買い物
「先に帰っているね」 そう言って子供たちは家に戻った 頼もしくなったな小さな弟がいても安心だ 信号の向こう側 楽しそうに話しながら歩く 三人の後姿をしばらく眺めていた 僕の先を歩いて行く者たち いつしか僕は君たちの後姿を 見送ることもできなくなるから その時にも歩き続けて行く君たちには きっと生の重苦しさがのしかかって それを励まし合える三人でいられれば良い 一夜の誤魔化しでも良い つまらない冗談で笑い合い慰めあって いつになったら僕はすっかりと安心をして 君たちの後姿を気にしなくなるだろう 僕の声もやがては届けられなくなる その背中を押すこともできなくなる いつまでも未練は残るだろう 君たちの為に言葉を尽くせなかった未練は けれど赦して欲しい 僕も知らないことだらけで生きているから 君たちに教えられる智慧はほんの僅かしかなくて 一番下の子供が泣いた 僕と一緒に買い物に行くつもりだったらしい 僕が信号を渡ったことに気が付かなかったとか 僕は大きく手を振って兄たちに任せて 足りない物を買い足しにお店に急いだ 子供たちの顔一人一人を思い出しながら 直ぐに君たちに会いたくなりながら