風のささやき

パズル

もう何回目のパズルを
君は組み立てていることだろう
すっかりと目の中に焼きついたピースの数々
君の目にはもう組み上がった時の絵柄が
はっきりと見えているのだろうね
何の迷いもない手の動きの早さが
それを伝えているから

僕にも昔は
確かに見えていたのだけれど
僕の胸の中の数々のピース
一つの絵柄に組み立てられること

僕はその絵柄を早く完成させたいと
息を切らせて急いでいたっけ
ちょうど今の君のように脇目もふらずに

けれど今では僕の中には
見たこともないピースが散らばって
それがどんな絵柄の一部なのかさえも
想像がつかないでいるから
僕はそのピースを手に
重なり合わない辺を重ね合わせているだけ

途方に暮れながら
それがいつから
どんな風に紛れたのか
僕にはとんと分からない
何の関係もないピースの数々

僕の生にこんなたくさんの
ピースが配られようとはついぞ知らずに
僕はもう半ば諦め顔でいる
思い描いた絵柄を組み上げること

ただ悪戯に増えていく
ピースは胸の中に撒き散らかされるだけ
誰かがもってきてくれる
最後のパズルの一片が
すべてを完成させてくれるような
幸せな夢は夜な夜な
見ることもあるけれど

君が完成させた何回目かのパズルの絵柄
僕の生もそんなパズルのように
思うがままに簡単に
組み上げることができるのだと
確かに思っていたんだよ