風のささやき

隠れた子供

「何処にいるでしょうとか」と
テーブルの下から呼びかける子供

その上に目線が
注がれることを期待している
背中丸めた小さな体

僕は気づかないふりをして
テーブルの椅子に座り
置物のようなその小さな体に
足で触れたりをしながら

子供は声を立てずに
小刻みに震え笑っている

そうしてもう一度
「何処にいるでしょうとか」と
僕に呼びかる
そこで小さくなっている姿を
直ぐに見つけて欲しくて

僕は気づかない振りをしながら
最後には机の下を覗きこむ
こちらを見ている子供
目線のあった時の嬉しそうな笑い

子供はいつでも
見つけられたがっている
「何処にいるでしょうとか」と
きっといつでも呼びかけている

その声にいつも僕は
気づいているのだろうか

子供にしか分からない
悲鳴もきっとある
小さく縮こまる君の体
見つけて抱き上げられる
いつまでも僕であろうか

机の下の子供が
勢いよく飛び出して来た
覗きこんだ僕の顔が
太陽のように見えていたなら
いいなと心から思った