風のささやき

憩い

穏やかな日曜の午後
少し遅い時間
あなたと歩く春の公園は
若葉の柔らかな緑に色づいて

梢を眺めながら歩く
つないだ手は温かだった
心の温もりが そのままに
手のひらから伝わった

暖かな風も吹く
雪柳の白い花も揺れる
ベンチに誘われるように座り
眺める池の水面には
銀色のさざ波がたっている

目を細め 眺めている
太陽の精緻な筆使い
心地よい 疲れを
いつしか感じて
その眩しさと 自分の境目とが
あやふやになる 僕が
身をゆだねたのは まどろみだった

いつもの 物憂い
街の音も 人の声も
夢よりも淡く
遥かかなたで鳴る
遠い世界の出来事だった

子供が二人 戯れる声に
息を吸い込み 吐き出して
目を覚ましたときに
傍らには あなたの
静かな 笑顔があって

うれしくて あなたの肩に
もたれたまま見る 風景は
生まれたての 子供の目に映る
眩しいばかりの 世界だった

水鳥がゆっくりと
銀色の水面に 水脈をひく
その後を 目で追っていた