のびゆく
ちえ
飽きるほど喧嘩するけど仲直り直ぐできるから安心をして
なまはげの住まう館に踏み込んで悪の末路の鬼知る赤子
汗疹した赤き跡だけ夏の果て見えぬ心も成長みたし
毎日は言葉覚える遊び場で得意になったパパ抱っこして
雪語る静かな夜に耳澄ます子は眠ろうとす智慧沁み込ませ
金木犀子の鼻先に匂い問う甘いとニヤリ美味しいと聞く
蝉の声じっと聞き入る子の重さ知恵また一つ蓄えたのだな
イヤイヤと地団駄踏む子に散る桜来年にはもう無い一こま
子が豆と言って食べてる干しブドウ近くもないが遠くもないか
初めての海の広さに恐れなし抱っこ抱っこと泣き怯える子
水溜り海と呼ぶ子の服は濡れ青き海原見せてやりたし
絵本とは違う巨像にぽかんとすあどけない顔胸に抱きしむ
雪解けの水の滴る屋根の下明るき外へと指差す子供
雷を怖がり耳を塞ぐ子を臍とられるぞとからかう楽しさ
目を盗み飾りの靴下まさぐる手サンタ信じる心のままに
つかいびと
異国にて静かな朝だ子供らが話してこない物足りないや
満月よ帰省の児らは恋しがり泣いていないか空から覗けや
おしめのみ服は着ないと逃げる子は青葉の風の上布まとうか
待ち切れず川に身投げた子供らは魚の匂い濡れた髪から
見て見てとウインクしながら近寄る子両目を閉じて得意顔する
ジャガイモを頭に掲げ得意顔大地がくれた君の王冠
添い寝にも芯から震え熱の子は頭カンカン温さ覚えず
雪の畑向こう岸まで泳ぎ着く身軽な子供に置き去られ
ジャガイモの如く何度も洗いおる汗疹の子らは夏に旅立ち
膝頭生傷絶えぬ子の走る速さにいつしか置いてけぼりで
土まみれ服真っ黒で膝に傷しこたま大地の印をもらって
昼寝時頭並べる子三人枕に置いた小さな西瓜
墓石を子の指先が洗ってるこそばゆく母笑いだすよで
寝ない子が布団の中でクスクスとおとぎの国の鬼とお話し
木の棒を武器と言い張り挑み来る子はどの国からの使ひ人
閻魔様信じる子の舌素直なれ恐れを知らぬ舌は禍
携帯の待ち受け冬の服のまま川に遊ばせその姿追う
首長いキリンは空に近いけど足もとの花君たちのものだ
逃げる子の爪を切りおり髪の毛は夏の匂いだ乾いた草の
青空を見上げるごとく君の目ものぞきこんでて飽きることない
手伝いか遊びだか分からぬ孫の手の水浴び眠れる母も笑いぬ
次々と花の名たずねる子供らの答えに窮す花の頃
おひさま
窓襲う風音激しき台風や怖がる子らを早く眠らせ
眠らない子の頭撫で子守唄祖母から母から君へと紡ぐ
抜けた歯がお金に変わる朝なりき金では買えぬ白き歯見えた
眩しくて目を開けぬとふざける子夏は確かに瞳を焼いた
兄たちと同じことする三男坊笑いも真似て煩さ三倍
君怒る言葉そのまま自分への叱咤であって厳しさが増す
パパパパとすがる子払いまたパパと呼ばれ嬉しく高々と抱く
団栗を見れば子供にあげようといつしかポケット膨らんでいる
体だけ立派な心無邪気さが抜けない子供困惑に泣く
あみだくじ三度外すも子は笑う日に焼けまだまだいいことあるさ
お祭りを楽しみにして飛び起きて早起き過ぎて二度寝の子
子供待つ夏の木陰や桜葉に虫食いの跡皆頑張っている
文字おぼえ最初の手紙はありがとう読めずも伝わる前衛の書だ
暖かき春の公園鬼ごっこ手伸ばす影に影繋がれた
おひさまの燃える力を子は宿す飛び起き騒ぎ枕に果てて
舌を出し雪待ち受けて食べた子が甘いと笑う手は冷たくも
カルタ取りひらがな知らずいた子らが正しき札に手伸ばす不思議
水遊び子供と同じ水を浴び服濡らし脱ぐ裸の童心
雨上がり虹取りたいと言う子らの求めに応じ自転車をこぐ
子を膝にもろこしの芽に誓いごと夏には一緒に美味しく食べる
店先で子は元気かと尋ねられ足跡残す君たちを知る
如雨露手に雨上がりの畑とうきびに水をやる子の律儀な仕事
卒園は花咲く温き日子は笑い涙耐えるは先生のみに
鼻水の子供が笑い頑張れパパと体の中に太陽もらった
空からの落下部隊や子のジャンプ落ちては上り上りては落ち
我先にケーキの蝋燭消している年取ることがまだ嬉しき子
走る顔ゆがませ健気さ隠さない運動会に胸熱くして
カメラでは記憶しきれぬ君の生取りこぼされた笑顔を惜しむ
膝小僧痣だらけの子一目散梅雨の晴れ間にドアを蹴り出る
黄の蝶が子守疲れの親代わり鬼ごっこしてくれありがとう
子が空というから見上げた冬の空いつにもまして青く思えた
日に焼けた顔は精悍小さくも男の子だと思う休日
真っ先に明るみめがけ駆けてく子太陽一杯に焦げて来い
すくすくと
走り出す子はその先を見てみたい何があるのか待ちきれないのだ
戻る日や遠のく車窓に黙る子ら別れゆっくり沁み込ませている
夏休み今は投げやり絵日記の故郷を君も思い出すかな
夏休み帰郷した子ら電話くれ陽ざしまみれで楽しむを知る
通知表兄弟同士の比べあいもっと上見て頑張ってくれ
ご機嫌な幼稚園児の盆踊り小雨ぐらいで鎮火出来ない
「暑いね」が挨拶となり子供らはプールに逃げる立漕ぎダッシュ
燕の子指さし見ている子供には夢に羽ばたく翼よ生えろ
親の目はもう気にもせず運動会ふざけなくなる一心を見る
子らは寝て帰れば三本恵方巻手巻きだ食べてとこれでもかと具
音楽会小学生の歌声は胸打つ強さだ木の芽膨らむ
一列に横断歩道を幼子ら手つなぎ仲良くいつまでも行け
夏休み帰省列車はにぎやかで成長した子ら待つ人運ぶ
日焼顔応援やまぬ運動会励まし合うこといつも続けよ
カゴのなか筍子供に見つけられ食べたくないと戻されている
躑躅色忍ばす蕾膨らんだ子供は虹色どの色選ぶ
星の降る夜の子供の瞳には3回唱える願い消えるな
寒空に薄着のままに汗ばむ子体に燃やす薪の潤沢
口ずさむ数多の歌に励まされ日々の暮しを希望と織りなす
甚平着てみたままつりにはしゃぐ子ら楽しい笑顔は何よりの供養
手作りの万華鏡から宙(そら)のぞく君のありたい錦に届け
眠る子の夢には入れぬ悪い夢見たら目覚めよここにいるから
一分咲き歓声の僕白ける子立場逆転花見時
ランドセル散らかる部屋にいつかなりもう二年生戸惑いもあり
怒られて兄になること求められ辛抱きかない涙の童心
目が合えばにやりと笑う愛嬌は人が和んでお前の武器だ
人の子に自分の子の顔重ねおり遠い旅空離れてあれば
ありがとう告げる言葉で目を覚まし言葉重ねる誕生日の朝
可愛い子旅をさせると送り出しキャンプにある子恋しがる母
水遊び日焼けの子供はいつからか魚の手足泳ぎ覚えて
子と上るのっぽのビルで君は聞くどれ高いビル? 君の居る場所
走り出し一目散の徒競走勝ち負けは無し無我夢中にて
明日何して遊ぼういつまでも眠らぬ子の歌話に笑い
母の日や三人の手にカーネーション競って渡す笑顔は四つ
春の月 確かに君を見ているよ 堂々として 君 愛されろ
智恵つめて大きくなれや一年生願い幾度も頭撫でおり
卒園す歯抜けの笑顔に包まれて別れを惜しむ挨拶尽きず
水鳥を追いかけ力め貸しボート信じて進む君のハンドル
子供らの歌う「大好き」「ありがとう」どれも心に素直に届く
仕事行く冬の朝なり目が覚めて子供に頬つけ二度寝の幸せ
兄たちと浮かれるままにクリスマスはしゃぎ歌いて寝ぬ子が一人
抱いた子の言葉足らずのわらべ歌真似て楽しや小春日の心
転んだら泣いて抱かれて母の胸やがて笑った柔き泣き場所
何時の間にランドセル背負う背となりぬ苦労でもあり楽しみの日々
ドア開ける寝ずに待つ子が飛び出して驚かせるや秋の夜更けに
おにぎりを握ってくれた子供いて一人の夜中歯の奥で噛む
初霜を踏む子供らの楽しくて吐く息白く機関車のごとし
陽だまりに笑ったままの雪だるま子供の楽しさ映したままに
心地よき重さだパパの背ぽかぽかと凭れる子乗せて春の自転車
お砂場で遊ぶ子供ら分かち合う玩具にシャベル仲良き楽しさ
冬の地に触れる子の手の温もりが蠢動誘う春目覚めよと
公園は虫にも子にも柔らかい枯葉を敷いた遊べや子供
この道は小さい命の通学路水仙群れて呼びかけている
つくし手にギュっと放さぬ子の笑顔春の便りを母に届ける
霜柱射抜いた足の小ささよ気色ばむ顔浮かんで可笑し
孫たちはその意味知らずはしゃぐのみ古希の思いは僕も計れず
最高で4回できた水切りの記録のばすと石選り抜く子
千切られたタンポポ三本捧げてる子供の見てる神に触れたし
ドナルドに私なるんだ本気だよ真剣な目だななれるといいね
三毛猫は外に逃げ出す子は足止める雨に濡れねば追えと言うのに
肩車される子供の肩濡らす冬の夕日の瞳優しく
一輪車乗る子は汗かき真剣に生に揺られる僕も真剣
初夏の風吹く後ついてく通学路風を抜き去る黄色い帽子
子が足で春風を蹴る自動車は宙を泳ぐかスイスイ進む
振り払う夕日に指先つかまれてしょげて家路につく子かな
夏の野に置き忘られし野球帽大人へ急ぐ子の脱ぎ捨てし
瞬きもせずに朝日に顔むける希望見つめてわらべの瞳
春の暮れ夕日に手を振る子が一人どこに帰るの明日会えるねと
泣き止まぬ子供の頭の母の手が夕日に光り泣きたくなって
昔日の後悔高ぶる冬の暮れ野球に笑う子に帰りたく
水溜り踏みしめ子供の泥だらけ自分の強さに得意げな顔
初夏の手の火照りをいやす川の瀬に石投げ飽きぬ子供心よ
鳥居から冬の日こぼれちょろちょろと走る子供の頭輝き
一心にペダル回してあかね空惜しくも夕日かなり速くて