風のささやき

春の夕日

春の夕日は
子供たちの歌が溶け込んで優しい
誰もが少し疲れてそれでいて
満足をして微笑むように見える

家路へと帰る子供たちは
大きな背中に頬をつけて
それぞれに覚えたての歌を歌う
どこか音程もフワフワとして
綿菓子のように甘い

大人たちはいつの間にか背中に背負う
そうして護るべきものの確かな重さ
支え心を支えられながら

桜はいつの間にか散ってしまった
あまりにも慌ただしくて見事だとは言え
寂しくもなった気持
埋めるようにつつじが沢山咲いた
つつじ色の帰り道

木々の枝はすっかりと若葉を茂らせた
大木は伸びて行くことに喜びを感じ
やがて生い茂った葉で日蔭を作ること
それを毎年の習わしとして覚える

その下で憩う人がいることを
大切に思い心寄せること学ぶ
それは積み重ねる日々の
経験以外の何ものでもない

いつまでも歌い止まない子供も
今日の学びを終えた背中の上だから
ホッとして口をつくままの歌に
心を休めている

春の夕日がいざなうのは
住み慣れた家の部屋
今日も帰ろう
君たちがきっと休めるところ
また明日新しい学びを始めるために