風のささやき

新しい音色

自分の胸に 
思いがけなく 新しい音色 
聞くたびに驚く うれしさよ
 
例えば 一番に降りてきて
地面を叩いた 雨音の新鮮さと
それに続く 土煙の匂いと
 
それは 僕の指先にまで
波紋のように 広がって行く
風に掠われても その余韻
体の芯に 温かく感じながら

だから僕は あなたの手をとり
その音が伝わるようにと 握りしめるんだ

思いがけない 胸の中の音色は 
とても楽しく 跳ね上がる
 
例えば 春先の子供の
スキップの 軽やかさのように
リズム良く 刻まれる音
その周りには はしゃぐ声が漂っている

それは 僕の頬をくすぐった
フワフワの犬の 尻尾にも似て
いつまでも ムズムズとして
自然と僕の顔が 笑いだすんだ

新しい音色は 心音と重なり
血潮に乗って 体を駆け巡る
だから僕は あなたをギュッと抱きしめて
高鳴る 心臓の音を 
伝えようと しているんだ
言葉を はるかに超えて