詩編:子供たちと
願い
子供たちと
お昼ごはん
お腹を空かせた子供がメロン
「メロンが甘すぎる」と砂山
一緒にお山を作ろうと子供に誘われた繰り返し語る
子供たちがまた秘密基地
布団とテーブルで喧嘩
さっきまで喧嘩して自慢話
子供の自慢話を聞いている歌
子供が同じ歌を悪い夢
怖い夢を見たと仲良しの時間
雪だ誕生日
毎日が当たり前のこととして過ぎて行く赤子
親の笑顔を真似て笑う赤子家路へ
あれは僕が子供の頃からある古い陸橋で一年生の終わりに
いつまで一緒にばら色のブランコ
小さな子供の繰り返し
子供が石鹸をつけて手を洗っていた買い物
「先に帰っているね」しあわせの香水
ドアを開けると子供たちが高い所のボタン
エレベータのボタンに届こうと泣いた子供
子供が些細なことで誕生日
君がずっと楽しみにしていた誕生日電車に乗って
三歳になる子供を連れてにわか雨
初夏の午後のにわか雨は打ち水子供といる日
子供が熱を出して春の夕日
春の夕日は生きる
お腹を空かせて入学
一斉に開いた花壇の花は大人
いつからか大人と言う筆箱
筆箱の中には特等席
随分と重くなった子供を背負うみずみずしい弾力
春の公園に解き放たれてクリスマスの前に
明日のプレゼントは子供たち
君たちはいいな誕生日
君たちが産まれたちょうど六年前の今日団栗拾い
小さな背丈は地面に近い猫じゃらし
猫じゃらしに夏空と赤子と
言葉を覚え始めた子供の手
眠っている小さな子供の手が母の日の似顔絵
誰よりも幸せな顔で描いてある寝顔
まだ無邪気さを残す家族と
一人は寒いのにかき氷を食べ読経
いつの間にか兄を押しのけて肩車
もう随分と体も大きく童話
時々は君たちの航海士
六色のクレヨンが春の公園で
ただ春の日の温もりに背中を押され赤子の微笑
赤子の微笑みに向き合っている隠れた子供
「何処にいるでしょうとか」とブランコ
ブランコを漕いでいた春の風邪
熱を出して赤子が君へのお守り
小さな社で鬼よりこわいもの
いつまでも芽に水を注ぐ
絵本を読みきかせ雲の綿菓子
ブランコを漕ぐ子供が荷物
買い物帰り雪の東京で
思いもよらぬ雪だった痩せ我慢
今にも泣きそうな顔をしてキャンバス
水晶を通した様なブランコ
秋の空へと向かおうとする遠心力眠る子供
小春日のこと小さな荷物
まだ日溜まりの香りする子供は秋の午後に
小さな手で子供が雨
僕が広げる 黄色の傘の下花火の後に
暗闇の中で喧嘩
さっきまで喧嘩をしていた二人水遊び
子供に撃たれたシャワー
今日は何回シャワーを浴びせたのだろう西瓜
半分に割った小さな西瓜を春の公園で
朝早く目覚めて公園に行こうとせがむ白桃
朝日につつまれたその頬が子供の目
少し乱暴に電車がお土産
玄関のドアが開き病の子供
病の子供は絵本を読む子
「絵本読んであげるね」と溜息
雨上がりの不思議な夕暮れの色に夕暮れの香り
まだ残る乾いた葉がカサカサと鳴ってお祭りの夜に
子供たちはそのポスターを見るたびにシャボン玉の夢
昼寝をする子供たちの口から流れ星の短冊
七夕の飾りに模様を描く夕暮れる駐車場で
グッスリと眠ってしまったとある夜に
窓の外ではきっと寝床の中で
ふくろうの話をすると新緑の回廊
新緑の回廊の中で駄々をこねる子供春の風邪
くしゃみをするたびに鼻を垂らす子供とある春の午後に
もうでてきてもいいよといわれて熱い頭
眠くなると頭が熱くなる子供よとある夜に
波の音が気になっていい顔
「いい顔をして」とカメラを向けると元気を
またお前たちに子供の咳に
子供が咳をしている駄目駄目と
駄目駄目と怒ってばかりの僕空っぽの容器
お前たちは空っぽのままだから子どもの言葉
君たちの言葉はシンプルでいいな寝相
寝相の悪い子供に子供へ
KOされた子供の手
子供の小さな手を雨の夜に
冷たい雨が降っている子供とブランコと
僕の胸の中にすっぽりと収まって夏の夜に
寝ている子供の頭を撫でる西瓜
子供が食い散らかした火の玉
僕の体の上を転げ回る子供が暑い新しい朝
うさぎのように跳ね起きた子供水をつかむ話
僕が零す手桶からの水を怒った手
怒って子供の頭を叩いた満月と子供と
眠れずに目覚めた子供に大きな口を
大きな口を開けて子供が笑う日焼の匂い
毎日外で遊んでいるから汚れた手
食事したままの汚れた手で子供の中で
僕らにはもはや春の午後の散歩に
たんぽぽの白い綿毛夏の庭で
3歳になる甥が急に足を止めた夏の庭桜の花
桜の花の中へ春の夜
春の夜の子供の鼾はかさぶたと子供と
家に帰ると鼻の頭に車椅子の子供
点滴を打ちながら顔
君たちの顔に会話
随分とおしゃべりが大地で
コンクリートは硬くて危険ゴム毬とバネ仕掛け
僕が跳ねると小さな翼
まだ開ききっていない家の扉の間からある朝の涙に
起きたばかりのお前の顔が雪は子供たちのために
初めて雪に触れた子供たちが真夜中に
真夜中に 一人だけ全力でブランコ
秋の風を切って猫じゃらし
猫じゃらしで鼻をくすぐるとペットショップで
あれは ワンワン犬だよ床掃除
子供たちのやりたい放題は初めての夏に
夏が親指を押し付けた指紋の跡風と赤子と
白いレースのカーテンがパズル
もう何回目のパズルをタンポポ
小さな子供が 種をつけたタンポポを雨上がりの街
君たちの小さな瞳にはありがとう
一房の蜜柑
子供が持ってきてくれた一房の蜜柑乳飲み子
えもいわれぬ笑顔の乳飲み子が君が産まれた日に
この世に初めて見開かれたその目は雨の夜に
その激しい雨の音にはお腹の中の君に
いつの間にか目立ち始めたお腹のあなたと初夏の病室で
初夏の光がしなやかな指先となって胸の中のお前たちに
心臓の音を聞くと赤ん坊は落ち着くという透明な言葉
小さな口を開けてとある日の散歩に
さっきまで降っていた祈りに
昨日の夜はまだ見ない二人の子に
明日僕らの世界に顔を出す一日と子供たちと
一日一日と君のお腹の中で小さな生命(いのち)に
世界一可愛いクリオネを見たと君が言った若葉と夕日と
淡い夕日と銀杏の若葉が戯れている産着を着た君に
白い産着を身をまとった