風のささやき

一年生の終わりに

いつまで一緒に
手をつないで歩いてくれるかな
それが当たり前のことだと思っていたけれど
それがずっと続くことだと思っていたけれど

まだまだ素直で真っ直ぐな目をしている
その顔にはまだ幼さが漂う
あんなに楽しそうに熱心に
迷い選んでいた駄菓子屋ではそれでも
今年に覚えた足し算で
きちんと言われた500円で計算をしていた

一緒に出かけたプールでも
疲れを知らずに泳いでいた
夢中になって泳ぐ姿の見栄えなど
気にする素振りも無くて
水の中に浮き沈みする
その小さな体から湧き上がる力には
改めて驚かされていた僕がいたこと
君たちに想像できるかい

君たちはどんどんと大きくなるね
もう抱っこして僕の胸に修まる背丈では無くて
いつまでぎゅっと抱きしめてあげることができるだろう
それを喜んでくれることだろう

君たちが大きくなってくれることが
こんなにも嬉しく思えるなんて
こんな喜びがあることを想像だにしてはいなかった
(そうしていつしか独り立ちする君たちに感じる寂しさもあるのだろう)

僕の代わり映えの無い慌ただしい日々が
君たちの成長に新鮮に区切られて行く
君たちがいなかったら知らなかったことが
まだまだきっと沢山あるね
だから僕は頑張ろうと思うんだ
力を振り絞ろうと思うんだ

もうしばらくは僕の傍で
手をつないでいてくれるかい
迷いばかりの僕の手を
引いて連れて行って欲しいから
僕のまだ知らない明日へと