風のささやき

雪の駅で

あなたの横顔に
雪は静かに降った
遠い街の街灯にも
そのおすそ分けが舞った

思慮深いその横顔に惹かれ
触りに来る雪
僕がそばにありたいと
思うことが不思議ではない
その証明

二人の間に割り込む
雪の意地悪の一つ一つは
あなたを隔てようとする
戸惑いに似ている

汚れた僕の手で
あなたに触れれば
雪の結晶のような
あなたが壊れて
しまわないかと

雪のくれた幕間
あなたの横顔を見る
その静けさを破り
話しかけてくるあなた
白い息を吐き
いつの間にか
色を失った唇も愛しい

突然 向かい合う戸惑い
愛しさに止めた息を
走りこんだ電車に救われて
それを合図に言葉を口にした
電車が舞い上げる
雪の向こうのあなたに
平静さを装いながら

胸の内を隠すように
雪は降っている