風のささやき

誕生日

君がずっと楽しみにしていた誕生日
少し前から年を聞かれた時の練習もしていた
まだぎこちなく立てる三本の指も
そのうち真っ直ぐになることだろう

一年前のビデオと見比べてみると
随分と成長していることがわかる
毎日一緒にいるので気が付かない
その成長ぶりが嬉しくもあり
幼さの印象が薄れゆくこと
少し寂しくも思っている
いつまでも小さな子供として
可愛がりたい気持ちが
自分の中にはあるから

普段は振り返ることもない
生まれてきた日のことを思い出す日
三人の中では一番大きく生まれてきた君だから
目もきっちりと見開いて
僕の指をにぎった
髪の毛もふさふさとして
生まれたての笑顔が新鮮だった君を
皆が喜んで迎えた

君が新しく家族に加わって
笑う機会も増えた
この沢山の人の生まれ死ぬ世界で
君と一つ屋根の下で
暮らすことになった不思議
君を抱き上げた時の確かな重さ
君と一緒に吹かれている夕暮れの風は
昼の陽ざしが残りまだ暖かで

後いくつこれから
君は誕生日を重ねていくことだろう
その時々の喜びや悲しみを
分かち合える人はいつしか
僕らではきっとなくなっているのだろうけれど
その都度に自分の確かな成長を
感じ取れる君でいてくれることを祈っている