風のささやき

春の暮れ夕日に手を振る子が一人どこに帰るの明日会えるねと

赤く空を染める春の暮れ
今まさに夕日が地平の向こうへ
帰ろうとしているところでした

それを見ていた小さな女の子が
さよならを告げているのでしょうか
小さな手を振っていました

子供にはさよなら言うことさえ
楽しいことなのでしょう
きっとまた明日
同じような生活が戻ってくることを
信じていられるから

いつの間にか自分の足もとの不確かさを
覚えてしまった僕の目には
その無邪気に手を振る様が
しばらく焼きついたままでした