風のささやき

シャボン玉の夢

昼寝をする子供たちの口から
一息ごとに夢が零れ落ちる
まるで透明に澄んだシャボン玉のようだ
七色に輝いて空にフワフワと浮かんでいる

僕は確かにその目撃者となって
しばらくの間
眠っている三人の子供の顔を
交互に眺めた
時折は重なり合う手足を
解きほぐしたりしながらも

一息ごとに君たちは
新しい可能性に向かって開かれていく

今朝のホースの水遊びの涼しさも
玉蜀黍と綱引きをした両足の力も
恐る恐る触った赤とんぼの前足
牛のいるところまで頑張って歩いた散歩も
すべての出来事が体に取り込まれ
君たちの中で化学反応を起こしている

そうして産み出されたたくさんの夢が
こうしてキラキラと輝き
君たちの口から零れてくるのだ

君たちはほんとうに
どんな人に育って行くのだろう
期待する気持ちと不安な気持ちと

そういえば僕の子供は
今日はテレビのヒーローになって
魔女をやっつけるんだと
勇ましいことを言ってたっけ
確かに僕の息子だと思ったりした出来事

僕が窓を開けると風が吹き
子供たちのシャボン玉の夢は
勢い良く外へ飛び出して
空に昇って行った