本年最後というより1900年代最後に紹介するのはレチナです。 ドイツコダック社が
戦前から製造していたカメラでライカに比較すると大衆機という位置付けであったようです。
シリーズの数も多く1960年代後半までに30種類以上の機種が存在しました。 本ページで紹介
するのはIIa型と呼ばれ距離計内臓のものでレバー巻き上げを採用した戦後に製造されたIIa型です。
基本的には蛇腹折り畳み式のクラップカメラということになります。 ご存知のようにレチナシリーズ
は距離計無しタイプ、距離計内臓タイプそして露出計内臓タイプがあります。 またレンズ交換可能
タイプがありこれらの組み合わせにより各種バリエーションが存在します。 そして蛇腹タイプの
最高峰に位置するのがIIIc型で距離計及び露出計を内蔵しレンズ交換を可能にした機種です。 現在の
クラシックカメラの世界でも人気機種であるようです。 私個人としてはIIa型がデザイン的にもコンパクト
で美しく機能的にもシンプルで一番好きな機種です。 今日使用する場合にも135フィルムがそのまま
使用でき距離計が内蔵されているのでピントの不安からは開放されます。 露出については現在の優秀な
カラーネガフィルムを使用する限り当時の人たちより良い条件であまり神経を使わずに撮影できます。 以前のこのページでも書きましたが蛇腹折り畳み式というのは収納時に非常にコンパクトになりますのでとてもすぐれた機構であると思います。 ただ距離計の組み込み、ボディーシャッターにするためにレンズ部とボディーとの連結を行う機構を設計するのが大変だったと思われます。 実際レチナシリーズもIIIc型を
最後に蛇腹機構を捨てリジッドボディーに移行しています。 レンズはコダック、シュナイダー、ローデンシュトック等良いレンズが装着されており中古価格もライカ等に比べてはるかに安く、実用性も高いのでクラシックカメラとしてとても手ごろなカメラだと思います。
前述のように気軽に使用できるカメラですが購入する時に一つだけ注意されたことがあります。 それは操作中にどこかが動かなくなった場合決して無理に動かそうとしてはいけないということでした。 IIaの場合フィルムを最後まで巻き上げたとき巻き上げレバーが途中で止まって動かなくなります。 ここで無理に巻き上げると巻き上げギアーを破損することになってしまうようです。 この部分の故障が一番多いそうで特に注意されました。 レンズはクセノン50mm F2と明るく露出計がついていないということを除けば現在でも実用機として十分使用に耐えると思います。 収納時には非常にコンパクトになりライカのように高価ではないので骨董品を扱う時のような気兼ねもいらずどこにでも持ち出せるカメラとしてとても気にいっています。
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