資料

1 論考
2 韓国独立後の条約
3 日本の植民地時代
4 国際法
5 欧米の返還政策


1 論考

五十嵐 彰「文化財を返すとは、どういうことか?」『中国文化財の返還 ― 私たちの責務』中国文化財返還運動を進める会(2022年8月1日)

森本和男「フランスがアフリカに文化財を返還 -各国で確実に進む返還の準備」(2022年6月)

森本和男「ブラック・ライヴズ・マターとモニュメント・文化財 -加速する脱植民地化の動き-」(2021年11月)

森本和男「フランスの文化財返還レポートから1年 -欧米の脱植民地化の流れと文化財-」(2020年4月27日)

森本和男「フランスのアフリカ文化財返還政策とその波紋」『韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議年報2019』No. 8(2019年5月1日)

慧門(ヘムン)「「不都合な真実」に再照射を -韓国文化財返還問題-」『東京新聞』2015年2月25日

荒井信一「文化財返還と植民地主義の清算」特別講演ソウル(2014年12月18日)

李 洋秀「日韓会談文書全面公開をめぐる裁判-2014.7.25東京高裁「判決文」の内容考察」2014年8月5日

森本和男「文化財の返還について -対馬の仏像問題解決に向けて- 」『考古学研究』第60巻第3号通巻239号(2013年12月)

オピニオン:観音菩薩坐像盗難事件『東亜日報』 2013年5月14日

早瀬晋三「『コロニアリズムと文化財-近代日本と朝鮮から考える』荒井信一(岩波新書)」KINOKUNIA書評空間、2012年11月6日

荒井信一「書評: 慧門著・李素玲訳『儀軌―取り戻した宝物』」『図書新聞』3075号、2012年8月18日

菊池勇次「【韓国】在外文化財に関する法案の審議動向」『外国の立法』2012.1

中内康夫「日韓間の文化財引渡しの経緯と日韓図書協定の成立」『立法と調査』No. 319(2011年8月)

阿部健太郎「『朝鮮王朝儀軌』と韓国の国外所在韓国文化財調査」『アジア情報室通報』第9巻第1号(2011年7月)

「特集 略奪文化財返還問題」『季刊 戦争責任研究』第72号(2011年6月)

五十嵐彰、森本和男「文化財返還問題の経緯・現状・課題」『日本考古学協会第77回総会 研究発表要旨』(2011年5月)

森本和男「文化財返還問題・日韓共同シンポジウム参加記」『考古学研究』第57巻第4号通巻228号(2011年4月)

中内康夫「日韓図書協定の作成経緯と主な内容」『立法と調査』No. 314(2011年3月)

佐藤創「イギリスにおける国立博物館の「入場無料」政策の維持と文化財返還請求をめぐって」海外研究員レポートIDE-JETRO(2010年11月)

岡内三眞「略奪文化財は誰のものか」『YOMIURI ONLINE、 教育×WASEDA ONLINE』(2010年6月)

金炯晩「韓日間文化財返還の国際法的問題」『国際法からみた韓日歴史問題』東北亜歴史財団(2008年1月)、279~311頁。

フィリップ・バケ(Philippe Baque)内藤あいさ訳「文化財略奪の現状を追う」『ル・モンド』(2005年1月号)

RAM LAB(北川、木原、攝津、田口、中谷)「「文化財略奪」の歴史を検討する」(2003年4月)

千惠鳳「河合文庫 韓国典籍」『泰東古典研究』第10集、(1993年12月)



2 韓国独立後の条約

図書に関する日本国政府と大韓民国政府との聞の協定(日韓図書協定、2010年11月14日調印)
 日本の菅直人首相と韓国の李明博大統領との首脳会談で、朝鮮半島由来の図書が日本から韓国に引き渡されることが合意された。両首脳の立ち会いで、前原誠司外相と金星煥(キム・ソンファン)外交通商相が日韓図書協定に署名した。返還の対象となったのは、宮内庁書陵部所蔵の朝鮮王室儀軌167冊、大典会通巻三1冊、増補文献備考99冊、奎章閣から持ち出された図書938冊、合計1,205冊である。
 日韓図書協定は、翌年の2011年に国会で批准が決議された。
第177回国会、衆議院外務委員会議事録、第9号(2011年4月27日)
第177回国会、参議院外務防衛委員会議事録、第11号(2011年5月26日)

朝鮮王室儀軌の返還運動


故李方子女史(英親王妃)に由来する服飾等の譲渡に関する日本国政府と大韓民国政府との間の協定(1991年4月15日調印、5月24日発効)
 李方子(イ・パンジャ、旧梨本宮家の長女、昭和天皇皇后の従姉妹)は、旧日本帝国と李王朝との宥和政策の一環として、1920年4月に李王朝最後の皇太子、李垠(イ・ウン)に嫁いだ。利方子は1989年4月にソウルで死去。協定で対象となった服飾類は、利方子の婚礼衣装や装身具など227点で、1956年に利方子が東京国立博物館に寄贈した。1990年に韓国側から返還を要請され、海部俊樹首相と盧泰愚大統領との会談で、返還が決まった。
第120回国会、衆議院外務委員会議事録、第11号(1991年4月24日)
第120回国会、参議院外務委員会議事録、第7号(1991年4月25日)


文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(1965年6月22日調印)
 日韓基本条約(1965年署名・批准)に付随する文化財関連の協定で、南朝鮮から日本へ移出された文化財の返還を定めた。陶磁器90件、考古学資料84件、石造物2件、図書30件、逓信関係品20件が返還された。
日韓基本条約の関係諸協定,文化財及び文化協力に関する日本国と大韓民国との間の協定,合意議事録(1965年6月22日)
 日本で私有されている韓国由来文化財の韓国側への寄贈を、日本政府は勧奨すると述べた。

日韓会談で韓国側が返還を想定した文化財
李 洋秀「日韓会談文書全面公開をめぐる裁判-2014.7.25東京高裁「判決文」の内容考察」2014年8月5日



3 日本の植民地時代

黄壽永(ファン・スヨン)編『日帝期文化財被害資料』韓国美術史学会刊、1973年刊行
 本書は、日本の植民地時代に朝鮮半島から持ち出された文化財の状況を広範に収集、詳細に記録した資料集。編著者の黄壽永氏は仏教美術の専門家で、韓国国立博物館館長、東国大学教授、同大学総長などを歴任。日韓会談では、韓国側の文化財返還交渉の実務代表者として活躍した。
 2014年に増補改訂版が日本と韓国で出版された。
 黃壽永:編、国外所在文化財財団:企画、李洋秀・李素玲:日本語訳
 『韓国の失われた文化財 増補 日帝期文化財被害資料』三一書房、2014年。

『朝鮮宝物古跡図録』朝鮮総督府(1938・1940年)
第一「仏国寺と石窟庵」(1938年)、第二「慶州南山の仏跡」(1940年)。

『古蹟調査報告』朝鮮古蹟研究会編(1934~40年)
 1931年8月に、総督府の外郭団体として朝鮮古蹟研究会が設立された。岩崎小弥太、細川護立などの民間の寄付金と、日本学術振興会、宮内庁、李王家の補助金ないしは下賜金などで運営された半官半民的な研究組織だった。
 調査の重点は、平壌や集安の高句麗遺跡におかれた。1933年に平壌府立博物館新館が開館すると、そこに朝鮮古蹟研究会平壌研究所が付設された。

朝鮮宝物古跡名勝天然記念物保存令(1933年8月9日勅令)
 旧日本帝国政府は、1930年から海外植民地で文化財保存を制度化していった。1930年に台湾で、日本国内の史跡名勝天然記念物保存法(1919年)が勅令で施行された。1931年には樺太(サハリン)で、史跡名勝天然記念物保存規程が公布された。1933年には朝鮮で宝物古跡名勝天然記念物保存令が公布され、同年に「満州国」でも古跡保存法が公布された。

『古蹟調査特別報告』全6冊、朝鮮総督府(1919~1929年)
 朝鮮総督府から刊行された朝鮮半島の遺跡、および東シベリアの人類学調査の報告書。

利川五重石塔の移送経緯(1918年)
 東京虎ノ門ホテル・オークラの前にある大倉集古館に、朝鮮半島中西部京畿道利川から移送された石塔がある。現在、韓国利川市の住民たちは、本来あった場所に文化財を戻して欲しいと返還運動を行なっている。

『古蹟調査報告』朝鮮総督府編(1917~37年)
 古蹟調査委員会を中心とした調査活動の成果。調査委員会は毎年度調査計画を作成した。委員の調査には、調査する物件、所在地、調査方法、日時などが、管轄する道長官および警務部長に通知され、現地調査では地方庁および警察署と協議して、なるべく憲兵または警察官の立ち会いを求めた。委員は詳細な報告書を作成して委員長に提出、委員長はこれを朝鮮総督に報告した。

古蹟及び遺物保存規則(1916年7月4日)
 1910年の韓国併合によって朝鮮総督府が設置された。1916年には遺跡・遺物を保存する法令が発出され、同時に古蹟調査委員会が設置された。朝鮮各地の文化財調査が展開されて、遺跡・遺物台帳が作成された。
 韓国併合に前後して、古墳の盗掘や乱掘、石塔・仏像の盗難が横行し、多くの文化財が市場に出回った。総督府としても等閑視できなくなり、保存制度が策定されたと考えられる。
 なお日露戦争後に日本の植民地となった中国遼東半島の関東州でも、同年(1916年)12月2日に「古蹟保存規則」が関東都督府から公布された。1919年に日本で史跡名勝天然記念物保存法が制定されたことを考慮すると、遺跡・遺物の保存法制の確立は、内地よりも外地の植民地で少し早かった。

『朝鮮古蹟図譜』全15冊、朝鮮総督府(1915~35年)
 1909年に韓国統監府統治下の韓国政府度支部建設所で、建築物の調査を東京帝国大学関野貞に依頼した。韓国併合後は総督府の事業として継続され、建築物以外にも様々な文化財調査が実施された。その成果として、朝鮮半島の遺跡(宮殿建築・古墳・廃寺・仏寺・石塔・石造物)、文化財(陶磁器・絵画・工芸品)の図譜(写真集)が総督府から刊行された。

『朝鮮古蹟調査略報告』朝鮮総督府(1914年)
1911年9月~11月と、12年9月~12月の2回に分け、関野貞、谷井濟一、栗山俊一によって実施された調査の報告。保存する古建築、遺跡、石塔、仏像などの価値を、甲、乙、丙、丁の4段階に設定した。

北関大捷碑の持ち出し(1904~1905年)
 日露戦争中に朝鮮半島から日本軍によって石碑が持ち出された。碑文には、豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、加藤清正の軍勢を撃退したことが記されていた。日本へ移送されてから100年後に、韓国を経由して北朝鮮に返還された。



4 国際法

文化財の原産国返還に関する国連決議
 文化価値の保存と将来的発展のため、文化財保護と返還に関する決議が、1972年12月18日に国連総会で採択された。それ以後、文化財を原産国へ返還する決議が国連総会で採択されている。

ユニドロワ条約(UNIDROIT)
盗取され又は不法に輸出された文化財に関する


文化財の不法な輸入、輸出及び所有権移転を禁止し及び防止する手段に関する条約(1970年)
(略称 文化財不法輸出入等禁止条約)
 2001年3月にアフガニスタンのバーミヤン石仏がイスラム原理主義組織タリバーンによって破壊された。また同年9月11日に同時多発テロ事件が起き、アメリカを主力とする有志連合諸国がアフガンを侵攻、アフガニスタンは戦場となった。
 その結果、バーミヤン石仏や壁画の残骸、その他多くの文化財が国外へ流出した。事態を憂慮した平山郁夫らが文化財保護を広く訴え、ようやく日本政府も文化財の不法輸出入禁止条約に加盟したのである。

武力紛争の際の文化財の保護に関する条約(1954年)
 第二次世界大戦で大量の文化財が略奪・破壊されたことを契機に、戦後ハーグで締結された戦時文化財保護の条約。
武力紛争の際の文化財の保護に関する議定書(1999年)
 その後ユーゴスラビア紛争など、新しく変化した国際情勢を踏まえて1999年に第二議定書が作成され、2004年に発効。日本は2007年に承認した。

ハーグ国際平和会議
陸戦法規慣例ニ関スル条約(1899年、1907年)
 戦争中に不必要な犠牲を避けるため、戦時国際法の条約が二回締結された。歴史記念物への砲撃回避が明記され、歴史記念物・美術品・文化財の押収や破壊の禁止、違反者への訴追が規定された。二回目は、より厳格となった。

リーバー規約(1863年)
 アメリカの南北戦争中に北軍に発令された戦争規則。その後の戦時国際法の基礎となった。芸術品、図書館、学術資料の攻撃回避、包囲地域での文化財保護が規定された。



5 欧米の返還政策

2021年の動向
森本和男「フランスがアフリカに文化財を返還 -各国で確実に進む返還の準備」(2022年6月)
2020年の動向
森本和男「ブラック・ライヴズ・マターとモニュメント・文化財 -加速する脱植民地化の動き-」(2021年11月)
2019年の動向
森本和男「フランスの文化財返還レポートから1年 -欧米の脱植民地化の流れと文化財- 」(2020年4月27日)
2018年の動向
森本和男「フランスのアフリカ文化財返還政策とその波紋」『韓国・朝鮮文化財返還問題連絡会議年報2019』No. 8(2019年5月1日)


フランス
フランスのマクロン大統領に提出されたアフリカ文化財返還政策
Felwine Sarr and Bénédicte Savoy,
『アフリカ文化遺産の返還 新しい倫理関係に向けて』2018年11月23日
The Restitution of African Cultural Heritage. Toward a New Relational Ethics (英語版)
Rapport sur la restitution du patrimoine culturel africain (仏語版)
レポート作成までの新聞記事


ドイツ
デジタル・ベニン
1897年にナイジェリアのベニン王国からイギリス軍によって略奪された文化財5,246点の世界的データベース
Digital Benin

ドイツ外務省 Federal Foreign Office
ドイツの博物館と施設にあるベニン青銅器の取り扱いに関する声明(2021年4月30日)
Statement on the handling of the Benin Bronzes in German museums and institutions(英語版)
Erklärung zum Umgang mit den in deutschen Museen und Einrichtungen befindlichen Benin-Bronzen(独語版)

ドイツ博物館協会(Deutscher Museumsbund)
『植民地的状況で得られた文化財の取扱いガイドライン』(3版)2021年2月
Guidelines for German Museums. Care of Collections from Colonial Contexts(英語版)
Leitfaden zum Umgang mit Sammlungsgut aus kolonialen Kontexten(独語版)
Guide consacré aux collections muséales issues de contextes coloniaux(仏語版)
出版案内:Guidelines on Dealing with Collections from Colonial Contexts

16州文化相による文化財返還の合意(2019年3月13日)
Framework Principles for dealing with collections from colonial contexts agreed by the Federal Government Commissioner for Culture and the Media, the Federal Foreign Office Minister of State for International Cultural Policy, the Cultural Affairs Ministers of the Länderand the municipal umbrella organisations(英語版)
Erste Eckpunkte zum Umgang mit Sammlungsgut aus kolonialen Kontexten der Staatsministerin des Bundes für Kultur und Medien, der Staatsministerin im Auswärtigen Amt für internationale Kulturpolitik, der Kulturministerinnen und Kulturminister der Länder und der kommunalen Spitzenverbände(独語版)

オランダ
政府声明/教育文化科学省:文化遺産を原産国に返還して不正を是正する(2021年1月29日)
Redressing an injustice by returning cultural heritage objects to their country of origin

文化審議会の植民地コレクション政策審議委員会の返還勧告
the Advisory Committee on the National Policy Framework for Colonial Collections
(the Council for Culture)
『植民地コレクションと不正認識に関する勧告』2020年10月7日
英文要旨
Colonial Collection and a Recognition of Injustice(英語版)
Advies Koloniale Collecties en Erkenning van Onrecht(蘭語版)
文化審議会の声明
Summary of report Advisory Committee on the National Policy Framework for Colonial Collections(英語版)
Toon bereidheid tot teruggave koloniale roofkunst(蘭語版)

世界文化博物館(NMVW、Nationaal Museum van Wereldculturen)
『文化財の返還:原則と方法』2019年3月7日
Return of Cultural Objects: Principles and Process, Nationaal Museum van Wereldculturen
コメント

ヨス・ファンビュールデン『信頼された手のもとにある財宝:植民地文化財の未来を交渉する』
博士論文、アムステルダム自由大学、2016年11月30日受理
van Beurden, J.M. ,Treasures in Trusted Hand: Negotiating the future of colonial cultural objects, PhD, Vrije Universiteit Amsterdam, 2016.


ベルギー
ベルギーの博物館学芸員や研究者たちのレポート
『ベルギーにある植民地コレクションの取り扱いと返還のための倫理原則』(2021年6月1日)
Ethical Principles for the Management and Restitution of Colonial Collections in Belgium(英語版)
Principes éthiques pour la gestion et la restitution des collections coloniales en Belgique(仏語版)
Ethische richtlijnen voor het beheer en de restitutie van koloniale collecties(蘭語版)

『王立中央アフリカ博物館の返還政策』
2020年1月31日館長諮問委員会で承認
Restitution policy of the Royal Museum for Central Africa(英語)


イギリス
発展のためのアフリカ財団
『イコンの返還 盗まれたアフリカ文化財の返還に関する主要問題と勧告』(2020年6月)
African Foundation for Development(AFFORD)
Return of the Icons. Key issues and recommendations around the restitution of stolen African artefacts


アメリカ
スミソニアン博物館の倫理的返還政策(2022年4月29日)
Values and Principles Statement


多国間
ベニン対話グループの声明(2018年10月19日)
Statement from the Benin Dialogue Group
コメント



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