風のささやき

詩編:憩い

大切な人

憩い

幸いの虹

雨上がりの山間の村に

陽だまりのひと

春の陽だまりのような眼差しで

手を伸ばして

青い空、あなたの髪が風になびく

この空に

この春の空はいつかあなたと一緒に

木漏れ日の茶会

これはどんな重力だろう

春風に散る桜の花びらを

砂上で

その横顔は涙で濡れていたのか

あなたに

たくさんの人で賑わう

巡り会い

あなたの束ねた栗色の髪が揺れ

新しい音色

自分の胸に

雪の駅で

あなたの横顔に

春の風邪

あなたが咳き込むたびに

この橋を渡れば

この橋を渡れば 君の家まで後わずか

別れ際のバス停で

ステップを踏んで 僕が先に降りて

秋のベンチに

あなたの肩に

君とまたこの道を

君といつかまたこの道を

枯葉の栞に

枯葉踏む音だけを耳が拾った

心通わせるときに

たくさんの言葉を感じた

春の別れに

僕の毎日の風景から

忘れゆく栞

いつからか 思い出すことさえも

嵐の音

「ねえ、嵐の音がするみたい」と

夢の中の人に

最後まで点っていた

写真に

一枚の 写真の上のあなたは

冬の思い

いつからか 雪は降り

晩夏の公園

噴水は 涼しい光の花束を咲かせた

港の見える公園で

港の見える公園の夕暮れに

夏の贈り物

籐の揺り椅子に

雨上がり

街に突然 雨をもたらした黒雲は

春の歌

今日も何気なく あなたと

眠りに落ちる前に

気がついているかな

春風の大地

ほら 肌にも柔らかな陽射しに

穏やかな思い

さっきまで騒いでいた 子供たちが

夕映えに

今日かわした言葉の

春の日に

あなたと見る

めぐり逢う日に

僕らのために 用意されている

潮風に歩いた日

衣服を遊ぶ

川縁を歩いて

広い川縁を

沖合へ

こぎ出したのは

草原のひととき

しっとりとした大気から

春の日に

並木道に若葉が

憩い

穏やかな日曜の午後

眠れない夜

がらくたな思いにあふれ

ある日

今日かわした

街で

歩き疲れ

また笑ったら

プロポーズ