風のささやき

めぐり会う日に

僕らのために 用意されている
とこしえの 巡り合いに
逢いまみえるだろう 何度でも
太初の契りのままに お互いを必要として

いく千もの生に 挿げ替える顔にも
心の奥の 愛しさに惹かれ
当たり前のように 手を取るだろう
温もりを分かち 響く言葉を交わして

数多の夜の豊かさが 凝縮されている
あなたの瞳を 確かな予言のように信じ
ふれあう心は 弾く指と弦とにも似て
一つの音色に 高まるだろう

星屑の夜空 銀色の露に濡れる
天上の野原の 無垢なる静けさを離れて
太陽は いく億もの朝を巡る
駆り立てられる 新しい日の心

汗をかき 歯をかみしめる大地の労働に
きしむ背骨の あげる悲鳴は
声に ならない無念を
ささやかな夕日に 燃やして

抱擁の火照りを 鎮めて寂しい夜の風
青白い後悔を並べる 月光の時間は
那由多もの夢の かなわぬ涙に濡れて

長い物思いの 独白のとき
饒舌な舌は 言い訳を重ね
漆黒に 塗り込める思い
心の音信は 星屑よりも
離れ散らばり お互いを聞かず

高い空は 答えを持たない
いつまでも 黙したままだ
青い郷愁に 呼ばれ続ける
彷徨は 終わりを告げることもなく

とめどない 胸の鼓動は 
生きていることの 疼き
一歩一歩 重くなる
あゆみは 我がものとして
めぐり会う あなたに
騒がしさにも届く 言葉をたどり

悲しみの いばらは
あなたの耳に ささやきたい智慧
傷つく指先は 休めたりしない
心 一杯に 愛をつむぎだすために

やがて魂を 金色に染め
初夏の風に お互いを呼ぶ
愛しさのままの 抱擁に
微笑みあう めぐり逢う日のために