風のささやき

哀しみを知るため人は生き急ぐ影より離れぬ老いを従え

長く生きていけばそれだけ
知らなくてもよかった
哀しい出来事を覚えます

まるで人は哀しい出来事に
出会うために
生を急いでいるようにさえ見えます

そうしてその足元には
影のように慕って離れない
老いが従い着いて来て
人を苦しめます

もっとも哀しみと同じぐらい
嬉しい出来事にも出会えるので
一生懸命に生きることを
止められないとは思うのですが