風のささやき

笑顔を

教会の鐘は鳴る その音に合わせるように
 鳩が飛ぶ 一羽一羽が
  甘い祝福の 音色を背に
   飛んで行くよう
    届けて欲しい その幸いを
     いたるところに

祝福は 何処にあるのだろう
 思えば他愛のない 話に
  木々の生い茂る 坂道を
   上がる 一歩一歩の切れる息に
    一緒に目覚める 朝日の中に

あなたが 傍らにいる
 温かな人を 腕に包んで
  その温もりを 肌に感じる
   陽だまりが そこにあるように思う
    僕の中に 明るい場所が出来る

人はいつから 知るのだろう
 その瞳を眺めることが 楽しいことだと
  時間を忘れて 満ち足りる静けさ
   自然な微笑の 見飽きぬ造形

僕に向けられた 笑顔は嬉しくて
 そのまなざしに 魔法をかけて
  鳶色の宝石にして いつまでも
   胸に抱いて いられるのならば

不意にその様子を 月の光が
 覗き込んでいること 背中に感じて

僕らの笑顔は 守られるのだろうか
 蝕もうとする 多くのものから
  抗い続ける 力の無さに
   長い長い 時間を
    眠りについて しまいたくもなり

あなたを 笑顔にするものを
 一つ一つ 大切に拾い上げていこう
  そこに僕らの 道が続くように
   教会の鐘も 祝福してくれる
    幸いをきっと 授けられるように