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「スター・ウォーズ」の画像1です スター・ウォーズ 
  エピソード2
 
 
「スター・ウォーズ」の画像2です

 2002年作品。アメリカ映画。142分。配給=東宝。監督・脚本・製作総指揮=ジョージ・ルーカス(George Lucas)。製作=リック・マッカラム。編集・サウンドでザイン=ベン・バート。撮影監督=ディビッド・タッターソン。脚本=ジョナサン・ヘイルズ。衣装=トリシャ・ビガー。音楽=ジョン・ウィリアムズ。オビ=ワン・ケノービ=ユアン・マクレガー、パドメ・アミダラ=ナタリー・ポートマン、アナキン・スカイウォーカー=ヘイデン・クリステンセン、ドゥークー伯爵=クリストファー・リー、メイス・ウインドゥ=サミュエル・L・ジャクソン


 「エピソード1」から3年。「スターウォーズ」の新作が、公開された。2時間半の作品だが、実感的には4時間の超大作を観たような疲労と満足感に包まれている。テンポが早く、登場人物も多い。どのシーンも一切の手抜きを拒絶し、最高のテンションで訴えかけてくる。半面、あまりにも急ぎ過ぎて、パドメとアナキンの緊張感溢れるロマンスが生かされていないと言う見方もできるだろう。

 今回は大河ドラマの幕開けを飾った「エピソード1」よりも、さらにグレードアップした。壮大なビジョンがより多彩に、より俯瞰的に描かれている。そして旧シリーズのような戦闘アクションも、たっぷりと盛り込まれている。クライマックスはジェダイとドロイド軍の戦闘だろうが、ほかにもさまざまな見せ場が用意されている。中でも、ヨーダのあっと驚くアクションシーンは必見。ヨーダがライトセーバーで闘う場面こそ、静のヨーダが動のヨーダに変わる最大の見せ場だ。


 アイ・アム・サム  「アイ・アム・サム」の画像です

 2001年作品。アメリカ映画。133分。配給=松竹、アスミックエース 監督・製作・脚本=ジェシー・ネルソン。製作=エドワード・ズウィック、マーシャル・ハースコビッツ、リチャード・ソロモン。美術=アーロン・オズボーン。衣装=スージー・デサント。編集=リチャード・チュウA.C.E。脚本=クリスティン・ジョンソン。サム・ドーソン=ショーン・ペン(Sean Penn)、リタ・ハリソン=ミシェル・ファイファー、ルーシー・ダイアモンド・ドーソン=ダコサ・ファニング(Dakota Fanning)、アニー=ダイアン・ウィースト、ランディ=ローラ・ダーン、イフティ=ダグ・ハッチソン、ロバート=スタンリー・デザンティス、ブラッド=ブラッド・アラン・シルヴァーマン、ジョー=ジョゼフ・ローセンバーグ、ターナー=リチャード・シフ、マーガレット=ロレッタ・ティヴァイン


 知的障害者の父とそう明な7歳の娘が、ソーシャル・ワーカーによって引き離されそうになるが、親子の強い絆と周りの温かな協力で、めでたしめでたしの結末に。知的障害者役のショーン・ペンは、相変わらず芸達者。娘役のダコサ・ファニングは、とても愛らしい。引きこもり高齢者役のダイアン・ウィースト、弁護士役のミシェル・ファイファー、里親役のローラ・ダーンも、個性的な味を出していた。と、良いところだけを見つければ、それなりに評価もできる。しかし、全体としては、製作者のさもしさとあざとさが見え透いている失敗作だ。「偽善映画」という批判もうなずける。

 まず、始まりからして不自然すぎる。次に父親が7歳の知能しかないから、子どもが7歳になったら問題になるというが、どうみても7歳の知能ではないだろう。計算、言語能力は確かに劣るだろうが、生まれたての乳児を育て上げた父親に、いまさら「子育ては無理」はないだろう。子どもよりも知的レベルの低い親は、むしろ多数派ではないか。そして、娘が出来過ぎている。こんなに純朴な親に育てられて、こんなに計算高い振る舞いをする娘になるだろうか。

 主人公は、ビートルズにやたら詳しい。ストーリーの重要なカギになっている。そして音楽は、すべて有名なビートルズナンバー。ビートルズにまつわる映像的なお遊びもある。彼は、なぜビートルズファンなのか。どんな種明かしが待っているか期待していたが、結局何の説明もなかった。「All you need is LOVE」というラストのためだったとしたら、あまりにも寒すぎる。音楽の使い方も、押し付けがましくって、うざったかった。


 とらばいゆ  「とらばいゆ」の画像です

 2001年作品。日本映画。118分。配給=ザナドゥー=アミューズピクチャーズ。監督・脚本=大谷健太郎。製作=武藤起一、久保田修 。撮影=鈴木一博 。音楽=上田禎 。美術=都築雄二 。装飾=鈴村高正 。編集=掛須秀一。本城麻美=瀬戸朝香、本城里奈=市川実日子、宮前一哉=塚本晋也、矢島弘樹=村上淳、村岡九段=大杉漣


 女流棋士の姉妹と、その夫と恋人の4人が繰り広げる恋愛劇。バトル・トークがすごい。単純と言えば、単純なストーリーだが、2時間、片時も飽きることはなかった。大きな事件があるわけではないが、日常的な男女のいさかいが生々しく、等身大の悩みが伝わってくる。双方がもがき苦しみながら、関係が泥沼になっていく過程は、なかなかリアルに描けないものだが、見事なまでに共感できた。スキのない優れた脚本だと思う。

 まず瀬戸朝香の演技力に驚いた。スランプに陥り、夫に八つ当たりしまくる麻美の迫力は凄まじい。それを受け止める夫役の塚本晋也も、芯がありながらひょうひょうとしたキャラクターが自然だ。妹役の市川実日子は、なかなかの存在感。恋人役の村上淳は、良い雰囲気を醸し出していた。優れた脚本を映像的に支えた美術の素晴らしさも評価したい。


 ブレイド2  「ブレイド2」の画像です

 2002年作品。アメリカ映画。118分。配給=日本ヘラルド映画。製作=ウェズリー・スナイプス、ピーター・フランクフルト、ギレルモ・デル・トロ・フイルム。監督=ギレルモ・デル・トロ。脚本=ディヴィッド・S・ゴイヤー。衣装=ウェンディ・パートリッジ。音楽監修=ハッピー・ウォルタース。音楽=マルコ・ベルトラミ。撮影監督=ガブリエル・ベリスタン。プロダクション・デザイナー=キャロル・スピアー。編集=ピーター・アマンドソン。アクション・アドバイザー=ドニー・イェン。ブレイド=ウェズリー・スナイプス、ウィスラー=クリス・クリストファーソン、スカッド=ノーマン・リーダス、ラインハルト=ロン・パールマン、ニッサ=レオノア・ヴァレラ、チュバ=マット・シュルツ、アサド=ダニー・ジョン・ジュールス、ヴェルレイン=マリット・ヴェラ・キール、スノーマン=ドニー・イェン、ジャード・ノーマック=ルーク・ゴス


 待望の「ブレイド」(スティーブ・ノリントン監督)の続編が完成した。コミックの味を存分に生かした前作は、東洋趣味を取り入れた荒唐無稽にして鋭い美意識に支えられ映像で、新しいアクション・ホラーの地平を切り開いた。「ミミック」のギレルモ・デル・トロ監督が、どんな斬新な映像を見せてくれるのか、わくわくしながら公開を待っていた。細部まで凝った美術、冷え冷えとして尖った映像、洗練されたアクションの連続、バンパイアたちのスタイリッシュな燃焼美。たしかにギレルモ・デル・トロの個性が発揮されている。しかし、全体が同じような色調なので、その良さが十分に引き立たない。何よりも、前作にあった荒削りなバイタリティ、圧倒的なサービス精神が、薄れてしまっている。

 前作は、人間とバンパイアの混血という存在に悩み抜くブレイドの痛々しさが、後半の吹っ切れたアクションを魅力的にしていたが、今回はありきたりな恋の悩みしかない。新しく登場するクリーチヤー「リーパーズ」は、さまざまな要素をプレンドし過ぎて、迫力に欠ける。もっと、爆裂的な変身をとげなければ面白くない。後半になって、展開が小さくまとまったのも不満。「邪魔したな、同志!」という前作ラストのモスクワでの秀抜な決めゼリフに比べ、今回のラストは、あまりにも伏線通りで平凡。拍子抜けした。ニッサ役レオノア・ヴァレラの悲しくも美しい臨終シーンだけが、救いだった。「ブレイド2」は、他の作品に比べたらそこそこ面白い。ただ、前作があまりにも優れていたので、比較すると欠点が目立ってしまう。


 トンネル  「トンネル」の画像です

 2001年作品。ドイツ映画。167分。配給=アルシネテラン。監督=ローランド・ズゾ・リヒター。製作=ニコ・ホフマン、アリアーネ・クランペ。脚本=ヨハンヌ・W・ベッツ。撮影=マーティン・ランガー。編集=ヘルムート・フルス。美術=ミヒャエル・ファルツァー。装置=ベッティナ・シュミット。衣装=アストリット・カラス。ハリー・メルヒャー=ハイノー・フェルヒ、フリードリケ・ショルツ(フリッツィ)=ニコレッテ・クレビッツ、ロッテ・ローマン=アレクサンドラ・マリア・ララ、マチス・ヒラー=セバスチャン・コッホ、ヴィットリオ・カスタンツァ(ヴィック)=マフメット・クルトゥルス、フレッド・フォン・クラウスニッツ=フェリックス・アイトナー、カロラ・ランゲンジープ=クラウディア・ミヒェルゼン、ウォルター・クリューガー=ウーヴェ・コキッシュ、テオ・ローマン=ハインリッヒ・シュミーダー、イナ・ローマン=サラー・クベル、ゲオルグ・ヘムリッヒ=ライナー・ゼリーン、フライフラウ・フォン・クラウスニッツ=カリン・バール


 新しいタイプのドイツ映画といえるだろう。ハリウッド的な手法を持ち込んで観客を十分に楽しませながら、ドイツ的な真面目さも合わせ持っている。ハリウッド的な感じが強くするのは、主人公ハリー・メルヒャー役のハイノー・フェルヒが、あまりにもブルース・ウィルスに似ていることもおおいに影響している。それにしても、ラストのアクションシーンを除いて、ほとんどが実話というのには、驚いた。まさに、事実は小説よりも奇なりだ。

 167分と、かなりの長篇だが、長さを感じさせない。西ドイツから東ドイツに向かって145mの地下トンネルを掘るという地道なドラマに、さまざまな事件、さまざまな人々が絡み、広がりを持たせている。それぞれのシーンは、派手さはないが的確に切り取られている。フリッツィの恋人ハイナーが壁を越えようといて撃ち殺される場面は、とりわけ秀抜。壁を隔てた二人を高みから俯瞰していたカメラは、やがて放心状態で崩れ落ちたフリッツィの目線に降りてくる。ジーンと胸に迫るシーンだった。


 少林サッカー  「少林サッカー」の画像です

 2001年作品。香港映画。109分。配給=クロックワークス/ギャガ・ヒューマックス。監督=チャウ・シンチー。共同監督リー・リクチー。製作=ヤン・グオフイ。プロダクション・スーパーバイザー(企画・構想)=リー・リクチー、ティン・カイマン。脚本=チャウ・シンチー、ツァン・カンチョング。アクション指導=チン・シウトン。音楽=レイモンド・ウォン。CG=セントロ・デジタル・ピクチャーズ。FW/鋼鉄の脚=チャウ・シンチー、MF/鉄の頭=ウォン・ヤッフェイ、DF/旋風脚=モー・メイリン、DF/鎧の肌=テイン・カイマン、GK/魔の手=チェン・グォクン、FW/水渡り(軽功)=リン・ツーソォン、ムイ=ヴィッキー・チャオ(Vicki Zhao Wei、趙薇)、少林チーム監督ファン=ン・マンタ、少年時代のファン=ブー・イエドン、デビルチーム監督ハン=パトリック・ツェー、少年時代のハン=ジャン・ミンミン、デビルチーム主将=スー・ツーユン


 サッカーとカンフーの融合というお手軽なアイデアによる作品ではない。おバカ、お下品なコミカルさを突き抜け、サッカー・カンフーアクションの壮絶さを突き抜けて、信じられない傑作が誕生した。次々と繰り出されるアイデアに笑いながら、意表をつく展開にあぜんとする。コテコテのギャグを連発し、スポコン、恋愛劇につきものの紋切り型のストーリー展開に、シュールな即興性が加わりながら、最後はきちっと独創的にまとめ上げてしまう力技。香港の興行記録を塗り替えたヒット作なので、期待はしていたが、期待を大きく上回るパワーに圧倒された。ブラボー!! チャウ・シンチー。

 映画は、最初から「おバカ」ギャグを宣言する。「オースティン・パワーズ」のノリだ。積極的にしろうとを採用したキャスティングがユニーク。カンフーアクションに似つかわしくない多彩な体型の登場人物が、少林パワーを発揮する高揚感がたまらない。美しさで知られるアイドル女優のヴィッキー・チャオは、どのシーンもあっと驚くメークで登場する。その俳優魂に敬服。全体にギャグCGの使い方がうまいが、彼女の太極拳饅頭製作のシーンは、とりわけ秀抜だった。そして、それが怒濤のクライマックスシーンにつながっていく。見事というほかない。


 
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