風のささやき

読経

いつの間にか兄を押しのけて
胡坐をかいた僕の上に座り
動物の本に目をとおす君

こんな小さな体に
人の持つすべてを詰め込んで
膨らんでゆく心を収めて
これから僕の知らない
遠くまで歩いてゆくのだな

その遠い場所で僕の声が
君の耳の奥底に
木霊してくれればいい
僅かばかりの
ほんの僅かばかりの励ましとして

胡坐の上の君は小さな仏像
拝みたくなる
読み聞かせの声は読経
君の耳元へと届いて欲しいと思う