NO.9

2003年02月14日から
地中海の楽園・シチリア島と南イタリア周遊紀行 8日間


暖冬の予報が外れ思わぬ強い寒気で、この冬はとても寒い日が多かったですね。
寒い日本から地中海の暖かい所へ、美しい自然と古代の遺跡を訪ねて・・・南イタリアへと旅立ちました。
23年ぶりに訪れるナポリ・ポンペイは変わらぬ姿で私たちを迎えてくれるのでしょうか・・・
どうぞご一緒に南イタリア世界遺産の旅に出かけましょう!




T.ナポリの歴史地区(1995年世界遺産指定)

あの有名な言葉「ナポリを見てから死ね Vedi Napori e poi muori!」
・・・一生に一度はナポリを見てください。それだけ素晴らしいですから!!・・・

ヌオーヴォ城 プレビシート広場から見たガッレリアと王宮

ナポリの歴史地区にあるカステル・ヌオーヴォ城はフランスのアンジュー家の居城でした。5つの塔で構成され、中央の入り口にはみごとなルネッサンス様式の凱旋門があります。右の写真のプレビシート広場から歩いて2分の所にあります。 中央に見えるアーケードはウンベルト一世のガッレリアで1890年に建築され58mの高さがあります。ガラス張り天井が印象的でとても見事です。内部はショッピングアーケードです。手前右はバロック建築の王宮で正面にはナポリ王8人の彫像が並んでいます。

ナポリ・・・ 23年前にナポリを訪れた時はスリや犯罪が多発して治安が悪く、車窓観光のみで街は歩けませんでした。ガッレリアの外観と、庶民的な風景で建物の間に洗濯物がずらりと干されている様子が印象に残っています。旧市街が1995年に世界遺産に指定され、「危険なナポリ」から現在はさまざまな文化や数々の芸術作品、「歴史の宝庫ナポリ」として観光客の数も増え、大きく様変わりしていました。今回は歴史地区やガッレリアのアーケードの中を歩きましたし、サンタ・ルチアの港からの風景が素晴らしく、楽しい時間を過しました。



U.ポンペイの考古学地域(1997年世界遺産指定)

ヴェスヴィオ火山の大噴火で一瞬にして消え去った古代都市

ヴェスヴィオ火山を背景にポンペイの町 メイン道路のアッポンタンツァ通り

ポンペイの町は西暦79年8月24日昼少し前、ヴェスヴィオ火山が大噴火をおこし時間を止めた古代都市です。この17年前の62年に大きな地震があり、これからあと100年くらいは何もないだろうと安心していたそうです。25,000人の人が住んでいました。神殿や両替所、政治、宗教、商業の中心となっていた所や共同浴場、居酒屋、パン工房など2000年前の日常生活の様子は現代とほとんど変わりません。
23年前に訪れた時と変わらない馬車のわだちが残る石畳の道を歩き、今なお行われている発掘作業を見て考古学的な遺跡の魅力を存分に味わいました。
標高1281mのヴェスヴィオ山は珍しく頂上に雪をかぶり、やさしい姿でポンペイの町を見おろしています。



V.アマルフィ海岸(1997年世界遺産指定)

エメラルド色の海と世界で最も美しい海岸線のひとつといわれている岸壁上の街

イタリアを代表する観光地。入り組みそそり立つ断崖に築かれた白い家と美しい海岸線。エメラルド色の海は明るい陽射しに輝いています。
つづら織りの道の続く途中の展望台で下車して写真タイム。自然と歴史に彩られ、すべてがゆったりと穏やかで絵画的な風景は飽きる暇もない美しさです。
海岸通りは狭いのですが、日曜日といいお天気が重なりたくさんの車でにぎわっていました。




W.マテーラのサッシ群(1993年世界遺産指定)

岩山と住居が合体したような洞窟住居群


マテーラの洞窟住居を「サッシSassi」といいます。街の繁華街から一歩入ると目の前にカルスト大地の白灰色の岩に重なり合うようにして建つ住居群がパノラマのように広がり、その光景は過去にタイムスリップしてしまったような錯覚を覚えました。少し夕暮れ時ではありましたがイタリアの陽射しは明るいのに、今にも崩れそうな洞窟住居がぎっしり連なり寂しげで廃墟の街のようです。1700年初期の洞窟住居の中を見学しましたが、家畜と一緒に住んでおり、白い岩肌がとてもきれいでした。以前は電気、ガス、水道がなく貧しい人たちが住んでいた所で一斉退去させられましたが、現在ではまた人々が戻りかけており、今は反対に裕福な人たちが来てセカンドハウスなどになっています。写真中央上部に写っているのはロマネスク様式のドゥオーモです。2時間ほどかけてサッシ群の中を歩くうちに暗くなり、あちこちの家に灯かりがついて幻想的です。街の繁華街に戻るとサッシ地区の光景とは違いカーニバルで賑わっており、地元の小さな女の子達がとてもかわいく変装していました。



X.アルベロベッロのトゥルッリ(1996年世界遺産指定)

とんがり屋根のかわいいおとぎの国のような村


高さ415mの丘の上にあるアルベロベッロ。真っ白な壁にとんがり帽子のような屋根が載っている建物を「トゥルッリTrulli」といいます。このとんがり屋根が町の旧市街にびっしりとある不思議なおとぎの国のような光景がありました。この屋根はしっくいがなく四角い台座の上に石灰岩の石を薄く切って円錐形に積み重ねているだけです。屋根の一番上の飾りは「ピナーコロ」と言い、おさえと飾りになっており、白く大きく描かれたミステリアスな魔よけの絵文字が印象的です。トゥルッリの建築様式は11世紀にさかのぼり、中近東など東の方から伝わってきたのではないか・・・と言われています。約1000のトゥルッリがあり、現在は30%が住居、30%がお土産やさん、40%が無人となっています。イタリア南部ですが屋根に雪があり珍しい風景になっていました。






Y.アグリジェントの考古学地域、神殿の谷(1997年世界遺産指定)

地中海の見える丘に建つ古代ギリシャの神殿群

コンコルディア神殿 ヘラクレス神殿

アグリジェントは紀元前6世紀ころ、この地に入植してきたギリシャ人によって開拓された町。コンコルディア神殿はシチリアの中で最も保存状態がよく、ほぼ完全な姿をとどめるギリシャ神殿建築の最高傑作で、紀元前450年ころ建造されたものです。シチリアの南の端のアグリジェントにはギリシャでも見られないたくさんの神殿があります。 紀元前520年の建造で、アグリジェントのドーリア式神殿の中では最も古いものです。
前面に6本、側面に15本の円柱が並んでいましたが、地震で倒壊。現在の姿は1924年英国人考古学者ハードキャッスルの復元作業によって得られたものです。
天に向かって伸びる円柱はたくましく神秘的な力強さを感じます。

ジュノーネ神殿 とてもかわいいアーモンドの花

紀元前470年に建造され、25本の柱と、柱の上の横材の一部が残っています。南に広がる地中海と神殿の谷の遺跡群は「人間の都市のうちで最も美しいもの」と言われています。神殿の谷は夜間ライトアップされ、幻想的な神々しい姿を一層ドラマチックに浮かび上がらせて美しく、それはそれは見ごたえがありました。地中海に臨む丘の中腹にあるアグリジェント。神殿の谷と呼ばれる考古学エリアには9つの神殿と10の神殿跡や廃墟があり、毎年2月にはアーモンドの花祭りが開かれます。温かい陽射しに澄み渡った空、ギリシャの大遺跡の数々、目の前に広がる紺碧の地中海。ピンクや白いアーモンドの花がたくさん咲いてとてもきれいです。

南イタリアの世界遺産・・・ 南イタリアには9つの世界遺産がありますが6つの世界遺産を訪れました。人類にとってかけがえのない自然遺産や文化遺産。イタリアの遺産はすべて文化遺産です。
ギリシャ植民地時代の神殿、ナポリの歴史地区の数々の建造物、一瞬にして死の町と化したポンペイ、マテーラの岩穴都市、おとぎの国に迷い込んだようなトゥルッリ、歴史と自然に彩られたアマルフィ海岸など次の世代に受け継ぐべく登録された世界遺産は大切に保護、保全されています。



シチリア島・タオルミーナのギリシャ劇場

青い海と壮大な野外劇場

紀元前3世紀に海を見下ろす断崖絶壁の上に建てられたギリシャ劇場。
観客席の上に登ってこの劇場を見渡すと、列柱の向こうに紺碧のイオニア海とエトナ山の雄姿が広がり大パノラマがみごとで素晴らしい眺めです。
今も夏にはバレーや演劇、コンサートなどが開かれており、海を背に建造されていますので音響効果は抜群だそうです。



カプリ島・青の洞窟

カプリ随一の名所
今回はカプリ島に宿泊するツアーで青の洞窟を楽しみにしていました。
晴天で波静か、風もありませんでしたが潮位が高く舟が出ません。入り口の高さわずか1mなのです。
で・・・陸路からバスで20分、岩場の階段を下り洞窟の入り口のそばから覗き込みました。
左の写真はそのときのもので鉄サクの向こうが入り口です。
写真や映像でよく見る太陽光線に照らされた不思議な青い光が岩のそばの水にほんの少し見られ納得。洞窟内の幻想的な青を想像しながら・・・



旅行後記・・・ 久しぶりに訪れたナポリ。フリータイムで歩いたガッレリアの中のアーケドや街の雑踏がとても嬉しく 何度も立ち止まり振り返ってしまいました。
2月中旬〜下旬のアグリジェントは初めて見るアーモンドの花が咲きとてもきれいでした。南イタリアは柑橘類とオリーブの木がたくさんあり、オレンジやレモンの実がたわわになっています。食事の前菜で出されるパスタはどれもおいしかったです。私の一番のお気に入りは水牛のお乳から出来ている真っ白なモッツァレッラチーズのピザ・マルゲリータで、シチリア名物のライスコロッケのアランチーニもおいしいですね。声量豊かなナポリ民謡を聞きながらの食事は楽しいひとときでした。青の洞窟が入れず残念で機会があればもう一度行きたいです。


旅の撮影:OLYMPUS CAMEDIA デジタルカメラ
sound:イタリア民謡 「サンタ ルチア」

(update:2003/03/12)



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