風のささやき

西瓜

半分に割った小さな西瓜を
分け合って頬張った双子たち
普段は喧嘩ばかりなのに
そんな時だけは仲良く肩を寄せ合い
「美味しいね」と言いながら

いつの間にかすごい食欲だ
すっかりと食べ尽くされた西瓜は
丸い小舟となって
その中には手折られた庭の花束
畑の水路にそっと置かれ

流れ行く二つの小舟は
夏の精霊を送りかえす精霊流し
追いかける二人の子供は無邪気にも
夏の終わりの気配には鈍感で

大人だけが過ぎゆく時を
物惜しみしている