今回は1989年にCanonから発売されたEOS RTを紹介します。 EOSシリーズの一眼レフ
ですが通常の一眼レフとは大きく異なる特長があります。 それは可動式のクイックリターンミラー
ではなくペリクルミラーという固定式のハーフミラーを採用したということです。 EOR RTのRT
はReal Timeの略で可動式のクイックリターンミラーの動きの必要のない分最少の時間差でシャッター
がきれるという意味のようです。 しかしシャッターとは別に遮光幕がありシャッターレリーズ
の際にはこの遮光幕を開放しその後にシャッターがきれるという動作を行います。 そこでEOS RT
では二通りの動作があり一つはシャッターボタン半押しでフォーカスを合わせ完全に押し込むと
遮光幕を開放しシャッターがきれます。 もう一つのRTモードでは半押しでフォーカスを合わせる
のと同時に遮光幕を開放し完全に押し込むとシャッターがきれます。 つまりシャッターの完全な
押し込みでシャッターをきるという動作だけを行うので最少の時間差でのレリーズとなるという
ものです。 ただし常にハーフミラーによりファインダーに一定割合で入射光を振り分けているので
フィルム面への光量が減ることになります。 しかしファインダー像が途切れることなく常に
見えているのは気持ち良いものです。 またプロにとってはレリーズの瞬間が見えていることは
レリーズ時の被写体の不測の動き等の確認ができることで事故を減らせるということのようです。
またカメラの機構ということを考えてみてもクイックリターンミラーを排除できることはいくつかの
利点があると思います。 例えば連写時のサイクル短縮に非常に有利であるし、ミラーを動かす
ことによる振動は全く発生しません。 しかし一眼レフカメラがすべてハーフミラー方式を採用
するということにはなりませんでした。 調べてみるとEOS RTがこの方式の最初のカメラでは
ありませんでした。 1965年にCanonからPELLIXという名前で発売していました。 またEOSの
フラッグシップ機であるEOS-1N RSとして1995年にこの方式のカメラが発売されました。
使用感ですが確かにクイックミラーの動きが無い分スムースですが音に関しては遮光幕の動作
があるので通常の一眼レフとほとんど変わらないと思います。 ファインダー像は途切れることは
ありませんがシャッターレリーズの瞬間設定値まで絞られるため一瞬暗くなります。 2008年の
感覚からするとかなりコンパクトな印象であるので大きくないレンズを装着して気軽に持ち出せ
ます。 私はCanonの一眼レフはEOS RTとT70しか所有していませんのでRTはEOSレンズの貴重な
プラットフォームです。
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