雲の綿菓子
ブランコを漕ぎながら子供が 「上の綿菓子を食べたいな」と言う 何の話かと思って聞いたら 雲を食べる話らしい 苦笑いをする僕に 「空でお食事している人もいるんだよ」と 嘘交えない言葉が続き 僕には見えないだけで 本当は透明な人が 楽しげな食卓を 囲んでいるのかもしれない 風はきっとその笑い声だ そこに招かれたのなら 人見知りをしない子供の事だ 直ぐにでも透明な人たちと友達になって 食いしん坊の子供のことだ 雲を一つは簡単に 平らげてしまいそうで ー子供の瞳には 空も地も一続き 透明な民も 自由に行き来する どれ程に広いその世界 ブランコが揺れて 空に近づく度に お菓子好きの子供は 物欲しそうに 空を見上げていた