雲の綿菓子
ブランコを漕ぐ子供が 「雲の綿菓子を食べたいな」と言う 何の話とたずねたら どうやら 雲を食べる話らしい 苦笑いをする僕に 「空でお食事している人もいるんだよ」と 嘘のない言葉が続く 僕には見えないだけで 本当は透明な人たちが 楽しげな食卓を囲み 風が吹くのは きっと その笑いの痕だ もし招かれたのなら 人見知りをしないこの子だ 直ぐにでも友達になり 食いしん坊だから 雲ひとつくらい ぺろりと食べてしまうだろう 子供の瞳はいいな 空も地も 一続きで 透明な人たちが 境目なく自由に行き来する どれほど広い世界なのか ブランコが揺れて 空に近づくごとに お菓子好きの子は 物欲しそうに 柔らかな雲を見上げていた
子供の自由な世界が羨ましくて。Last Updated 2025/11