風のささやき

野良犬の悔しい目をしてつきまとう疼き続ける心の古傷

僕の後を
いつまでも野良犬がついてきました

よっぽどお腹をすかせたのでしょう
余り物をあげたら
まだ何かもらえると
思い込んでいるようです

悪いことをしたなと
後ろめたさを感じながらも
何食わぬ顔で歩き出すと
未練がましい目をわざと伏せてついてきます

きっと何ももらえないことは
半ば分かってはいるのでしょう
それでも淡い期待を諦めきれずに

そんな野良犬の姿は
胸の内に消せないままに付き従う古い傷
後悔の疼きにも似て

犬がますます哀れに思え
走るように足早に歩きました