風のささやき

クリスマスの前に

明日のプレゼントは
きっと君たちの望む物
だって君たちのママが
一生懸命に探して来たから

それを君たちが寝静まった後に
枕元にこっそりと置いて
僕らは密かに微笑む

明日はどんな顔をして
起きてくるのだろうと
そのプレゼントを枕元に見つけた時に

一年に一度ぐらい
叶う願い事であれば
それぐらいの良い事は
やってきたつもりだと

子供たちの自信は如何ほどのものだろう
必ずプレゼントをもらえるなんて
おこがましいと思いもしない
真っ直ぐな眼差しには敵わない

願い事それすらやがて
失って行く大人もいる
生活に削られて
苦しい思いの積み重ねに折れ
自身の欲望に汚れ見失い

雪は静かに降っている
一つ一つの屋根の
秘密のひそひそ話
隠そうとでもするかのように
サンタさんにだけ伝えた願い事
あるいは声を潜めたその噂話

僕と同じ布団に眠る子供も
誰も聞いてはいないのに
何故かひそひそとした声で
サンタさんへの期待を告げる

そうだね
その通りだねと
僕は告げて

サンタさんがやってくると
いつまで素直に
僕は信じていられただろう
健やかな明日が確かに来ると
信じていたのと同じぐらいに

僕はまた信じることから始めよう
君たちの明日を信じ
自分自身の明日も信じて

君たちを真似たい
明日の朝に目を覚ました時には
僕にも贈り物が届けられんことを
明るい明日を
素直に信じられる心