風のささやき

小さな荷物

まだ日溜まりの香りする子供は
母の胸に抱かれた小さな大切な荷物
ゆっくりと電車に揺られて
降りる駅へと
夢見ながら運ばれて行く

乱れた髪と汚れたズボンと
笑い尽くして飛び跳ね疲れ
天使のように無防備に眠る
その消えない笑顔の上には
取り扱い注意の
見えない札が貼られていそうで

楽しい今日の出来事を
ゆっくりと反芻している
額には少しの汗も光り

大地と戯れた楽しさは
どんな栄養になるの
これからの長い時間
自らの足で歩いて行くことになる
君のまだ見ぬ未来の

眠りの中で懸命に
今日を消化している
君のいる幸せに
電車はそろりそろりと走る

大切な荷物を
手渡す駅を
間違えないようにと
慎重になって