NO.26

2008年05月19日(月)〜23日(金)まで5日間



中国の国旗 五星紅旗

今年は「日中平和条約締結30周年」という記念すべき年。5月6日に国家主席として10年ぶりに、胡錦濤国家主席が来日され友好の絆が深まりました。
ところが5月12日に中国・四川大地震が起こり、多くの人たちが被災しています。13年前の阪神・淡路大地震を経験し、その傷跡は今もなお残っていますので、想像を絶する大災害に心痛む毎日です。そんな中での中国・福建省訪問でしたが多くの亡くなられた人たちや被災者に全国民が哀悼の意を込め、各地の寺院では大勢の人たちがお参りをしていました。
台湾海峡をはさんで台湾と向かい合っている福建省は亜熱帯の海洋性気候で年間平均気温は17℃〜21℃、風光明媚な土地です。面積は28万平方km(日本は36万平方km)、人口3471万人、海のシルクロードの基点でありウーロン茶などの銘茶の故郷としても知られています。今回の旅の目的は欧米人の祖界地で洋館とピアノの島「コロンス島」、洋風建築が立ち並ぶエキゾチックな美しい街「アモイ」、そして世界的に有名な円形集合住宅「客家土楼」を楽しみに訪れました。
関西国際空港PM15:25発深セン航空に搭乗、時差は1時間でPM17:40福州長楽国際空港に到着。広くて綺麗な空港で気温は21℃。夕食のあと最近出来たばかりの高速道路を通り一路泉州へ向かいました。
ご一緒に旅の写真でご覧下さい。



福州から南へ180q、マルコポーロがかって”第2のベネチア”と称した大貿易港「泉州」は海のシルクロードの起点としても有名な古くからの港町です。泉州市は人口650万人。朝ホテルの窓から外を見ると、そばの広い道路には自転車、車、大型トレーラー、バス、三輪車、二人乗りバイク、リヤカーなどが通っています。

天后宮(てんこうきゅう) 1196年(南宋の慶元2年)に創建された中国で最も古く規模も大きい媽祖廟で天妃宮とも呼ばれている。近年山門や鐘鼓楼、劇台などが再建され、山門には綺麗な色を使った見事な屋根飾りがありました。媽祖は海上の女神として崇められています。
天后宮の大殿新しくなった山門の綺麗な屋根飾り


清浄寺(せいじょうじ) 1009年に創建された清浄寺は面積1200u、1000年の歴史をもつイスラム教の寺院で、シリアのイスラム教寺院を参考にして建てられたそう。三階建てのアーチ型に尖った門楼は高さ12.3m・幅45m。中に入ると地震で屋根がなくなり、イスラムの文字が彫られている石の壁と柱が残っているだけの礼拝殿がある。泉州は海のシルクロードの起点として、7〜14世紀には世界中の貿易商人が集まっていたが、数多くのイスラム教徒が住んでいたため立派な清浄寺があるという。
清浄寺正門屋根がなく石の壁と柱だけの礼拝堂


関岳廟(かんがくびょう) 三国志の英雄「関羽」を祀っている。先の中国・四川大地震で19日から3日間全国民の黙祷の日が設けられていました。関岳廟では長い線香を持ち果物などのお供え物をして一生懸命祈っている大勢の人たちがいます。関岳廟は関羽に憧れ、いつも若い人たちがよく訪れるようです。
関岳廟の正門飾り瓦が綺麗で見事


海外交通史博物館は海上交通専門の中国唯一の博物館です。1990年に出来た現代的で綺麗な新館内を見学しました。泉州湾から引き上げられた木造船や出土した海事遺物、いろいろな宗教の石刻などが数多く陳列されています。
展示されている木造船漁村の風景を再現





泉州から120km、アモイ(厦門)は福建省の東南部、九龍江の河口に位置する港湾都市で人口147万人、対岸には台湾があります。アモイは気候が温暖で、中でも中心となるのはアモイ大橋を渡って東西13km、南北14kmのアモイ島。島の中には大きな企業が無く空気が綺麗で緑が多く特に住環境がよい。建物の80%が新しいマンション、走っている車やバスも綺麗でバイクの乗り入れは禁止され…と中国の街のイメージとはちょっと違っている。エキゾチックで美しく海南島、青島と並んで中国のハワイとも言われている。アモイ鉄道陸橋やモノレール、マンションの建設ラッシュ中、まだまだ発展していくようだ。大学人口25000人と言われているアモイ大学もあり、多くの日本人留学生も中国語の勉強をしています。アモイ島の外は土地は広々としゴルフ場もあります。山は岩山で石炭、大理石、セメントなどの工場がありますが綺麗な街です。アモイは経済特区に指定され、外資が多数進出し、日本企業も多いそうです。

車窓から:アモイの街並風景朝8時、ホテルの前はモノレールの工事中


胡里山炮台(こりさんほうだい) アモイ島の南海岸、胡里山にある胡里山炮台。1891年から5年の歳月をかけて出来た海上防衛のための要塞です。ドイツ製のクリップ砲が今も残り台湾に向かって設置されています。砲口の直径28p、砲身の長さは14.8m、射程距離10460m、目の前には台湾の小金門島が見えています。
ドイツ・クリップ社製の大砲胡里山炮台からの景観


南普陀寺(なんふだじ) 明代永楽年間(1403〜1424)創建の全国でも名高い仏教寺院で、すぐそばにはアモイ大学があります。3万uの広い敷地に天王殿や大雄宝殿、大悲殿など多くの建物で構成される建築群は壮観で、去年7月に修復されたばかりです。寺の裏の五老峰一帯にも多くの名所旧跡があり上ってお祈りをしました。大雄宝殿には四川大地震の寄付金を募る赤い横断幕が掲げられています。
天王殿大雄宝殿







コロンス島はアモイ島の西南に位置し、船に乗り5分のところにある。島の面積1.78平方km、楕円形の小島で海岸線の総延長距離は2km弱、23000人余りが生活している。1902年にイギリス、アメリカ、フランス、ドイツ、日本、スペイン、ポルトガル、オランダなどの共同租界地と定められ、領事館や病院、学校、教会などが建てられました。当時の建物は今日でもその多くが残されています。旧日本領事館は現在大学の寄宿舎として使われています。この島のピアノの保有率は全国のトップとして知られており、「ピアノの島」「音楽の島」とも呼ばれており、商店街の歩道には、ところどころに音符の記号が書かれたタイルがはめ込まれています。綺麗な砂のビーチ、手入れの行き届いた多くの公園、海と風によって育まれた巨石奇岩と美しい景観。
コロンス島では車の使用が制限されており、電動車に乗り20分、綺麗なビーチや異国情緒たっぷりの洋館、公園などを見ながらゆっくり日光岩の上り口まで移動する。

日光岩 コロンス島の最高峰・日光岩は海抜92.8m、直径40mを越える巨岩である。朝日が当たって光るから日光岩と言われている。岩の頂上に登ると多くの人たちで賑わっている。遠くを眺めるとアモイ島の街、眼下には美しいコロンス島の景色が目に飛び込んでくる。下りは別のルートで。大きな岩に「鷺江第一」(アモイには白鷺が多く生息していました)などが彫られたさまざまな刻石や日光岩寺、お土産屋さん、市場などを見ながら船着場まで来る。綺麗な公園のそばで一休み、涼しい風が心地いい。
日光岩に上る眼下には綺麗なビーチが


岩に刻まれた「鷺江第一」などの文字船から見た日光岩(中央)



アモイの西、永定県と隣接する南靖県は永定と並び、客家(はっか)が造った土楼(どろう)が数多いエリアになっている。
客家とはその昔、北の華北地方に住んでいた漢民族の一部の人たちで、遊牧民の侵略や争乱を逃れてこの南の地へ逃れ移住してきたと言われている。土楼は先住民などとの争いが絶えず外敵から身を守るため、長い年月をかけて造り上げた堅牢な集合住宅で、特徴的な居住スタイルを保っている。主な土楼には円楼と方楼があり、円楼は中庭を中心に同心円状に造られ、方楼は正方形など四角形のものを言う。
今回訪れた南靖(なんせい)土楼の円楼は入り口は一つ、外側を土壁で覆ったもので壁の下の方の厚さは2.5m、上にいくと1mほどで、現在10家族30人が居住している。お年寄りや子供が留守番をし、若い人たちはアモイやしょう州などに働きに行き、旧正月には戻ってくるそうだ。子供達が通う小学校は近くにあり、南靖県に中学・高校、大学は福州市や、アモイに行くそう。南靖の方楼は築150年で大分古くなり10人位の人が住んでいる。中国国民党の孫文や中国共産党のケ小平は客家出身者である。
今年4月にいい道路が開通し、アモイから客家までらくらく日帰りで行けるようになっている。

南靖の客家土楼:円楼の入り口内部は広い空間で共同利用スペース:3階建て


南靖の客家土楼:方楼方楼は四角い建物

南靖県の客家料理を賞味する。客家土楼は山間部に分布し、野菜や山菜が豊富で竹も多く、豚やアヒルが飼われている。肉団子のスープ、とうがんのスープ、じゃがいもや長いものスープなどそれぞれ手の込んだスープや山菜料理など、品数12品。美味しく食べやすい豊富な昼食でした。写真はその一部です。




福州市は福建省東部にあり福建省の省都で市内の人口700万人、沖縄の那覇市と姉妹都市である。今回の旅ではアモイから北へ260qを4時間で走行する。アモイから福州市に着くとまず大勢の人達に驚き、一度にバイクや車、自転車の数が増え、昔の中国そのままのようにみえ、それぞれの中国を実感する。福州は華僑の故郷として有名で、50以上の国と地域に250万人以上の人が福州出身の華人、華僑が暮らしているそうだ。

開元寺(かいげんじ) 548年に建立され福州市に現存する最古の仏教寺院の一つである。寺院内には804年に空海が訪れたことを記念して、日本人が1984年に建てた「空海入唐之地」と刻まれた石碑と空海像があります。また高さ5メートルで60tもある鉄製仏像や多くの文化財があります。
空海ゆかりの開元寺:大門空海像


西湖公園(せいここうえん) 282年より造られ始め唐代、宋代を経て1914年に西湖公園として開かれました。皇帝夫人や宮廷の人たちがよく散策に訪れていたとか。広さ15000平方mと広く、園内には動物園・博物館・展覧館などもある。湖の周りには柳の木が風情を作り、早朝は太極拳、夕暮れ時には市民の散策で賑わっている。
西湖公園の入り口池と柳が静かな空間と安らぎに


(update:2008/06/14)
旅の撮影:CASIO EXCILIM-Z40 デジタルカメラ


初めての中国は香港、2回目が北京、3回目が上海、4回目に20年ぶりに再度香港と大都市1箇所のみでしたが、5回目の今回は「丸ごと福建省5都市周遊の旅」をしました。
北京の紫禁城や天壇、天安門広場、万里の長城、上海の時速430qのリニアモーターカーや新幹線、ビルのライトアップ、香港の超高層ビル群、アモイの洋風建築やマンション群、客家土楼の集合住宅、・・・まだほんの一部しか知りませんが、中国はとても広く、都市によりそれぞれの歴史や街の情景、その中での人々の暮らしぶりなどが全く違うことを実感します。
今回四川大地震発生2週間後の旅行となりました。とにかく中国は広いので福建省は地震には何の影響もありませんでしたが、ホテルで見るテレビはCCTV放送のみ、そして地震関連の内容ばかりです。中国国民全体が遠いところの出来事、他人事でなく地震情報を見ているのでしょう。旅行中3日間は学校や会社が休みとなり、訪れた各地の寺院では赤い横断幕をかかげて義援金を募り、大勢の人たちがお参りをしていました。この旅行後記を書いていると、岩手・宮城内陸地震が起こりました。テレビで緊急地震速報を放送しています。どうか大きな被害がありませんように心配しています・・・
縁あって中国旅行が続きます。いろいろな中国を見て知って勉強してみたいとの思いがつのってきます。( write:2008.06.14)


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