風のささやき

汚れた手

食事したままの汚れた手で
何の躊躇もなく
抱きついてくるお前たちのおかげで
服は毎日洗濯機への直行便だ

休む間もない洗濯機が
不平を言う口を持っていたらと思うと
ぞっとするよ

お前たちに握られた
携帯電話もお財布も
ベトベトとして
しょんぼりとした顔をして

けれどお前たちの手が汚れていると
教えることは
いいことなのだろうか

僕らは汚れを気にしすぎているみたいだ
こんなにも汚れてしまったと
思っている僕の手の自意識過剰
もう無邪気なままには広げられずに

ベトベトとしていても
すべての物に開かれた
お前たちの手に憧れているよ