風のささやき

こころ

こころ向けの短歌のイメージ

さびしさ

とまどい

いつからか別れの予感胸に持ち君と一緒にいられないと知る 身を焦がす熱の裁きにうなされるあれこれそれは正しかったか 僕ゆえに役立ったことあるのかな一つぐらいはあればと生きる 暗がりの心と面の僕だから陽射しのかけらにとまどうばかりに チクチクと棘挿す口の苛みよ濡らして優しき朝露の言葉 生来に優しい人の羨まし道のり遥か仏の温和 冬の日を耐える言葉を探しおり探しあぐねて内を見るなり つかめると信じた夢は蜃気楼蒼ざめ日々の幻視を悼む 泣き言と甘えばかりに身を染めて世は疎ましき修羅場かな 弱さゆえ生きていること苦しくて声鳴き悲鳴誰か聞いてよ せせらぎや水はもつれて麗しく人はもつれて世は煩わし 坂道を落ちるボールの加速度で日々 息切れる僕を置き去る まだ騒ぐ日焼けの跡の潮騒は忘れ得ぬ恋の胸騒ぎに似て 哀しみを知るため人は生き急ぐ影より離れぬ老いを従え 悲しみは静けさに似る澄み渡り胸に沁むのみ取り出すすべなし 薄墨の空にもたげる郷愁の淡くざわめき思いも乱れて 花たちは一心不乱に美しく散々に乱れて僕だけ悲しく この目からかすむばかりの遠い羽根あるいは風に遊ばれているのか 秋の空自分の心に澄みきれば お前のように人からは遠くて 天上に大風地には吹きすさぶやるせなきかな人の大風 うなずけぬ暮らしにしたり顔をして日々に打ち消す胸の軋みよ

にがさ

温かき生の秘め事告げられる秘密溶け合う憂苦の濃さよ 軋み歌ドアのおんぼろ蝶番寂しさ歯噛み心おんぼろ 上手く行くはず上手く行かなくて子供心に石蹴り飛ばす 弾けるな季節外れのシャボン玉心潰れる刹那見るよう 悲しみもこの世の物と寂しくも笑う術知る年月生きる 思い出は消せず消しゴム使っても絵具重ねるそのカンバスに 一つだと思う川さえ裂かれ行く止まらぬ流れ悲鳴に聞こえて 眠れぬ夜嫌いなだけの僕といる苦しさ心強くするかな ひとしきり眠ったところで生も夢逃れる場所なし悲しみが見る 擦り切れて心はぼろに穴も開くけれど誰をも照らす朝の陽 身を燃やし地に堕つ枯葉悔いばかり悔いの錦や人生に似る 人の顔すべて影絵となり果てて人は枯れ行く野の露となる 悲しみは万力僕を締め上げて声なき悲鳴搾り取られる 夕映えに空痣だらけ眠られぬまた苦しみの闇の入り口 根拠なき自信の人が羨まし故なき不安に責められる我 満点のプラネタリュウムの星ほどの大志失くして常闇の瞳 蜘蛛の巣に絡みとられた赤とんぼ食われるために生まれ来たのか 妄想が火輪の様に回転し焼け焦げ落ちる虫食いの心 怒りにて心の歯車回す時焼き切れ落ちん思考の先が 悔むたび噛みしめられる唇が薄くなったか鏡眺めて 髪切りて生き続けるとすこの胸や憂い失せずは白雲のごとし 春風に包まれ僕の解れ行くバラの体は持ち去ってくれ 美しき言葉の上に眠るにはあまりに苦き僕の舌 若き日の君を慕いぬ愛しさを告げぬ言の葉いくたび噛みしむ ポケットのメモの言葉は色あせて感動失くし夕日冷たし 苦しみの寄せ止まぬ生もどかしく夢より急ぎ過ぎ去ってくれ また明日と来ない明日に期待して生食いつぶしまた明日を夢む 誤解とも正しきこととも言えぬ事増えて行くのみ口噤むのみ プリズムはその身に虹色 解き放つ 闇のみ吐いて歪んだ僕だ 水を飲む喉の渇きは癒せども胸の渇きは何で癒せる 色あせた栞読ませる言の葉やその後の僕は何を出来たか 窮屈な人生抜け出す風穴を探し青空今日も見上げる 思い出の写真破るはほろ苦く恋し初めのときめき苛む 借りてきて 言葉がらくた薄っぺら 心で磨き しみる言の葉 野良犬の悔しい目をしてつきまとう疼き続ける心の古傷 いく年も思い重ねた胸のうち半分さえも口に出せずに 悲しみは締まり続ける万力で絞られ続ける声なき悲鳴 届かない夢に伸ばす手へこたれて恨み辛みを覚えはじめる

やわらぎ

昨日まで頭に入らぬ文字並ぶその詩親しく語り始める 懐かしき曲詰め込んだCDは昔の思いも押し込む物と 一面の菜の花夕日汽車ポッポ柔き胸の香笑う子の夢 道具持つ手の表情に数多あり一つ一つが良きものへの祈り 300年生き抜くことは有り難く何を思うかブナの巨木よ 丸い月独り舞台の空にいる まぶた閉じれば心もまんまる 小鳥にも響く教えを説く人の絵の下に立つ祝福浴びたし 歳月に変わる人いる変わらない友と飾らぬ会話で笑う こんなにも心のままに話しても無理なく分かる気持ちよき君 たおやかな陽射しを翅に赤とんぼ澄み切る風に鎮魂の儀 春に咲く花は野に待つ恋人か出会い祝して心浮き立つ 溜息に毒気も抜けて街灯り綺麗だ気づかぬままいて僕は 毎日の空の色合い違うこと感じて生きる我でありたい 青空が映える水田茅葺を見れば穏やかになる胸の何故 早起きや咲いたばかりの朝顔の笑顔に与る三文の徳 犬と目が合うほど電車がゆっくりと進む青田の皆こざっぱり 蜜柑成る明るき木の下手を合わせ恵み落ちるを待ちたく思いて 仏像の顔それぞれの品がありそれぞれなるから楽しくもあり 虹映える瞳明るく喜んで軽き視線は鳥と遊ぶよ 流れ星燃え尽きれども星数多空に慰め消えることなし 金柑は太陽の色残る道心温もり歩いていける 咎め無き牛の瞳に百日紅その片隅に我憩いたく 旅空にあれば心も騒ぎ出し愉快な言葉を語り出す 何もせぬ休みの夕べの穏やかさ庭にで植木と風に吹かれる 感じては素直に声にする鳥よ 爽やかな朝 そのままの歌 僕であり あり続けること痛みとし 生きる辛さを 慰める花 窓からの陽射し背中に優しくて電車でこのまま運ばれていきたい 8年も会わずにいた友 語らえば とき遡る あの日の心に いつまでも僕を慕ってついてくる月にさよなら憚られてさ 手のひらをくぼませ朝の陽の雫 夢見る力 湧く泉なれ 唇に明るい陽射しが触れている言葉も少し軽く流れる