豆洗い(ナインティナイン)=岡村隆史、鳥刺し妖女・アギ=栗山千明、加藤保憲=豊川悦司


 妖怪専門季刊誌『怪』を発行し“妖怪”を愛する水木しげる、荒俣宏、京極夏彦、宮部みゆきの4人がプロデュースチーム「怪」を結成し、1968年の妖怪映画「妖怪大戦争」を基に原案を作成、三池崇史監督が映画化した冒険ファンタジー。まず最初にネタばらしをするが、「妖怪大戦争」という題名にもかかわらず、妖怪は戦争はしていない。120万の妖怪たちは、お祭りに参加しているだけだ。悪役の加藤保憲や鳥刺し妖女・アギと闘ったのは、主人公の稲生タダシと川太郎、川姫くらい。偶然最後に小豆洗いが活躍する。戦争に対して祭りで対処するとは、なかなかの卓見だ。着ぐるみとCGのミスマッチも「スターウォーズ」みたいで面白い。

 怖いというよりも、楽しく笑える作品。大半の妖怪たちがやる気がなく脱力しているのがおかしい。ただ好奇心だけはある。妖怪を個性的な俳優たちが演じている。油すましの竹中直人は、そのまんま。ろくろ首の三輪明日美はあたり役。夏の雪女を演じた吉井怜にもにやり。童心に返っていたので、川姫とアギのお色気対決にちょっとドッキリ。神木隆之介は相変わらず上手だが、パワーは川太郎役の阿部サダヲが一枚上だった。ぼけたじいちゃんを演じた菅原文太もさすが。いろいろ笑わせてくれた。ガメラネタをはじめ随所にくすくす笑えるギャグがちりばめられている。ただ、麒麟送子の物語だからといってキリンビールが出てきて、飲むと妖怪が見えるようになるという設定はやりすぎな感じ。そこまでスポンサーに媚びなくても。


 リンダ リンダ リンダ 「リンダ リンダ リンダ」の画像です

 2005年作品。日本映画。114 分。配給=ビターズ・エンド。監督=山下敦弘。プロデューサー=根岸洋之、定井勇二。脚本=向井康介、宮下和雅子、山下敦弘。撮影=池内義浩。美術=松尾文子。編集=宮島竜治。音楽=ジェームズ・イハ(James Iha)。主題歌=ザ・ブルーハーツ『終わらない歌』。照明=大坂章夫。録音=郡弘道。ソン=ペ・ドゥナ(Bae Doo-na)、山田響子=前田亜季、立花恵=香椎由宇、白河望=関根史織(Base Ball Bear)、丸山凛子=三村恭代、今村萠=湯川潮音、中島田花子=山崎優子、小山先生=甲本雅裕、槙原裕作=松山ケンイチ、大江一也=小林且弥、阿部友次=小出恵介、石川友康=三浦哲郁、前園トモキ=三浦誠己、恵の母親=りりィ、中山先生=藤井かほり、飯島浩平=浜上竜也、スタジオQの店員=山本浩司、カラオケの店員=山本剛史


 企画は第1回 日本映画エンジェル大賞受賞作品。とても気持ちがよい仕上がりだ。高校生活最後の文化祭を間近に控えながら、メンバーの指骨折をきっかけにガールズバンドは空中分解。しかし新しいメンバーでブルーハーツの曲をコピーすることにした女子高生4人の奮闘を描いた学園ドラマ。少女たちの揺れ動く心と周囲の人たちの関係を、ユーモアを交えながら織り上げる。とりたてて大事件が起こるわけではないが、巧みなストーリー構成で、ラストのバンド演奏へと連れていく。「つぐみ」(市川準監督)「櫻の園」(中原俊監督)といった少女たちの群集劇を思い出した。

 韓国留学生ソン役のペ・ドゥナは、徐々に前向きになる少女を好演。うまい。「ローレライ」の香椎由宇も気が短い癖のある立花恵を魅力的に演じた。美形なだけではない。バンド演奏シーンでは、皆がきらきらと輝いている。「ドブネズミみたいに美しくなりたい。写真に写らない美しさがあるから」という「リンダ リンダ リンダ」(1987年)の歌詞のインパクトは、今も失われていない。少女たちが生まれたころに登場し、多くの若者に影響を与えたブルーハーツは、今後も確かに歌い継がれていくことだろう。


 ヒトラー 最期の12日間 「ヒトラー 最期の12日間」の画像です

 2004年作品。ドイツ・イタリア映画。155 分。配給=ギャガ・コミュニケーションズ。監督=オリヴァー・ヒルシュビーゲル(Oliver Hirschbiegel)。製作=ベルント・アイヒンガー(Bernd Eichinger)。原作=ヨアヒム・フェスト(Joachim Fest)『ヒトラー 最期の12日間』(岩波書店刊)、トラウドゥル・ユンゲ(Traudl Junge)『私はヒトラーの秘書だった』(草思社刊)。脚本=ベルント・アイヒンガー(Bernd Eichinger)。撮影=ライナー・クラウスマン(Rainer Klausmann)。音楽=ステファン・ツァハリアス(Stephan Zacharias)。アドルフ・ヒトラー=ブルーノ・ガンツ(Bruno Ganz)、トラウドゥル・ユンゲ=アレクサンドラ・マリア・ラーラ(Alexandra Maria Lara)、エヴァ・ブラウン=ユリアーネ・ケーラー(Juliane Kohler)、ヘルマン・フェーゲライン=トーマス・クレッチマン(Thomas Kretschmann)、マグダ・ゲッベルス=コリンナ・ハルフォーフ(Corinna Harfouch)、ヨーゼフ・ゲッベルス=ウルリッヒ・マテス(Ulrich Matthes)、アルベルト・シュペーア=ハイノ・フェルヒ(Heino Ferch)、ハインリヒ・ヒムラー=ウルリッヒ・ノエテン(Ulrich Noethen)、シェンク博士=クリスチャン・ベルケル(Christian Berkel)


 このところ、戦争をテーマにした映画を続けてみているが、「ヒトラー 最期の12日間」の緊張感は比類がない。まさに戦争映画。「ヒトラーの秘書」という一市民の目線で、指導部の崩壊と市民の悲惨が、しっかりと具体的に描かれる。ユダヤ人や障害者、少数民族を大虐殺したヒトラーが、敗北を知ると自国民の命すらないがしろにする姿勢には、あらためて驚かされる。政治家と言うより集団自殺を目指すカルト教団の教祖という感じだ。

 この作品は、ドイツ政府が後援している。60年前の戦争の歴史を伝えようとしている。ホロコーストなどが、まったく描かれていないことへの紋切り型の批判は的外れだと思う。とりわけ、イスラエルにこの作品を批判する資格はない。私たちも、現在の道を判断する時、歴史に学ぶしかない。最後に生前のトラウドゥル・ユンゲが登場し、自己批判する姿にうたれた。ヒトラーを俳優が演じた初めてのドイツ映画でもある。ブルーノ・ガンツに拍手。


 チーム★アメリカ/ワールドポリス 「チーム★アメリカ/ワールドポリス」の画像です

 2004年作品。アメリカ映画。98 分。配給=UIP。監督=トレイ・パーカー(Trey Parker)。製作=パム・ブラディ(Pam Brady)、トレイ・パーカー(Trey Parker)、マット・ストーン(Matt Stone)。製作総指揮=スコット・アヴァーサノ(Scott Aversano)、アン・ガレフィーノ(Anne Garefino)、スコット・ルーディン(Scott Rudin)。脚本=トレイ・パーカー(Trey Parker)、マット・ストーン(Matt Stone)、パム・ブラディ(Pam Brady)。撮影=ビル・ポープ(Bill Pope)。プロダクションデザイン=ジム・ダルツ(Jim Dultz)。衣装デザイン=カレン・パッチ(Karen Patch)。編集=トム・ヴォグト(Tom Vogt)。音楽=ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ(Harry Gregson-Williams)。声の出演=トレイ・パーカー(Trey Parker)、マット・ストーン(Matt Stone)、クリステン・ミラー(Kristen Miller)、フィル・ヘンドリー(Phil Hendrie)、モーリス・ラマルシュ(Maurice LaMarche)


 「サウスパーク 無修正映画版」で物議をかもしたトレイ・パーカーが、昨年2004年のアメリカ大統領選直前に完成した作品。ただし、題名のイメージとは違い、ブッシュ批判の映画ではない。「サンダーバード」のパロディとして、精密な操り人形と精巧で大規模なセットを駆使し、アメリカの独善を象徴する世界警察「チーム・アメリカ」の活躍を描く。テロリストを殺すためなら、エッフェル塔、ルーブル美術館、ピラミット、スフィンクスを破壊しても涼しい顔の彼等。さらに戦闘中も、チーム内での複雑な三角関係でぎくしゃくしている。いかにもハリウッド映画のノリ。

 トレイ・パーカーの刃は、リベラル派にも向けられ、マイケル・ムーア監督が自爆テロしたり、リベラル派俳優たちが北朝鮮とつながっていたりと、やりたい放題の展開だ。きわどい下ネタ連発で、すべてを笑い飛ばす。血まみれにする。グチャグチャにする。主人公のゲイリーは、すさまじい量のゲロを吐きまくる。18禁なのは、無修正ベッドシーンのためだけではないかもしれない。たしかに手が込んでいて批判も徹底しているが、私は「サウスパーク 無修正映画版」の方に、監督たちの反骨精神を感じる。今回は、高みに立って茶化しているように思う。

 


 
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