風のささやき

透明な言葉

小さな口を開けて
一生懸命に話かけてくる
お前たちの透明な言葉
確かに僕の胸に温かく届いているよ

飽きることのないそのお喋りの楽しさ
尽きることない泉のように湧く言葉

言葉にならない声が
こんなに胸に響くなんて
言葉を悪戯にもてあそんでいる
僕は自分の力なさを覚えてしまうよ

僕にも人と分かち合いたい思いが一杯あるんだ
けれど僕の言葉はお前たちの
透明な言葉のように素直ではないから

マッチの炎のような怒りに煤けたり
自分をえらく見せようとする虚栄に汚れたり
知らず知らずのうちに黒ずんでしまっているから
うまく分かちあうことができないんだ

僕もお前たちに習い
いつか透明な汚れない言葉
取り出すことができたのなら
誰かにこの胸の思い
伝えることができるようになるのだろうけど
その手がかりは今は何も無くて

僕の目を見ながら
真っ直ぐに話しかけてくる
お前たちの言葉のその秘密
探り当てようとして
僕もお前たちの瞳の奥底を
覗き込んでみるんだ