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 マスター・アンド・コマンダー 「マスター・アンド・コマンダー」の画像です

 2003年作品。アメリカ映画。139分。配給=ブエナビスタ。監督=ピーター・ウィアー(Peter Weir)。製作=サミュエル・ゴールドウィン・Jr、ダンカン・ヘンダーソン、ジョン・バード・マヌリス、ピーター・ウィアー。製作総指揮=アラン・B・カーティス。原作=パトリック・オブライアン(Patrick O'Brian)。脚本=ピーター・ウィアー、ジョン・コリー。撮影=ラッセル・ボイド。ジャック・オーブリー=ラッセル・クロウ(Russell Crowe) 、スティーヴン・マチュリン=ポール・ベタニー(Paul Bettany) 、トーマス・プリングス=ジェームズ・ダーシー(James D'Arcy)、ブレイクニー=マックス・パーキス(Max Pirkis)、カラミー=マックス・ベニッツ(Max Benitz)、ボンデン=ビリー・ボイド、ホローム=リー・イングルビー


 1805年。ナポレオン率いるフランス軍の武装船アケロン号に立ち向かう、イギリス海軍の艦長ジャック・オーブリーと軍医スティーヴン・マチュリンの友情の物語。海戦のリアリティはもちろんのこと、衣装のボタンまで細部にわたって当時の様子を忠実に再現している。ガラパゴス諸島ロケも見ごたえがある。この作品の主人公は、少年たちではない。PRコピーや予告編が、あたかもや少年が主人公のように宣伝しているのは、どういう訳だろう。

 やはりラッセル・クロウの存在感が際立っているが、マチュリン役のポール・ベタニーも対照的な役回りを的確に演じている。そして、クライマックスでは戦争と博物学が見事にクロスする。ただ、イギリス万歳の一方的な描き方はいただけない(ロンドン映画批評家協会賞の作品賞に輝いたのは、そのためか)。イギリスの階級意識にたいする無批判性も気に入らない。階級で任務にもすごい差別があったのだから、ちゃんと描いてほしかった。来日したピーター・ウィアー監督は「乗組員や少年たちに感情移入して好きになってもらいたい」というが、無理と言うものだ。ちなみにラッセル・クロウは、ニュージーランド生まれ。出演料は2000万ドル。


 シービスケット 「シービスケット」の画像です

 2003年作品。アメリカ映画。141分。配給=UIP。監督=ゲイリー・ロス(Gary Ross)。原作=ローラ・ヒレンブランド。製作総指揮=ゲーリー・バーバー、ロジャー・バーンバウム、トビー・マグワイア、アリソン・トーマス、ロビン・ビッセル。製作= キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル。撮影監督=ジョン・シュワルツマン。プロダクション・デザイン=ジャニーン・オッペウォール。編集=ウィリアム・ゴールデンバーグ。音楽=ランディ・ニューマン。衣装デザイン=ジュディアナ・マコフスキー。レース・デザイナー=クリス・マカロン。ジョニー・"レッド"・ポラード=トビー・マグワイア(Tobey Maguire)、チャールズ・ハワード=ジェフ・ブリッジス(Jeff Bridges)、トム・スミス=クリス・クーパー(Chris Cooper)、マーセラ・ハワード=エリザベス・バンクス(Elizabeth Banks)、ジョージ・"アイスマン"・ウルフ=ゲイリー・スティーヴンス、"ティック・トック"・マクグローリン=ウィリアム・H・メイシー、ナレーション=デヴィッド・マックロウ、キングストン・デュクール、サム=サミュエル・リドル=エディ・ジョーンズ、チャールズ・ストラブ=エド・ローター、"レッド"の父=マイケル・オニール、"レッド"少年時代=マイケル・アングラーノ、"レッド"の母=アーニー・コーレイ、アニー・ハワード=ヴァレリー・マハフィートビー・マグワイアジェフ・ブリッジスクリス・クーパーエリザベス・バンクスゲーリー・スティーブンスウィリアム・H・メイシー


 世界恐慌で疲弊したアメリカの人々を勇気づけた1頭の馬にまつわる史実を描いたノンフィクション「 シービスケット―あるアメリカ競走馬の伝説 Seabiscuit: An American Legend 」の映画化。実話であることが信じられない。絵に書いたように成功と挫折が繰り返えされる。そして感動の波は何度も押し寄せる。

 シービスケットというくせのある馬を記録破りの競走馬に育てた馬主ハワード、調教師トム、騎手レッド・ポラード。この3人は、それぞれに深い挫折を経験している。だからこそ、シービスケットを見い出すことができたといえる。ジェフ・ブリッジス、クリス・クーパー、そしてトビー・マグワイアが、熱演している。とりわけジェフ・ブリッジスの渋さが目立った。彼等の演技によって、月並みな成功談にならず、静かに心を揺さぶられる作品になっている。心地よいが、図式的すぎて、それほど深い感動ではない。


 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還 「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」の画像です

 2003年作品。アメリカ映画。ニューライン・シネマ作品。203分。配給=日本ヘラルド映画、松竹。監督=ピーター・ジャクソン(Peter Jackson)。製作=ティム・サンダース。原作=J・R・R・トールキン「指輪物語」。脚本=フィリッパ・ボイエン、ピーター・ジャクソン、ステファン・シンクレア、フランセス・ウオルシュ。撮影=アンドリュー・レスニー。音楽=ハワード・ショア。プロダクションデザイン=グラント・メジャー。衣裳デザイン=ナイラ・ディクソン。視覚効果スーパーバイザー=マーク・ステットソン。SFX=ウェタ・デジタル社。フロド・バギンス=イライジャ・ウッド(Elijah Wood)、サムワイズ・ガンジー=ショーン・アストン(Sean Astin)、ゴラム=アンディ・サーキス(Andy Serkis)、メリー=ドミニク・モナハン(Dominic Monaghan)、ピピン=ビリー・ボイド(Billy Boyd)、ガンダルフ=イアン・マッケラン(Ian McKellen)、ビルボ・バギンス=イアン・ホルム、アルゴラン=ヴィゴ・モーテンセン(Viggo Mortensen)、レゴラス・グリーンリーフ=オーランド・ブルーム、サルマン=クリストファー・リー、アーウェン・アンドミエル=リブ・タイラー(Liv Tyler)、ガラドリエル=ケイト・ブランシェット、ギムリの声=ジョン・リス=デイビス、グリマ・ワームタング=ブラド・ドーリフ、エラノル・ガンギー=アレクサンドラ・アストン


 2002年公開「ロード・オブ・ザ・リング/旅の仲間」、2003年公開「ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔」に続いて、ついに完結編「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」が劇場公開された。待ちに待っていた2月7日の先行上映に大雪の中を駆け付けた。ピーター・ジャクソン監督は「前2作はこの『王の帰還』のためにあったと言っても過言ではない」と話していたが、壮大にして琴線に触れる魂のドラマだった。数々のシーンで息を飲み、クライマックスでは息をするのも忘れた。

 たたみかけるように物語は進んでいく。戦争シーンはさまざまなアイデアで満ちあふれている。大蜘蛛シェロブの洞窟シーンの出来も、期待を裏切らない。サムとフロドが危機的な状況の中でホビット庄の思い出を語るシーンで涙が出た。そして、最後は第1部「旅の仲間」の前半のようなのどかな時間が流れる。この表現の振幅の大きさこそ、この大作の持ち味だと思う。

 ピーター・ジャクソン監督が最初に編集した長さは4時間15分。それを3時間23分に縮めた。1時間近くも省略しているので、バランスが悪い。本来の形の「王の帰還」を観るには、DVD「ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション・王の帰還」の発売を待たなければならない。それを観るまで、私の「ロード・オブ・ザ・リング」の旅は終わらない。


 
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