歌合戦:出場歌手 松田聖子


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松田聖子:昭和55年~63年、平成6~8、11~13、22、25~令和2年

 昭和55年デビュー。 高校時代にもデビューのチャンスがあったが、父親の猛反対に遭い断念した(レコードデビューは高校卒業後)とか、わかりやすい名前ということで、世界的に有名な日本企業「マツダ」と「セイコー」から芸名が考えられたなど、いろいろデビューにまつわる話がある。

 レコードデビュー前から田原俊彦とともにNHKの若者向け歌番組「レッツゴー・ヤング」のレギュラーグループ、サンデーズとして活動。 当時の歌合戦出場のための要素の一つと言われた、「NHKへの貢献度」は絶大。

 さらにはデビュー2作目の「青い珊瑚礁」で早くもランキング番組のトップに立つなどヒットを連発。 その年の歌合戦で初出場というのも納得。

 第31回(昭和55年)初出場の歌合戦では、デビュー曲が大ヒットとなったサンデーズ仲間の田原俊彦との対戦。 2人ともやけに曲のテンポが速いが、田原俊彦はスクールメイツ、松田聖子はPLレザンジュ(バトンを使った踊りを得意として、当時よく歌合戦に出演していたチーム)をバックに従える当時のアイドルの王道。 本人もバックも、異様なスピードの中でよくがんばっている。 「青い珊瑚礁」は、音合わせでは普通のテンポだったため、イントロが聴こえてきた瞬間、松田聖子も「なんだよ、このスピードは?」と内心驚いたのではないだろうか。
 歌以上にがんばりすぎちゃった感があるのが衣装。 ここでお見せできないのが残念だが、「赤ちゃんフェチ向けのコスプレですか?」と思ってしまう。 個人的には、3回目まで残念な気持ちになる衣装が続くから、当時のスタイリストががんばりすぎていたのかな、と思う。
 がんばりすぎた衣装のせいで、いわゆる「聖子ちゃんカット」は「青い珊瑚礁」歌唱時には拝むことができない。 翌年の第32回(昭和56年)の時点では髪を短く切っており(まさに歌唱曲「夏の扉」の歌詞通り)、歌合戦において「聖子ちゃんカット」が見られるシーンは、彼女のパフォーマンスではなく、たとえば石野真子のパフォーマンス(サンデーズの一員として、バックでダンスを披露)など別なところになる。

 歌唱時間は初出場の年や2年目こそ短かったが、3回目以降はアイドルとしてはトップクラスの扱い。 そして歌唱時間と同じくらいNHKの扱いがよかったのが演出。
 第32回と第33回(昭和57年)は舞台の一部を舞台の幅いっぱいに少し持ち上げるという趣向。 第32回は彼女のミュージックビデオを流すテレビが横一列に並び「夏の扉」を、第33回は赤い風車が横一列に回転するその上で「野ばらのエチュード」を披露した。 これも文字での説明が難しいので、是非どこかで画像か映像を見ていただきたい。 第33回はNHKアーカイブスの番組公開ライブラリーへ行けば、視聴できるもよう。

 第34回(昭和58年)にはワイヤーでつるした三日月に腰かけて登場という当時としては画期的な演出が施された。
 リハーサルでは三日月に腰かけながら高い場所で歌うということに戸惑っていた様子。 歌っている最中に三日月が動くと「あーん、こわい」と歌どころではなく、本番が心配された。
 しかし、本番では紅組司会の黒柳徹子の「デビュー以来発売した15枚のシングルのうち、13枚がヒットチャートの1位を獲得」という彼女の偉業をたたえる曲紹介とともに三日月に腰かけて登場した彼女は、恐がる様子もなく堂々と「ガラスの林檎」を歌唱。 プロ根性か、それともリハーサルでの言動は演技だったということか。

 第35回(昭和59年)は噂のカップル対決ということで中森明菜近藤真彦松田聖子郷ひろみという曲順。 中森明菜近藤真彦はまだまだ初々しいカップルという感じ。 対して松田聖子郷ひろみは結婚間近とまで言われたくらいで、大人のカップル。 その割に衣装がまたがんばりすぎているんだが、「Rock'n Rouge」の歌唱は彼女の歌合戦におけるベストに近い出来。 イントロはオリジナルとほぼ同じテンポなのに、歌に入ると加速する謎のアレンジ。 それでも、よく歌番組で披露していた2コーラスのバージョンではなく、歌詞はおそらくフル。 ここでもNHKの彼女に対する扱いの良さがうかがえる。
 この年、NHKスタッフは松田聖子郷ひろみのカップルに「番組中に結婚宣言でもしてもらえたら最高」と考えていたらしい。 しかし、白組司会だった鈴木健二アナウンサー(当時)はリハーサルで二人の様子を見て「この二人は結婚しない」と思ったそうで、その通りに翌年早々二人は破局を発表する。

 郷ひろみと破局した同じ年に俳優・神田正輝と電撃結婚。 結婚後、しばらく芸能活動を休むが歌合戦には選ばれ、大晦日に久々にテレビに登場する。 第36回(昭和60年)、オープンカーに乗って登場という演出で「天使のウィンク」を歌唱。 歌詞を間違えて苦い顔。 この年もイントロから出だしのスローパートはオリジナルと同じか、むしろ遅いくらいのテンポ、アップテンポに変わるところで、いつも以上の加速を見せている。 謎というか、当時のNHKによく見られた手法か。

 昭和61年も出産と子育てのためテレビに登場したのは大晦日のレコード大賞(アルバム大賞受賞)と歌合戦くらい。
 この年の第37回歌合戦はステージ上の階段の上からゴンドラにのってゆっくり降りてくるという趣向で、アルバム収録曲の「瑠璃色の地球」を歌唱。 衣装にも気合いを入れ、きらきら光る糸をドレスの袖から幾重にも垂らし、間奏では両腕を広げて観客の拍手を促すものの、観客はほとんど反応せず、表情が微妙に険しくなる。
 NHKホールの観客からは、細い糸はほとんど見えなかったのかな?

 第36回、37回の出場に関しては「(テレビやコンサートで)活動していないのになぜ?」という声が新聞の投書蘭に掲載されたが、レコード売り上げだけでも出場資格は十分。 第38回(昭和62年)には本格的に活動を再開した上での、堂々の出場。 全国ツアーを行った関係か、珍しくバックバンドを従えて登場し、2年ぶりのシングルながら当然のようにシングルチャートの1位を獲得した「Strawberry Time」を歌唱。
 衣装はぶりぶり。 歌唱は…、本当に全国ツアーを行った歌手か?と思わせる残念な出来。 声に力がなく、伸びもイマイチ。 ライブ活動をしていなかった過去2年の歌合戦での歌唱の方がよほど声は出ていたし伸びていた。 体調が悪かったのだろうか。

 昭和63年はヒットの規模はだいぶ小さくなるものの、まだまだシングル連続1位更新中で、この年の第39回歌合戦では、春にリリースした「Marrakech」を披露。 このときの衣装がまた、全身光沢系の派手なドレスで、なんか「おかまバーのショータイム」のような。 この曲を披露するときはいつもセクシー系なデザインの衣装だったから、その延長と言えなくもない。
 でも、歌唱の方は前年の不調っぷりとは打って変わった安定ぶり。

 このまま順調に連続出場を重ねるかと思われた平成元年、彼女は海外進出を敢行し日本での活動が少なくなる。 デビューした昭和55年から続いていたシングル連続1位記録が途絶えたことも災いしたか(それでも2位だったが)、歌合戦の選考に漏れる。
 彼女は「日本での活動が少なかったから」と淡々とコメントしていたが、大手事務所から独立したことも関係しているのかなーと思ってしまう。

 平成2年の全米デビューがぱっとせず(それでも、ビルボードのHOT 100で最高54位というのは立派な記録)、日本での活動もぱっとしなくなった彼女。 ぱっとしなくなったとはいっても、それはシングルの話で、アルバムは依然としてTOP 10入りを続けていたが。 シングルの方も、平成4年の「きっと、また逢える」、平成5年の「大切なあなた」と主演ドラマ主題歌でTOP 10ヒットを飛ばし、すぐに第一線に復活する。 それでも5年間は歌合戦に出場していない。
 一説には過去の曲を歌わせたいNHKと新曲を歌いたい松田聖子の折り合いがつかなかったためと言われている。 ヒット曲がある年には新曲を歌わせてあげて。

 平成6年に久々にNHKの歌番組に出演し、「これは歌合戦復帰への布石か?」と思っていたところ、予想通り歌合戦の出場歌手に選ばれ、12月に発売した新曲「輝いた季節へ旅立とう」もヒットしたことから、この年の第45回歌合戦では、第2部トップバッター、ミラーボールから登場、5分近い「輝いた季節へ旅立とう」をフルコーラスという特別待遇で迎えられる。

 第46回(平成7年)は「ヒットメドレー」を披露。 「青い珊瑚礁」「時間の国のアリス」と2曲目までの選曲はよかったが、ラストの曲はあまりヒットしなかった(10万枚は突破したけど、彼女の実績からすれば小さなヒット)この年の新曲「素敵にOnce Again」。 「ヒットメドレーとは認めない」という意見も。 また、背中にテディ・ベアを背負ったぶりぶりの衣装が物議をかもす。

 第47回(平成8年)は彼女にとって初のミリオンセラーとなった「あなたに逢いたくて~Missing You~」を歌唱。 当日高熱による体調不良ということで、旦那が舞台袖で見守っていたそうだが、口パクなので歌唱には影響なし。
 そして、年明けには離婚を発表。

 平成9年にスケジュールの都合を理由に歌合戦を辞退した彼女は再び全米進出を企んでいたが、前回以上にぱっとせず。

 平成11年、ようやく日本での活動をメインにすることにした彼女はヒット曲はなかったものの歌合戦に復帰。 以降、平成13年まで当時のポップス系では珍しくなつメロを歌い続けた。
 第50回(平成11年)は歌合戦初披露となった「Sweet Memories」、第51回(平成12年)は「生歌では」歌合戦初披露となった「あなたに逢いたくて~Missing You~」、そして第52回(平成13年)は当時よく共演していた原田真二のピアノ伴奏でキーを下げつつテンポは若干上げつつ、歌詞は歌合戦では初めてのフルコーラスとなった「瑠璃色の地球」を披露。 当時の彼女の年齢でも違和感なく歌える、言ってしまえば無難な選曲。 「Sweet Memories」以外の、昭和50年代の数ある名曲が披露されなかったのが残念。 それはもう少し先のことになる。

 平成14以降はカウントダウンライブなどを理由に、再び歌合戦から遠ざかっていたが、第62回(平成23年)に娘・神田沙也加と共演し、カウントダウンライブ会場からの中継という当時としては離れ業で久々の歌合戦出場。
 ただし、歌唱曲はなぜか坂本九の「上を向いて歩こう」。 親子共演、しかも聖子なんだから、自分のヒット曲でよかっただろうに。

 第64回(平成25年)もカウントダウンライブ会場からの中継で「New Year's eve Special Love Song Medley 2013」と題して「あなたに逢いたくて~Missing You~」とクリス・ハートとのデュエットで「夢がさめて」を披露した。

 そして、第65回(平成26年)、ついにその時が。 年末恒例だったカウントダウンライブがなかったこともあり、出場決定あたりから噂されていたようだが、18回目の出場にして初の紅組のトリ。 しかも大トリ。 歌唱曲は名曲「あなたに逢いたくて~Missing You~」。
 しかし、大トリだったのに、紅組にとってめったにない大トリだったのに、トリのの方がメドレーで歌唱時間も長くよい扱いで、特に彼女の大ファンでない私も苦々しい思いをした。

 意外にも1980年代の名曲「赤いスイートピー」は歌合戦で一回も歌われていなかった。 第65回も、歌唱曲の候補として挙がっていたそうだが、若い層の人気がある曲として「あなたに逢いたくて~Missing You~」が選ばれたらしい。
 第66回(平成27年)に、ついに歌唱曲として「赤いスイートピー」が選ばれ、さらに2年連続の大トリを務めた。
 発売から33年。 キーも下がり、歌い方もだいぶ変わったが、フルコーラスでの歌唱となった。

 紅組勝利にも貢献したし、またカウントダウンライブに全力投球かと思った翌年以降も歌合戦への出場は続いている。 第67回(平成28年)の登場時間はもはや安定の終盤。 第64回でメドレーの2曲目として新曲は歌っているが、1曲メインでの新曲となると、第47回以来実に20年ぶりとなる、この年発表された「薔薇のように咲いて 桜のように散って」を、この曲を作ったX JAPANYOSHIKIのピアノ演奏と共に歌った。

 第68回(平成29年)は登場がやや早まって後半の初めの方。 この年はジャズアルバムやベストアルバムをリリースしていたので、ジャズアルバムに収録した他人の曲やベストアルバムから過去の曲を歌うと思っていたところ、「新しい明日」という聞きなれないタイトルの曲だった。 この年の歌合戦前後に放送されていたNHKドラマ「マチ工場のオンナ」主題歌。 松田聖子がNHKのドラマ主題歌を担当するのは初めてということで、何やら歌合戦で歌ってもらうことを想定してドラマ主題歌を依頼したような感もある。

 第69回(平成30年)は紅組の後ろから4番目と、また終盤での登場。 「SEIKO DREAM MEDLEY 2018」というタイトルで、昭和50年代のヒット曲「風立ちぬ」「ハートのイアリング」「天国のキッス」「渚のバルコニー」を披露した。
 その他、前半ではキッズショーで「切手のないおくりもの」を歌ったり、後半のトップバッターだったDA PUMPのバックで他の出場歌手とともに“いいね!ダンス”を披露するなど、要所に顔を出した。

 第70回(令和元年)と71回(令和2年)は紅組の後ろから2番目で登場。 すっかり終盤の顔である。
 第70回は「Seiko Best Single Medley」として、2年連続でヒットメドレー。 昭和59年の「時間の国のアリス」「Rock'n Rouge」、昭和56年の「チェリーブラッサム」「夏の扉」という4曲。 「チェリーブラッサム」は歌合戦初披露。 いつになく力のこもった歌唱で、聖子の根性を見た気がしたが、聖子ファンの中には「ディナーショー用に録音したボーカル」と主張する人も。
 第71回は「瑠璃色の地球 2020」。 国際宇宙ステーションから撮影した、まさに瑠璃色の地球の映像を交えての歌唱となった。

最終更新 2022年6月17日