風のささやき

高い所のボタン

エレベータのボタンに届こうと
爪先立ちをしていた子供が
当たり前のようにそこまで届くようになって
素直に驚いて見せたら得意気な顔をして笑った

高い所に手が届くのは嬉しいよね
自分の成長を確かに感じ取れて
つい最近までは届かなかったはずなのに

いつかその背もきっと僕よりも大きくなって
その時には手の届くところも何処かで止まって

けれど心は伸ばし続けてくれ
青い空に届くことを諦めることなく
やがてそこにある雲の端を
少し摘まむことでもできたなら
きっときっと嬉しいだろうね