伸ちゃんのクラシックカメラページ


SPECIAL EDITION

VOL.4


最終更新日 : 1997年9月15日




NO.3A FOLDING POCKET KODAK MODEL B




今回はスペシャルエディションということでかなりクラシックなカメラを紹介します。 その名も"NO.3A FOLDING POCKET KODAK MODEL B"というイーストマン コダック社製の蛇腹折畳み式カメラでロールフィルムを使用します。 気になる製造年代ですが、裏蓋のパテント取得の最新の日付が1902年4月29日となっていますのでこの日付以降であると考えられます。 また手持ちの資料によるとこのカメラに連動距離計を付けたと思われる”3Aオートグラフィックコダックスペシャル”という機種が1916年に発表されたという記述があります。 したがってこのカメラが製造されたのは1902年から1916年までの間と想像されます。 日本の年号でいうと明治35年から大正5年の間ということになります。 このカメラの名称はさしずめ”折畳み式ポケットコダック”というところでしょうが、畳み込まれた状態で22cm x 12cm x 4cmありますので今の感覚からするとポケットカメラという名称は奇異な感じがします。 しかし、当時カメラといえばガラス乾板を使用する木製のいわゆる暗箱ということになるのでしょうから”最先端の超小型カメラ”であるということを前面に出したかったのだろうと思われます。
使用法ですが、まず使用時にレンズボードを前方に倒した前蓋の裏側にあるレールにそって指で引き出します。 ピント合せは目測で行いますが距離の目盛りが前蓋裏側の象牙と思われる白い板に刻まれています。 最小絞りはf4で倍々にf128まで絞ることができます。 レンズの焦点距離はしるされていませんが170mmから180mmであると考えています。 アメリカ製ですので公称7インチではないかと思われます。 シャッターは3段階でT,B,Iの設定が可能です。 因みにIモード時のシャッタースピードを実測したところ10回の平均で1/50秒-0.03EVという結果になりました。 これはJIS規格(+/-0.3EV)を楽々クリアーしています。 またバラツキも非常に小さなものでした。 レリーズはレンズ横にあるシリンダーにゴム球の付いた管を接続して空気圧で行う形式です。 このゴム球は付属していませんでした。 構図の決定はレンズボード正面右上にあるファインダーで行います。 このファインダーには水準器が付いており上から覗き込むタイプのものです。
尚、このカメラは私の所蔵品ではなく友人のT江氏がお知り合いのお蕎麦店のアンティークなインテリアとして購入したものです。 あまりにも年代が古く専用のロールフィルムを入手することも不可能ですが、やはりカメラは写真を撮るための道具ですのでなんとかして実際にフィルムを入れて動かしてやりたいと考えました。 さらにシャッタースピード測定の結果があまりにも優秀であったのでなおさら写真を撮らせてみたいと思いました。 オリジナルの有効画面サイズは14cm x 8.3cmですが4”X5”のフィルムをカットして1枚ずつ暗室でフィルムゲートに固定して撮影してみました。 大きなサイズなのでフィルムの平面性を保つのが難しそうでしたが思っていた以上に鮮明に写っていました。 製造後80年以上経っていると思われるのにちゃんと写真がとれるということ感動しました。 ただ今回の撮影が最後のご奉公だと思うとちょっと寂しい気がします。


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