風のささやき

春風に散る桜の花びらを
一つ残らずひろい集めて
首飾りに編み飾りたい
あなたの白い胸を
ほんのりと色づかせる

散りゆく思いを真似て
桜はあまりにも惜しみない
花びらの一枚いちまいに
したためた文字は
尽くせないあなたへの気持ち
嬉しさはその花弁の縁取り

あなたが笑うと
切ったばかりの
甘い洋梨の香りがする
あなたと目があえば
そこは長く憩うことを
願うばかりの陽だまり
あなたに呼ばれた嬉しさに
息を止めることもある

あなたを愛おしむ日々は
花と咲く やがて
蜜蜂のように少しずつ集めた
蜜に甘くなり 桜色にそまり
その豊かさに耐え切れずに
膨らみ過ぎた思いは
いっせいに風に舞う
あなたとの出会いの幸いを
祝福するかのように

桜吹雪よ あなたを包め
そうして 絶え間なく
感謝を届けて欲しい
たとえ僕が その瞬きに
映らなくなる日が来るとしても
あなたのたたずまいを
ずっと桜色で飾っていられるように