風のささやき

夕映えに

今日かわした言葉の
いくつがあなたの 夕暮れていく胸に
流れただろう どんな音を立て

あなたは今日も 楽しくいられただろうか
あなたは 素直にうなずくけれど
いつも 自信がない僕は
少しすねた 子供を真似るように
それを信じられずに

買い物帰り 小さな荷物を手にさげて
赤く錆びついた都会の川に 石を投げる
退屈な音を立てる水面
水しぶきを立てた後にはまた
柳の影を下流に引っぱる遊びに耽る

今日も足早に 終わってしまう一日の
とりとめもない言葉を 胸の内から
焼き尽くして 黙らせる夕刻
なにか寂しく笑うことしか できなくなる僕を
通りすがりの自転車に 追い越されながら
待っているあなたの側へ

空一面が夕日に燃えている
焼き尽くされた街は
はかなく消えてしまった遺跡の
淡い語り口の物語のよう

こんな寂しさには あなたと
手をつないで 歩いてゆこう
闇に姿を奪われる夜には 力をこめて
僕はあなたと一緒にいたいから
寄り添う心のままに どこまでも