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2004.10

 SAW 「SAW」の画像です

2004年作品。アメリカ映画。100分。配給=アスミック・エース。監督=ジェームズ・ワン(James Wan)。製作=マーク・バーグ、グレッグ・ホフマン、オーレン・クールズ、ラーク・ベルニーニ、ダニエル・J・ヘフナー、リチャード・H・プリンス。製作総指揮=ピーター・ブロック、ジェイソン・コンスタンティン、ステイシー・テストロ。原案=ジェームズ・ワン、リー・ワネル(Leigh Whannell)。脚本=リー・ワネル。撮影=デヴィッド・A・アームストロング。編集=ケヴィン・グルタート。配役=エイミー・リペンズ。音楽=チャーリー・クラウザー。アダム=リー・ワネル、ゴードン医師=ケアリー・エルウェズ、タップ刑事=ダニー・グローヴァー、ケリー=ダイナ・メイヤー、アリソン=モニカ・ポッター、アマンダ=ショウニー・スミス、雑役係ゼップ=マイケル・エマーソン、ケリー=ダイナ・メイヤー


  オーストラリア出身の27歳の2人、ジェームズ・ワンとリー・ワネルが制作した、低予算、撮影日数18日のスリラー・ホラー作品「SAW」(ソウ)がサンダンス映画祭で上映され、衝撃的なデビューを飾った。汚れたバスルームという空間につながれた2人の男。すべてはここから始まり、2人の会話と数々のフラッシュバックで物語はジグザクに進む。そして、命の大切さを訴えるために残酷な死を用意する「ジグソウ」の正体が、ラストで明らかになる。怖さだけを期待してはいけない。飛び上がるほど怖い作品ではないが、閉塞感と不気味さは抜きん出ている。オリジナリティあふれる大どんでん返しは、正面突破と呼べるほど見事だ。終始ハイテンションでへとへとに疲れるが、ストーリーのめりはりは、しっかりとしている。

 多彩な小道具のアイデア、映像のさまざまな質感、スピード感のある編集、場を盛り上げる音楽。それらが、計算されたストーリー展開とともに、この作品を独創的なものにしている。個人的には、必然性がないのに腹話術の人形が異様に怖かった。


 2046 「2046」の画像です

 2004年作品。香港映画。130分。配給=ブエナビスタインターナショナル(ジャパン)。製作・監督・脚本=ウォン・カーウァイ。製作=チャン・イーモウ。撮影=クリストファー・ドイル、クワン・プンリョン、ライ・イウファイ。美術・編集=ウィリアム・チョン。音楽=ペール・ラーベン、梅林茂。衣装=ウィリアム・チャン。チョー・モーワン=トニー・レオン、ワン・ジンウェン/wjw1967=フェイ・ウォン、バイ・リン=チャン・ツィイー、タク=木村拓哉、スー・リーチェン=コン・リー、スー・リーゼン=マギー・チャン、ルル/ミミ=カリーナ・ラウ、ワン・ジェウェン=ドン・ジェ


 ウォン・カーウァイの「2046」。これほど、待たされる幸せを味わった作品は久しぶり。完成までに5年の歳月が流れた。近未来SFではない。1960年代後半の香港を舞台にした、けだるく絡み合った耽美な恋愛劇だ。主人公チョー・モーワンが創作する小説が近未来SFで、そこにチョー・モーワンを取り巻く人々をモデルにした人物が登場する仕掛け。相変わらず、スタイリッシュな映像と斬新な音楽が独自の世界を作り上げる。たとえストーリーがなくても、十分に魅力的な映像が続く。

 トニー・レオン、フェイ・ウォン、コン・リー、カリーナ・ラウ、マギー・チャンと、スターたちが共演。それぞれに持ち味を存分に発揮していた。フェイ・ウォンは、キュートなアンドロイドを演じてみせた。ウォン・カーウァイ作品初参加のチャン・ツィイーは、ここでも芸達者ぶりを発揮。新しい魅力を放つ。どんどん幅を広げていく彼女には驚かされるばかり。注目の木村拓哉は、何とか名優たちについていっているものの、幅の狭さは覆うべくもない。物語重視の人にはお勧めしないが、映像派にはたまらない130分になるはず。

 


 デビルマン 「デビルマン」の画像です

 2004年作品。日本映画。116分 。配給=東映。監督=那須博之。原作=永井豪。脚本=那須真知子。特撮監督=佛田洋。CGプロデューサー=氷見武士。CGスーパーバイザー=野口光一。アクションコーディネーター=野口彰宏。不動明=伊崎央登、飛鳥了=伊崎右典、牧村美樹=酒井彩名、ミーコ=渋谷飛鳥、牧村啓介=宇崎竜童、牧村恵美=阿木燿子、シレーヌ=冨永愛、ニュースキャスター=ボブ・サップ


 観終わって、すぐに立ち上がれなかった。感動したからではない。あまりの酷さにあぜんとしたからだ。ことしのメジャーな邦画ワースト1は、ほぼ間違いないだろう。原作のフルバージョンにしたというが、肝心のテーマが置き去りになっている。その上、ストーリーがとびとびで意味不明。全然物語が深まっていかない。さらに、セットがひどくチャチだ。CGだけは及第点を上げられるが、実写部分とバラバラな印象を与える。とにかくまれに見る低レベル。原作「デビルマン」に対する愛着すら伝わってこなかった。

 キャスティングも、またひどすぎる。下手以前に伊崎央登、伊崎右典にはやる気が感じられない。小林幸子なんか出す必要があるのか。ニュースキャスターがボブ・サップというのも分からない。宇崎竜童、阿木燿子は、あんなに白けた演技しかできなかったか。ミーコ役の渋谷飛鳥だけは、頑張っていたと思う。そして、ゲスト出演していた神父役・永井豪の哀愁に満ちた表情が印象に残った。無惨。


 モンスター 「モンスター」の画像です

 2003年作品。アメリカ映画。109分。配給:ギャガGシネマ。監督=パティ・ジェンキンス(Patty Jenkins)。製作=マーク・ダモン、ドナルド・カシュナー、クラーク・ピーターソン、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、ブラッド・ワイマン。製作総指揮=アンドレアス・グロッシュ、スチュワート・ホール、サミー・リー、ミーガン・ライリー=グラント、アンドレアス・シュミット。脚本=パティ・ジェンキンス。撮影=スティーヴン・バーンスタイン。音楽=BT・BT。アイリーン・ウォーノス=シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)、 セルビー・ウォール=クリスティナ・リッチ(Christina Ricci)、トーマス=ブルース・ダーン(Bruce Dern)、スコット・ウィルソン、プルイット・テイラー・ヴィンス、リー・ターゲセン、アニー・コーレイ、マルコ・セント・ジョン、ババ・ベイカー


 とにかく、いたたまれない。とてつもなく切ない。アメリカ犯罪史上初の女性連続殺人犯で死刑執行されたアイリーン・ウォーノスの姿に迫るサスペンス・ドラマ。シャーリーズ・セロンがアイリーンを熱演、アカデミー主演女優賞に輝いた。ハリウッドを代表する美貌とスタイルを誇る女優が13キロ体重を増やして体型を崩し、眉を抜き、義歯を付け、荒れた肌の特殊メイクを施した。歩き方から話し方まで、全く変えてアイリーンに似せている。アイリーンは、幼児期から虐待を受け兄との近親相姦による妊娠・出産など悲惨な過去を持つ。娼婦の自分を蔑み、社会に絶望し、自殺を考えていたが、同性愛の少女セルビーと出会い、初めて愛される喜びを知る。そしてセルビーとの生活を守るため、客を殺してお金を奪い続ける。殺す方も殺される方も悲しすぎる。

 アイリーン役に挑戦したセロンを話題づくりと見るのは誤りだろう。彼女には、アイリーンに強い関心を持つ虐待という同じトラウマがあった。15歳のとき、家庭内暴力の絶えなかった父親を正当防衛のために母親が射殺するという事件を経験していた。製作に名前を列ねていることが、彼女の並々ならぬ決意を示している。

 無垢で残酷なセルビーを巧みに演じたクリスティーナ・リッチも素晴らしい。セロンの変身をあざといと反発した人も、リッチの自然な演技には感心したはずだ。


 
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