風のささやき

泣き止まぬ子供の頭の母の手が夕日に光り泣きたくなって

何か不満なことでもあったのでしょうか
電車の中で泣き止まない
小さな子供を見かけました

その柔らかそうな
小さな頭の上には
ちょっと困ったような顔の
それでいてうっすらと微笑んでいる
母親の手がおかれていました

その手の指先が
車窓から差し込んでくる
冬の夕日に照らされ
静かに光っていました

あんな風に自分のことを
慰めてくれようとする
優しい手が自分の上にも
置かれていたことを思ったとき
そのありがたさと
今はそれを失っている寂しさとで
涙が誘われるようでした