風のささやき

夏の野に置き忘られし野球帽大人へ急ぐ子の脱ぎ捨てし

夏休みの終わった夏の野に
小さな野球帽が落ちていました
誰かが脱ぎ捨てたまま
忘れていってしまったのでしょうか

きっと帽子を濡らしていた汗も
風がすっかりと乾かしてしまい

手に取ると帽子は
随分と軽く感じられます
まるで大人へと急ぐ子供が脱ぎ捨てた
抜け殻のよう

もう誰も思い返すものは
いないのだろうなと思いました