★旅い★

NO.16

2005年01月10日(月)〜18日(火)まで9日間


アフリカ大陸の北西に位置するモロッコ。
往年の映画の舞台「カサブランカ」… 世界最大のサハラ砂漠…サハラ砂漠でらくだに乗って見る地平線から昇る日の出… 。
スペインに行ったとき、ジブラルタル海峡を挟んですぐ前に見えたモロッコ。
日本からの直行便がなく、ヨーロッパで二番目に大きいドイツ・フランクフルト空港で乗り継ぎ、まるまる一日かかってカサブランカに着きました。どこの飛行機でも不便で簡単には入れないそう。
モロッコは遠い国・・・というのがまず最初の実感。日本との時差は9時間です。



◆2日目 1月11日(火)◆



映画「カサブランカ」の舞台が再現されている「バー・カサブランカ」は今もハイアットリージェンシーホテルの一階にあります。カサブランカで一泊したあと、「バー・カサブランカ」のホテルを見て首都ラバトへ。左に大西洋を見ながらの北上です。波穏やかで晴天なり。朝は冷えましたが日中は暖かく20度に、冬の今がベストシーズンです。

王宮全景ハッサンの塔:世界第3位

現ムハンマド6世(41歳)とその家族が住む王宮。1999年に継いで6年目になります。白い壁に緑の屋根が鮮やかで軍隊、警察、衛兵などが警備をしており、それぞれ服装により見分けられます。
モロッコの首都ラバトは行政上の中心地、人口150万人でモロッコで二番目に多く(一番はカサブランカで350万人です)、静かで落ち着いた雰囲気の街となっています。
フランスから独立を勝ち取った前国王・ムハンマド5世の霊廟と同じ敷地内にあるハッサンの塔は、入り口で真紅の衣装をまとった衛兵が白馬に乗り守っています。このミナレット(尖塔)は88mの予定が44mの高さで未完成のままですが、スペインのヒラルダの塔、マラケシュのクトゥビアの塔に次いで世界第3位を誇っています。ニョキニョキと立っている360本の大理石の柱はモスクの跡です。真っ青な空の色がとても美しい。


ラバトから東へ140q、高速道路を通り世界遺産の古都メクネスへ。なだらかな丘陵に広大な畑、放牧場、ぶどうやオリーブ畑、大きなサボテン、黄色い花の絨毯が延々と続きます。モロッコの自給率は100%で食物は豊富。トルコも自給率100%でした。イタリアのスパゲッティもモロッコで出来た小麦が原料とか。今は丁度農閑期ですが農業が盛んで、大麦、小麦、人参、キャベツ、ポテト、トマト、玉ねぎなどなど豊富に収穫されます。

王都の入り口 マン・スール門ムーレイ・イスマイル廟の入り口

17世紀に首都として栄えていたメクネス。それはムーレイ・イスマイルの時代で、ヴェルサイユ宮殿を目指し、古い建物を壊し数多くの城壁や門、モスクなどを建設しました。マンスール門は青と緑のモザイク模様で北アフリカで最も美しいイスラム建築と言われています。イスマイル廟は唯一「非ムスリム」でも入場できたモスクです。モロッコのモスクは信者以外入場することが出来ないのです。



◆3日目 1月12日(水)◆



世界最大の迷路と呼ばれているフェズのメディナ(旧市街)。美しいタイル装飾のブー・ジュルード門をくぐると厚い城壁に囲まれ、1000年以上前に建設された街並みが広がります。ここは人々の生活の場でもあるのです。食品街やなめし革染色職人街、香料・香辛料街、衣類街、家具、食器、絨毯……道の両側に店がずらっと並び、何でもあります。1000本もの袋小路は小さく狭く、くねくねと路地が入り組んでいます。横道から大きな荷物をいっぱい背負ったロバが突然現れたりして、よそ見しているとぶつかりそうになります。アブナイアブナイ〜〜。人々のざわめき、迷路の中に突然現れるモスク、どこをどう行っているのかさっぱり判らない…世界遺産フェズのメディナは目いっぱいキョロキョロしながら、とにかく迷子にならないようにガイドさんについていくのが精一杯でした。

サウ・トウ・ウォッシュの丘から見たフェズのメディナ(旧市街)
フェズ・エル・バリ

メディナの入り口 ブー・ジュルード門

モロッコ最古のカラウィン・モスクアッターリン神学校

一般家庭でミントティーの入れ方講座商店街のお店

テラスから見たタンネリ(皮染色職人地区)小さく狭い路地・荷物の運搬はロバ



◆4日目 1月13日(木)◆



3000〜4000m級の雪のハイアトラス2178mザード峠の標識

旅の4日目はフェズよりモロッコ中央部に北と南を分けるアトラス山脈を越えて、サハラ砂漠の入り口の街エルフードまで行きます。2週間ほど前に大雪だったようで、まだあちこちに雪が残っています。雪の時は通行止めとなることがあるようです。
荒涼とした山のなかにオアシス、そして町、日干しレンガの家、ポツンポツンと人…1人だったり2〜3人だったり。渓谷のなかに現れたダム、くねくねと曲がる険しい道、赤い土や岩。モロッコらしい風景を堪能する一日となりました。



◆5日目 1月14日(金)◆



しっかり着込み日の出2時間前の早朝5時、4輪駆動車でエルフードのホテルを出発して、サハラ砂漠のメルズーカ大砂丘へ向かう。
手をかざせばつかめそうな満天の星が輝く。道なき道を走ること約1時間、真っ暗闇で前を走る車のテールランプが見えるのみ。慣れたものしか出来ない運転、まるでラリーのようなスピードは迫力満点。
砂丘前でらくだに乗り替えたが、真っ暗の中のらくだもまたスリルあり。大きくて背が高くて不安定でしっかりつかまっていたが、2〜3分もするともう慣れリズムを取っていた自分がおかしい〜〜。シーンとした静けさ、暗い砂漠の稜線とバックの空に浮かぶらくだの隊商を思わせるシルエット。とても美しく幻想的。
片道20分ほどのらくだ騎乗で、あと少しは砂丘の高いところを目指し自力で登る。 さらさらのきれいな砂。らくだ案内人のベルベル人の青年ともすっかり仲良しになり、しばし日の出を待つ。日の出と共に刻々と変わる景観、オレンジ色に輝く砂漠の砂が延々と広がる。感激!!感激!!
興奮さめやらぬうちに再びらくだに乗り、「♪月の砂漠♪」を歌いながら帰路につく。
この旅の一番のハイライト、よかった!!今もしっかり脳裏に焼きついている。

サハラ砂漠の日の出:1月14日AM7時25分


サハラ砂漠で日の出を見たあと、再びらくだに乗る

日の出を見て砂漠の坂を下りてらくだの所へ4輪駆動車で砂漠を行く(帰り)

日の出を見たあと今度は砂漠にあるベルベル人のテントを訪ねる。砂漠に住むベルベル人の多くは移動をしながらのテント生活をしている。テントの横には大きなかまども作られ、ミントティーがふるまわれていた。テントの前ではアンモナイトの化石や、砂漠が作り出した砂の結晶・自然の芸術品、デザートローズ(バラの花に似ている)などを売っていた。

ベルベル人の住居を訪ねて砂の結晶デザートローズ(砂漠のバラ)

★モロッコはアラブ系65%、ベルベル系35%の民族構成。ベルベル人はマグレブの先住民。マグレブとは一般にモロッコ、アルジェリア、チュニジアの北西アフリカ三国を指します。




ホテルに戻って遅い朝食のあと、カスバ街道を一路トドラ渓谷へ。ここはモロッコのグランドキャニオンと呼ばれ、渓谷の眺めは素晴らしい。映画「アラビアのロレンス」はここで撮影されている。街道沿いには大小のカスバが点在し、ナツメヤシの木の緑に赤い日干し煉瓦の家、建物と同じ色の山、絵になる風景だ。昼食をとった渓谷の中のレストランは切り立った岩壁の前の川を渡って入って行く。高さ200mという断崖絶壁を見上げると、ロッククライマーたちの姿が点となって見えた。

切り立った岩壁が立ちはだかるトドラ渓谷

渓谷に点在するオアシスの町:中央にモスク観光用のらくだもいる



◆6日目 1月15日(土)◆



エルフードからワルザザード、そしてマラケシュへと「カスバ」と呼ばれる城壁に囲まれた大小の要塞都市が点在している。カスバとは「要塞」「砦」のことで、支配者の居住地、地方の小さな砦や宿、商人の家、町全体を言う場合もある。四隅に四角い出っ張りのある建物はベルベル人の築いたカスバとわかる。

街道沿いの大きなカスバ、今はホテルやレストランになっているものもある


18世紀初めの集落でハッドウ家の一族で住んでいた日干しレンガ造りのクサル(要塞化された村)アイト・ベン・ハッドウは世界遺産に登録されている。丘の斜面と一体化したように並ぶ家々は数あるクサルの中でも群を抜いた美しさ。現在もベルベル人の5〜6家族が住んでいる。中に入って階段や坂道を上っていくと内部は綺麗に整備され、家畜を飼っているのかその匂いもどこからともなくしてくる。川が増水すると渡れない、電気や水道がない(世界遺産に指定され制約)などでかっての居住者たちのほとんどが小川の対岸の新しい村に移り住んでいるそうだ。

アイト・ベン・ハッドウの全景上へ上へと上って行く

上から見た周りの風景と小川の対岸に作られた新しい村



◆7日目 1月16日(火)◆



★伝統的な水売りのおじさんはカラフルな衣装

モロッコの中央にあるマラケシュのメディナは世界遺産に登録されています。その中心にあるジャマ・エル・フナ広場は広くて活気があり、お祭りのようなにぎわい。音楽家やアクロバット、ベリーダンス、へび使い、占い師などを囲んで、広場のあちこちで人だかりが出来ている。その中をカラフルな衣装の水売りのおじさんが行き交い、水を買って飲んでいる人がいる。日が暮れるとますます人出が増えるそう。ぼつぼつ夕食どきで広場中央ではカバブ(串焼き)やエスカルゴ、クスクスなどモロッコ料理の屋台が美味しそうに湯気や白煙をあげている。広場北側にも衣類や陶器、木工品、革製品、食料品などたくさんの店があり見ているだけでも楽しい。
時間が許せばこの街のエネルギーをもう少し味わってみたい…

ジャマ・エル・フナ広場はいつもおまつりのようなにぎわい!!

屋台のドライフルーツ屋さんとメディナの香辛料のお店

マラケシュのシンボル:クトゥビアの塔(65m):世界第2位

クトゥビアの塔はもともとモスクの一部として12世紀に作られたが、今はミナレット(塔)を残すのみとなっている。4面それぞれ異なった美しい装飾を持つムーア様式建築の傑作。中は6階まであり、スロープになって階段はありません。メディナの広場の近くにそびえ建ち、世界第2位の高さです。

メナラ庭園
アトラスの雪解け水が鏡のように美しい貯水池と離宮




●●●モロッコの総面積は日本の約1.2倍。ほぼ中央に北から南にアトラス山脈が走り、モロッコの地理を大きくふたつに分けている。アトラスから北西部・首都ラバトやカサブランカ、フェズなど(大西洋岸や地中海岸)は肥沃な平野が広がる穀倉地帯、アトラスからの南東はところどころに点在するナツメヤシのオアシスと砂に覆われた世界。
男性は「ジュラバ」というフード付きのくるぶしまで届く上衣を着、頭には2メートルほどあるスカーフをターバンのように巻いている。40度以上になる真夏の砂漠では暑い太陽光線を防ぎ、風通しもよく、砂嵐が舞う季節には砂がたまるのを防ぐそうだ。女性も黒や白の生地で上から下まで覆っている人が目に付き、スカーフをして顔を隠している人も多い。宗教上や文化面から女性の写真撮影は要注意で、カメラはむけられない。
カサブランカから首都ラバト、フェズ、エルフード、ワルザザード、マラケシュと大西洋岸から時計回りの旅のルートを取り、再びカサブランカに戻ってきた。乾燥した砂と岩に覆われた世界から、久しぶりに見た牧草地帯や広い麦畑の鮮やかな緑が美しく、地域の違いを感じる。美しく面白く楽しい幻想的なモロッコの表情や魅力を見ることが出来た。
こうしてホームページを作っているとフェズの狭く入り組んだ迷路、世界最大のサハラ砂漠、美しくスケールの大きなメルズーカ大砂丘で見た日の出の美しさとベルベル人青年の人懐っこい笑顔、マラケッシュのジャマ・エル・フナ広場のお祭りのようなにぎわい…と再び感動の数々がよみがえってくる。とても全てを語り尽くせない…モロッコの旅は本当に面白く楽しかった!!!





前菜として、パイ皮つつみ
クスクス
カバブ

オムレツベルベルバージョン
サラダ
ベルベルタジン

ミンチボールと玉子のタジン
チキンのタジン
タジンケフタ

クスクス…粗い粒状の小麦粉を蒸し、人参やひよこ豆、ズッキーニ、カブなどいろいろな野菜と羊肉などを煮て上にかけ、食べる時にスープもかけて具を混ぜてたべます。
カバブ…羊肉を串に刺して炭火で焼いたもの。ミンチ肉の時もあります。
タジン…厚い陶製の浅鍋で煮込んだものをいいます。調理法は独特で、鳥肉・羊肉などにいろいろな野菜を入れ、鍋と対の三角帽子のような陶器のふたをかぶせてじっくり煮込みます。目の前でふたを取ると熱々の湯気が立っておいしいです。スパイスや野菜、肉や魚、玉子と材料や味付けの仕方が色々で種類も豊富。鍋に入ってでてくる料理をタジンというようです。
サラダ…農作物が豊富なモロッコはサラダの種類も多く新鮮で美味しい。モロッコでは野菜不足にはなりません。
ミントティー…銀製のティーポットに新鮮なミントの葉と少しのグリーンティー、砂糖のかたまりを入れ、熱湯を注ぎ5〜10分ほど煮立てます。フェズのメディナで美味しいミントティーの入れ方講座がありましたが、グラスに注ぐ時は高い位置から。泡を立てるのがいいそうです。砂糖が入って少々甘いが香りがいい。モロッコではミントティーがおいしい。ポットを買ってきたので、早速庭にミントの苗を植えました。


旅の撮影:CASIO EXCILIM 4.0 デジタルカメラ
(update:2005/02/12)



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