風のささやき

特等席

随分と重くなった子供を背負う
じたばたと動くと足元は覚束ない
「大きくなったか」と子供はたずねて
「大きくなった」と答えると満足をして

ああ本当に大きくなったよ
大きくなることが
楽しくてしょうがない君の
成長は止まることはなくて

僕の背中は君の乗り物
けれどその特等席の
いつまで君は
お客さんでいてくれるだろう

君の言葉に操られて
左右に揺れてみたり
少し飛び上がったりする
息を切らせながらの
サービスに努めている