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 ターミネーター3  「ターミネーター3」の画像です

 2003年作品。アメリカ映画。110分。配給=東宝東和。監督=ジョナサン・モストウ。脚本=ジョン・ブランカート、マイケル・フェリス。ストーリー=ジョン・ブランカート、マイケル・フェリス、テディ・サラフィアン。製作=マリオ・F・カサール、アンドリュー・G・バイナ、ジョエル・B・マイケルズ、ハル・リーバーマン、コリン・ウィルソン。製作総指揮=モリッツ・ボーマン、ガイ・イースト、ナイジェル・シンクレア、ゲイル・アン・ハード。撮影監督=ドン・バージェスASC。プロダクション・デザイナー=ジェフ・マン。衣裳デザイン=エイプリル・フェリー。編集=ニール・トラビスACE、ニコラス・デ・トス。音楽=マルコ・ベルトラミ。エンディング・テーマ=ブルーマン・グループ「ザ・カレント」(フィーチャリング=ギャビン・ロスデイル)。ターミネーター・メイクアップ&アニマトロニクス効果=スタン・ウィンストン。VFX=インダストリアル・ライト&マジック[ILM]。デジタル・アニメーション監修=ダン・テイラー。VFX監修=パブロ・ヘルマン。SFXコーディネーター=アレン・ホール。第2班監督/スタント・コーディネーター=サイモン・クレーン。ターミネーター=アーノルド・シュワルツェネッガー、ジョン・コナー=ニック・スタール、ケイト・ブリュースター=クレア・デーンズ、 T-X=クリスタナ・ローケン、ロバート・ブリュースター=デビッド・アンドリュース、スコット・ピーターソン=マーク・ファミグリエッティ、シルバーマン博士=アール・ボーエン


 「ターミネーター2」から、じつに12年目の続編。「1」からのファンが待ち焦がれていた「ターミネーター3」だ。しかし、「さんざん待たせて、こんな出来かよ!!」と、思わず声を荒げてしまう、中身の乏しい内容でした。ターミネーター対ターミネーターの、滑稽なほどに派手な破壊シーンを大音響で楽しめますが、それだけです。ジョナサン・モストウ監督のせいではないが、何も新しさがない。

 アーノルド・シュワルツェネッガーは、55歳なのにすごい肉体美とか、女性ターミネーター役のクリスタナ・ローケンは無表情で良かったとか、トイレのバトルシーンがユニークだったとか、そういう点しかほめることができないのは悲しいことだ。

 人物がまったく描けていないことは置くとしても、せっかくの女性ターミネーターというアイデアがほとんど生かされていないのが残念。激しいバトルでも、何故衣装が破れないのか。教育上好ましくないからだろうか。なら、ターミネーターに最初から服を着せて登場させたまえ。変幻自在なのだから。唯一の見どころ、100トンのクレーンを使った派手なカーチェイスは、大掛かりではあるけれど、大味な印象をぬぐえない。


 トーク・トゥ・ハー  「トーク・トゥ・ハー」の画像です

 2002年作品。スペイン映画。113分。配給=ギャガ・コミニュケーションズ。監督・脚本=ペドロ・アルモドバル。製作総指揮=アグスティン・アルモドバル。製作=エステル・ガルシア。撮影監督=ハビエル・アギーレサロベ。音楽=アルベルト・イグレシアス。編集=ホセ・サルセド。アリシア=レオノール・ワトリング、ベニグノ=ハビエル・カマラ、マルコ=ダリオ・グランディネッティ、リディア=ロサリオ・フローレス、カタリナ=ジェラルディン・チャップリン、『縮みゆく恋人』ヒロイン=パス・ベガ。


 「オール・アバウト・マイ・マザー」から3年。新作「トーク・トゥ・ハー」は、究極の愛ならぬ究極の甘美なストーカー行為が奇跡と悲劇を生み出す物語。コミュニケーションの難しさを表現するピナ・バウシュのダンス「カフェ・ミュラー」で幕を開ける。すべてを象徴するように。物語の展開は、アルモドバル作品としては、一見静かに見える。しかし人間洞察は確実に深まっている。巧みな話術で、さまざまな愛と孤独が、対比的に描かれていく。

 まさにピナ・バウシュとのコラボレーションのような仕上がりだ。効果的に挿入されるカエターノ・ヴェローゾの「ククルクク・パロマ」の歌声も、切なく胸をうつ。 そして看護士ベニグノを演じるハビエル・カラマの静かな狂気、ほとんど昏睡状態のアリシア役レオノール・ワトリングの官能美、女闘牛士リディア役ロサリオ・フローレスの意思の振幅、ライター・マルコ役のダリオ・グランディネッティの美しい涙。いずれもが、長く心に残るだろう。ただ、最高傑作とは思わない。私にとってのアルモドバル映画とは、運命に逆らおうとパワーを発揮する個性的な人々への賛歌だ。


 田んぼdeミュージカル  「田んぼdeミュージカル」の画像です

 2003年作品。日本映画。45分。総合指導=崔洋一。監督=伊藤好一。脚本=斎藤征義。撮影=星勇。音楽=中野憲明、合田恵子、原明弘、佐藤良嗣、佐々木政俊。編集=本多紀子、小瀧真弓。美術=佐藤三男。富平源次郎=梅藤和男、富平千代=棚橋幸子、富平和富=鎌田義明、富平里子=鎌田喜美子、富平源平=安田由造、富平ウメ=佐々木ヤエ


 高齢者を中心とした穂別町民による自主映画作品。企画から編集まで全て初めての体験。しろうとが撮影し、しろうとが演技しているので、確かに限界はある。しかし、後半に向かって尻上がりに良くなった。平均年令74歳。さすがに昔の宴会シーンの盛り上がり方は、年期が入っている。

 よくある故郷自慢映画ではない。なにせ、全編とぼけた味のミュージカル仕立てなのだ。まず、とんでもないアイデアを実現してしまったのがすごい。そして、地域の映像を生かしながら描かれる穂別の歴史、米とメロン、世代間の対立と和解、戦争の傷跡と、思い出の曲によるラストの人生賛歌。なかなか、みごとな構成だ。道内212市町村で、さまざまな自主映画作品が誕生したら、素晴らしい。


 春の惑い  「春の惑い」の画像です

 2002年作品。中国映画。116分。配給=角川大映。監督=ティエン・チュアンチュアン(田壮壮)。脚本・美術監修=アー・チョン(阿城)。制作=リー・シャオホン(李少紅)。共同製作=ウィリアム・コン。撮影=リー・ピンビン(李屏賓)。衣装・美術=ティン・イップ(葉錦添)。ユイウェン(玉紋)=フー・ジンファン、リーイェン(礼言)=ウー・ジュン、チーチェン(志忱)=シン・バイチン、シュウ( 秀 )=ルウ・スースー、ラオホワン(老黄)=イエ・シャオカン


 1993年に「青い凧」で第6回東京国際映画祭グランプリを受賞しているティエン・チュアンチュアン監督の10年ぶりの新作。1948年のフェイ・ムー監督「小城之春」をリメイク。2002年ヴェネチア国際映画祭コントロコレンテ部門でグランプリ(サンマルコ賞)を受賞した。流麗なカメラワークの美しさ、気品ある衣装と美術の見事さ。抑制的でありながら激しさを秘めた男女の濃厚な三角関係が、描かれていく。素晴らしい。端正な傑作という表現がぴったりの作品だ。

 ティエン監督は、「青い凧」が中国共産党批判だと受け取られ、ブラックリストに名前が載って、久しく映画を監督することができなかった。今回、表面的には政治的なテーマを避けているが、物語の背景には時代の激変というテーマが隠されている。しかし、小さな男女の愛憎劇を取り上げたのは、政治的な配慮があったのだろう。そのことが、悲しい。映画制作の困難な実情を推測しつつも、職人芸の世界に閉じこもってしまわないことを願ってやまない。


 踊る大捜査線 THE MOVIE2

レインボーブリッジを封鎖せよ!  

「踊る大捜査線 THE MOVIE2  レインボーブリッジを封鎖せよ!」の画像です

 2003年作品。日本映画。138分。配給=東宝 。監督=本広克行。企画=亀山千広。脚本=君塚良一。音楽=松本晃彦。主題歌=「Love Somebody」織田裕二(ユニバーサル ミュージック)。プロデューサー=石原隆、臼井裕詞、高井一郎、堀部徹、安藤親広。撮影=藤石修。照明=加瀬弘行。録音=芦原邦雄。美術制作=河井實之助。美術監督=梅田正則。美術デザイナー=青木陽次。編集=田口拓也。キャスティングプロデューサー=東海林秀文。ラインプロデューサー=羽田文彦。青島俊作(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)=織田裕二、室井慎次(警視庁刑事部捜査一課管理官警視正)=柳葉敏郎、和久平八郎(湾岸署指導員)=いかりや長介、恩田すみれ(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長)=深津絵里、柏木雪乃(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)=水野美紀、真下正義(警視庁刑事部捜査一課警視)=ユースケ・サンタマリア、神田署長(湾岸署署長警視正)=北村総一朗、袴田健吾(湾岸署刑事課課長警部)=小野武彦、秋山副署長(湾岸署副署長警視)=斉藤暁、魚住二郎(湾岸署刑事課強行犯係係長警部捕)=佐戸井けん太、中西修(湾岸署刑事課盗犯係係長警部捕)=小林すすむ、緒方薫(湾岸署刑事課盗犯係巡査部長)=甲本雅裕、森下孝治(湾岸署刑事課強行犯係巡査部長)=遠山俊也、山下圭子(湾岸署観光者相談係巡査長)=星野有香、渡辺葉子(湾岸署観光者相談係巡査長)=星川なぎね、吉川妙子(湾岸署観光者相談係巡査長)=児玉多恵子、小池茂(警視庁監視モニター室オペレーター)=小泉孝太郎、江戸りつ子=小西真奈美、沖田仁美(警視庁刑事部捜査一課管理警視正)=真矢みき、吉田敏明(警視庁副長官)=神山繁、新城賢太郎(警察庁官房審議補佐官警視正)=筧利夫、増田喜一=岡村隆史


 超話題作「踊る大捜査線」から、もう5年が経過したのか。伝説になりかけていた時の続編映画化。「2」の公開時期は、なかなか考えている。とにかく面白い作品にするために、強引に物語を転がしていく手法は、今回も健在。さまざまな伏線も、効果的に生かされている。飽きずに楽しんだ。ただ、肝心の犯人たちの計画自体が弱すぎて、本当の面白さには手が届かない。新しい犯罪組織の形態を考えて、従来の捜査方法が通用しない展開になれば、厚みが出た。もっとも「踊る大捜査線」に、そこまで期待するのは無理だろう。

 今回は、室井役の柳葉敏郎と和久役のいかりや長介が輝いていた。少しカッコ良すぎるくらいに、存在感があった。初の女性管理官・沖田役の真矢みきは、嫌われ役ながら、さっそうとした振る舞いが印象的。監視システムオペレーターとして登場した小泉孝太郎は、警察組織にではなく映画に「政治」を持ち込むという高度なギャグだろうか。


 バトル・ロワイアルII 鎮魂歌  「バトル・ロワイアルII 鎮魂歌」の画像です

 2003年作品。日本映画。133分。配給=東映。監督=深作欣二。監督・脚本=深作健太。プロデューサー=片岡公生。音楽=天野正道。編集=阿部互英。美術=磯見俊裕。撮影=藤澤順一。衣装=松本ルキ。七原秋也=藤原竜也、桜井サキ=加藤夏希、左海貢=石垣佑磨、早田マキ=真木ようこ、風間総司=村田充、米内健吾=久我未来、今給嶺聡=和田聡宏、中川典子=前田亜季、教師RIKI=竹内力、青井拓馬=忍成修吾、浅倉なお=酒井彩名、キタノ 栞=前田愛、久瀬 遥=末永遥。三村真樹雄=千葉真一、青井拓馬の母親=三田佳子、総理大臣=津川雅彦


 物議をかもした「バトル・ロワイアル」から3年。この新作は、酷評に見舞われるだろう。ストーリーが欠点だらけで安直で、訳が分からない駄作として葬り去られるかもしれない。しかし将来、日本の政治が大きな節目を迎えた2003年に、世界の多様性を強調しアメリカの世界支配を明確に批判した作品として位置付けられることだろう。荒唐無稽な設定も、すべてをゲーム感覚でとらえ、現実の危険さに気づかなかった当時の日本に対する強烈な皮肉であったと評価されるだろう。

 テーマは大人VS子供ではない。画一化VS多様性だ。その訴えかけは愚直すぎるかもしれない。ラストは甘い希望かもしれない。しかし私には、とてもリアルな作品に思える。60年というスパンで歴史を振り返り、アメリカに空爆された国として日本とアフガニスタンを一気に結んだ視点は見事。深作欣二の遺作でなければ、公開が実現しなかっただろう政治的なメッセージが込められている。その意味では、命を賭した深作監督らしい内容だ。

 主人公・七原秋也役の藤原竜也は、順調に成長していて安心して見ていることができる。女性陣では、キタノの娘 ・栞を演じた前田愛の熱演に拍手。「ガメラ3」も良かったけれど、今回はさらにうまい。加藤夏希、真木ようこも、はつらつとした強靱な個性を存分に発揮している。ベテランでは、老いたレジスタンスの活動家・三村真樹雄を千葉真一が演じ、強烈な印象を残す。


 
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