風のささやき

暴れる心に

思いはときどき
 胸のうちにとどまらない
  溢れて流れでてしまう
   まるで一匹の獣の荒々しい勢いで

襲いかかるつもりではない
 傷つけるつもりではない
  ただあなたと別々の心模様で
   その埋められない距離にもがいてしまう
   
止める術を失くして
 ただ呆然と見ている
  僕ではない誰かが
   あなたに向かう
    暴れる心で言葉で苛む

苦し気なあなたの顔は
 物言いたげに唇が撓み
  悲しい色の瞳が
   音もなく僕を離陸する

分かっているはずなのに
 鈍器のような言葉を振り回せば
  あなたの白い肌はうっすらと赤く
   心はますます遠のくことを

人は何故人を
 傷つけることをするのだろう
  大切なはずの人を
   強く胸に抱いていたくて
    その思いが強すぎて

あなたはあなたの
 苦しさを堪え
  それでも微笑を湛える
   僕の目を真っ直ぐに見る
    何も言わずに頷いた

脆弱な心が恥ずかしい
 この暴れる心を
  飼いならすことが
   僕の成すべきこと
    大切なあなたを守ること
     唇を真一文字に思う

だけどやっぱり
 心が弱くなるときもあるから
  あなたを頼ってもいいですか

何も言わずにあなたが
 肩を寄せてくれることを祈る