吾日我が身を三笑す

煩悩日記

1999年8月

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8月30日

 二条の古本屋で長らく絶版のロラン・バルト「言語のざわめき」を発見。私は、ロラン・バルトのなんたるかを知らぬまま、彼のわかるようでさっぱり了解不能な文章とみすず書房の美しい装丁に魅了されている多くの人々の一人なので、迷わず買う(なんか英文の翻訳のような文章、、、)。

 ついでに見つけた岩波新書の「コンスタンティノープルの千年」(これも絶版)も買っておく。こちらはなんか、ビザンツマニア向けの娯楽本の様。つまり基礎知識なしで読むのは困難だが、ちょっとかじったくらいの人にはこたえられない内容。

 本を買いすぎて貧しくなったので、夕ご飯はコンビニのおべんと。涙、、、、
 

8月29日

 今まで遊んでいたため、締め切り間際の書類を抱えて朝まで研究室で過ごす羽目に、、、でも、日曜の早朝の町は静かで、涼しくて、さわやかで新鮮。いつもこんななら良いのに、、、(日中の京都はまだまだうだるような暑さ!助けて!)

 夕方にちょっと涼しくなってから街にでる。不注意から丸善によってしまい、洋書コーナーで読みもしない本をガサガサ買いあさることに、、、結局、かなりの散財となる。ほんとにどういうつもりなのかしら、、、
 

8月27日

 真夜中に「日の名残り」を読み終える。なんと、非凡な名作であった。

 中編小説でありながら、計算されつくされた短編小説のような巧緻な構成。抑制の利いた表現。執事である主人公の仕えた貴族が両大戦の間に果たした役回りが、世間でどう評価させるに至ったかが、主人公の口を通じ徐々に明らかにされていくのだが、そこに見せる著者のテクニックは絶妙である。

 もちろん、それは通奏低音であり、主題となる主人公を通して語られる女中頭との思い出は、現在という残酷な時制に向かいつつも、誰もが持つ一種の郷愁と喪失感を想起させる静かな結末へと導かれてゆく。

 ちなみに土屋政雄による翻訳が素晴らしい。良い翻訳者に恵まれるというのは貴重なことである。私が好む翻訳者は、独文では高橋義孝、大山定一、英文では朱牟田夏雄、仏文では山内義雄など。読書傾向と年齢がばれそうな選択ではあるけれど、実際はそれほど歳ではないよ、念のため。
 

8月26日

 カズオ・イシグロ「日の名残り」を読み始める。先日は「アムステルダム」を原語で読んだら数日かかってしまったので、今度は迷わず日本語訳を買った。今まで洋書コーナーにドーンと平積みされているのを見て、手に取ってはみたものの敬遠していたのだが、今回は文庫本で読みやすそうなので購入。
 

8月25日

 大学の研究棟の入り口でハイイロオオカミくんに出会う。すれ違う際に、かなり自然な笑顔をしてくれました。具合いいみたいです。

 ハイイロオオカミくんとは大学時代に色々なことをしてました。ある日に、アングラなビラを刷るために大学の寮の寂れた部屋で二人で輪転機を回していると、部屋の隅に放置されていたピアノを見つけたハイイロオオカミくんは、蓋を開けるとやおらバラバラとバッハパルティータを弾き始めたのでした。それも基礎のしっかりした完璧な弾き方で、、、

 アングラビラを刷る輪転機の音と、バッハのパルティータ。なかなかシュールな組み合わせでした。
 

8月23日

 夕飯を大学の近くの中華料理店で食べてると、見覚えのある人が店に入ってきた。私の大学時代からの親友のハイイロオオカミくんだ。彼に会うのは約2年ぶり。ハイイロオオカミくんは座る席をさがしてキョロキョロしてるので、私が手を振って合図する。私に気がついたオオカミくんは、明らかにうろたえて、とまどいながら私の前の席に座った(実際、その椅子が彼にとって一番近い椅子だったので逃げようもない)。

 ハイイロオオカミくんは、私と目を合わせないようにしながら、「今日は当直で、それを知らなくて、今、教室の人に食事の間だけ代わってもらって来てるんだ。だから、時間がないんだ。」とか、一方的に言い訳をはじめる。誰も「時間をくれ」とは言ってないのになあー。なにも仕組んでなんかないよー。

 ハイイロオオカミくんは16日付けで大学に呼び戻されたんだけど、なにやらあたりをうかがったりして、おびえている。大丈夫かなあー。心配。

 彼は非常に優秀であるけど、あまりに優秀な人にありがちでちょっと変わっている。よく彼を表現するのに「1を聞いて、10を知って、100妄想をする」と言ったのを思い出した。

 でも、中華飯と餃子を食べて、ちゃんとお金を払っていたし、普通の服を着ていたし、一般生活は大丈夫そう。今度、飲もうね。
 

8月21日

 明け方にかなり大きな地震で目が醒める。叔母も飛び起きている。良かったねー。つぶされないで。
 晩に用があって徹也くんと北山に出る。ずいぶんおしゃれな小物屋さんがいっぱい。このあたりに住んでいる徹也くんはいいなあー。とは言っても、彼はどのラーメン屋がおいしいかとかしか興味がないようでした。 
 

8月20日

 貸しCD・ビデオ屋さんに行って、ヒステリック・ブルーのアルバムと新しいシングル、そしてビデオは「アルマゲドン」を借りてくる。うーん、この選択は高校生だよー。

 夜に横浜から叔母(ぺーちゃん)が関西に仕事でやってきて、私のアパートに転がり込んできた。狭いので、悪いけど書斎?に寝ていただく。うずたかい本棚で両側を囲まれるけど、「関西はね。地震がないんだよー」とか言って納得していただく。でも、自分はしっかり物が倒れこまない所に寝てます(当然)。
 

8月18日

 夕食に一緒に出るためにMくんの研究室によってみた。彼の研究室のコンピュータのデスクトップにはアリーのフォルダがあって、そこには彼が寸暇を惜しんでインターネットで集めた、ありとあらゆるアリー(というかキャリスタ・フロックハート)のデータが蓄積されている(やれやれ)。彼はうれしそうにいろいろとアリーに関する動画ファイル(ニュース等々)を見せてくれる。「キャリスタ・フロックハートに恋人が!」とか「キャリスタは拒食症か?」とかなのだが、お腹の減っている私にはキャリスタの胃袋の具合より、これから自分達がどの定食屋に行くかの方が大問題なので、あんまり親身?に見られませんでした。ごめんね、カズちゃん(Mくんの名前)。

 夜中に徹也くんとインターネットで関連論文を検索する。彼が検索したデータを欲しいか?と聞くから、「あっ、よろしくー。プリントアウトしてー」と頼む。出てきたのはなぜか派手な丸秘のマーク入り。なぜ??徹也くんも「おかしいなあー。なんでかなあー」と不思議がっている。そんな設定にする人は誰もいないはず。それにインターネットの画面のプリントアウトなのに、、、(ワードのファイルとかならわかるけど、、、)マックだからだんだんお茶目な壊れ方をするのか?それともお茶目なウイルスなのかしら??
 

8月17日

 今日は、朝からトヨエツがチャネリングしていて、気分はトヨエツ。ただし理解のない世間からは単に気味悪がられただけでした。研究室の真紀ちゃんからは「誰かかわまたさんを止めてくださーい」とまで言われた。

 今日から、ともちゃんは最果ての島、波照間島(すごい!ATOKは一発で変換!)に旅出って行きました。名産の泡盛(「泡波」と言うらしい)を買ってきてくれー。
 

8月16日

 今日は京都の名物、五山の送り火の日。私のアパートから結構送り火が見えるので、研究室でお隣のたけしくん、奥さんのあさこさん、そして彼らの赤ちゃん(といってももう1歳7ヶ月。早い!)のむっちゃんが遊びにやって来てくれました。送り火を見てから(大文字と妙法と船が見えた)、冷房のかかった部屋で休む(まだまだ京都は暑い!)。

 しばらくしてむっちゃんが退屈してきたようなので、私がリナちゃんを見るために録画しておいた「おかあさんといっしょ」のビデオを見せようとテレビを付けると!おー、なんとトヨエツのドラマが始まっているじゃぁーありませんか!!あさこさんと私の悲鳴!たけしくんはなんだかわかっていない様子。すぐにその「おかあさんといっしょ」の入っているテープに上から録画!えーん、最初の20分、見損ねたー!

 なんかその後は一仕事したような気分になったので、みんなで「A」に行って飲んでました(かわいそうにむっちゃんも付き合わされました。1歳7ヶ月なのに、、、)。
 

8月15日

 カザフスタンにいる(元)同士ドラえもんより、メールをもらう。仲間内に送ってきた日記なのだけど、なかなか面白い。読んでみてね。(ここをクリック)
 

8月14日

 お盆休みで下宿周辺の定食屋は軒並み休み。寺町の三月書房の北隣にある台湾料理のお店(名物女主人のいる店)もお休み。仕方なく、二条を下がったスペイン料理の店に入る。

 そのちょっと変わった若夫婦のお店には、子連れの先客がいて結構にぎやか。聞こえてくるこの外国人訛りの日本語は、、、そう、そこにいたのは台湾料理店の名物おかみだったのです。うーん、この界隈、世間が狭いわ。

 古本屋で本を漁っているうちに大雨になってしまって動けなくなる。雨宿りした小物の店で(さして帰るための)傘とアイビーの苗を買って下宿に戻る。苗をベランダのプランターに植え替えようとするが、シャベルがない。部屋を見回すと、以前ニューヨークの蚤の市で買った打腱器(医者が膝を叩く、あれ)が。ハンマーのついている反対側が丁度、小型の鉢植え用のスコップに良い。初めて役にたちました、打腱器くん。
 

8月13日

 今日は朝からアルバイト。でもお盆間近なこともあって、お客さんが少なくて残業なしでした。いやあー、めずらしいです。でも、客商売なので終わるころには笑顔が貼りついちゃって、、、

 今日はなんと阪神がせり勝った、、、
 

8月12日

 昼過ぎに突然の雷雨。川端御池のエビス軒に逃げ込んで、怪しげなランチを摂りながら雨宿り。トタン屋根に落ちる雨の音(結構やかましい)を聞きながらの昼食もおつなもの?
 

8月11日

 M君と丸太町の「ザックバラン」で飲む。変てこなタイ料理?を注文するが、意外においしかったりした。珍しくおかしな客もいなかったし、、、(M君と私がそうだって?)

 そのあとM君は私の下宿にやってきて、変てこなスライドをスキャナーでスキャンしてました。近々、彼のHPに現れるのかな?
 

8月10日

 今日は京都地方に昼からスコールが降る。急に暗くなり、気がつくと全天が厚い雲に覆われて、滝のような雨。危うくずぶ濡れになるところでした。しかし、ものの30分もたたないうちに晴れ渡り、強い日差しが濡れた路面をすぐに乾かしてしましました。涼しかったのも一瞬のこと。

 「アムステルダム」を読み始める。昨年のブッカー賞を受賞した作品。英語文化圏ではあたりまえとされる古典などの引用が目立ったり、登場人物がお偉いさんばかりと、ちょっと鼻につくけれど、なかなか読ませるストーリーとしゃれた表現力です。おすすめ。
 

8月9日

 大学の生協に本の買いだしに行く。思いもかけず、平積みのコーナーに「アムステルダム」を見つける。英語版と翻訳があったけど、最近英語を読んでいないので、勉強のためと英語版を買う(私は志はいつも高い。実行を伴わないところだけが問題)。他に、岩波から出ていてずっと絶版だったラカン「フロイトの技法論」の下巻。上巻もまだ読んでいない(難しくて良くわかんない)のに買うあたり、学習してないなあ。

 その上、寺町で結構安くなっていたモバイルギアまで買っちゃいました(うれしくて今、それで書いている)。駄目だよねー。買い物でストレス解消したら、あとで大変なのに!
 

8月8日

 「タルコフスキーとルブリョフ」(落合東朗著)を読み終える。タルコフスキーが1967年に発表した、同じアンドレイの名を持つイコン画家、ルブリョーフの生涯を象徴的に描き出した「アンドレイ・ルブリョフ」について、映画にまつわるエピソードとロシアの文化的背景を織り交ぜながら分かり易く解説した好著である。

 タルコフスキーのこの作品は、彼の8つの作品の中で、日本人にもっともとっつきにくいものの一つであることは間違いあるまい。十数年前に友人に誘われるがまま、映画館に連れて行かれて初めて見た「アンドレイ・ルブリョフ」であるが、映像の意味が読みとれずに大いに困惑したのを覚えている。

 ノスタルジアサクリファイスといった後年の彼の作品でも繰り返して表現された水のイメージ、贖罪のテーマ。これらは一見その美しい映像に助けられて、あたかも共感可能であるかのような「錯覚」を与えはするが、はたして我々は何をわかったつもりでいるのだろうか?
 

8月6日

 今日は You've Got M@il のDVDの発売日。さっそく、買ってきてPCで見る。このDVDはPCで再生しようとすると勝手にお仕着せソフトをインストールしようとする。その上、PCによっては(私のPCを含む)その再生ソフトは全く動作してくれない!!(字幕の選択にはサウジアラビア?!のオプションがついている。でも機能しない)

 このDVDを再生しようとするたびに、使えないこのソフトをインストールしたがるし、すごーく不便!!!テスト的な変な(広告つき)ソフトはいれないでくれー!

 映画は良いのに。まったく。プンプン。聞くところでは、アルマゲドンのDVDもおかしいらしい。
 

8月5日

 今、研究室でホットな話題は、NHK教育の母と子のテレビタイムに出てくるリナちゃん!小学生低学年とおぼしき彼女は、非常に芸達者である上に、なにもかもをわきまえていて、すえおそろしい。なっとうネバネバを踊る彼女はまさにプロフェッショナル!さらにみんなで踊る場面では、幼稚園児たちをもり立てながら踊っている!

 徹也くん曰く、
「なんか、撮影終わったら、足組んでタバコを吸っていそう、、、」
 私、
「うん、それで幼稚園児を蹴ってたりして、、、」
 などと会話してしまいました。
でも、きっとリナちゃんはいい子に違いない!(とフォロー。ファンが多いし)
 

8月4日

 昔読んだマルクス・アウレーリウス自省録を本棚から引っぱり出して、岡本真夜を聞きながら読み始める。きっと、なにかつらいことがあったのね、、、
 

8月3日

 町で岡本真夜の新譜を買ってから、研究室に行く。昨日カナダから帰ってきた卓くん(まよまよファン)に、「いいでしょー、買っちゃった!」と自慢をする(子供か?)。岡本真夜が好きと言うと、「趣味がわるい」と言われるけれど、非常に良くわかる。私も以前は

「岡本真夜?げー、趣味が悪い!ああゆう思いこみの激しい曲、身の毛がよだつ」

と言っていたのだが、アラブ(アレキサンドリア)で一年間暮らしている最中に協力隊員の喜田くんにCDを借りて以来、岡本真夜の悪口を聞くごとに

「真夜ちゃんの悪口は言わないでーーー!」

と言うようになってしまった。アラブでなにがあったのか?
 

 「ピサネロ 装飾論」(杉本秀太郎著)を読み終えた。うーん、出だしは期待させられただけに、ちょっと詰めの甘い内容にはがっかり。でも、ピサネロについての類書は日本語ではほとんどないので、貴重な一冊ではある。

 夜、上洛中の叔母と前田豊三郎商店で飲む。以前より店の雰囲気は落ちたけれど(人気が出たため客層が悪くなった)、料理はなかなかでした。以前ボスと二人で、金日成死去の号外が舞っていた四条通りを木屋町に上がって、この店に飲みに行ったのを思い出しました。
 

8月1日

 バイト先で時間を見つけてポール・オースター「孤独の発明」を読む。7−8年、本棚に放り込まれたままだった本だけど、ムーン・パレスがおもしろかったので読むことに。若書きの本によく見られる青年期特有の甘い感傷と、詩人から出発した彼の詩的な散文が、うまく融合していて一級の著作に仕上がっている。ライプニッツとパスカルへのオマージュ。行間に見え隠れする若い著者の背伸び。

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