歌合戦:戯言「もっと歌唱時間を」


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 結論から書きます。 もっと出場歌手の持ち時間を長くしたってください。

 歌唱時間の中で、第60回あたりの歌合戦では、出場歌手一組あたりの歌唱時間は2分30秒から3分くらいと書きました。 でも、なんかもっと短い歌手が多いような印象を受けます。 そこで、第47回(1996年、平成8年)から第66回(2015年、平成27年)の20年間で、歌唱時間がどう変わってきたのか(もしくは変わらないのか)調べてみました。

 文章もグラフも多くなりますので、お暇な方はよろしければおつきあいください。

 まずは、前準備として、放送時間と出場歌手(グループ)の数の推移を以下の図に示します。

放送時間と出場歌手数の推移のグラフ
 赤い折れ線グラフが放送時間、緑色の棒グラフが出場歌手数です。
ここで、出場歌手数は、歌唱時間を調べるため、NHKの公式資料とは異なる計算をしています。 複数の歌手が一つの歌を歌った場合や、複数の歌手の対戦相手が、一組の歌手だった場合は、一組にまとめています。 例として、第54回(2003年、平成15年)は森山良子夏川りみBEGINが「涙そうそう」をコラボレーションしましたので、これは一組としています。 別の例としては、第58回(平成19年)はAKB48リア・ディゾン中川翔子がそれぞれ持ち歌を歌い、最後に「なんてったってアイドル」で終わるメドレーを披露しましたが、対戦相手が米米CLUB一組なので、紅組も一組としています。
 放送時間は、近年は午後7時15分から11時45分まで、途中5分のニュースが入る4時間25分が多いですが、以前は放送開始が午後7時20分、7時30分、8時だったり、ニュースの時間が10分だったりして、多少上下しています。 第47回と第66回を比べると第66回の方が45分長くなっています。
 一方、歌手(グループ)の数を見ると、第54回(2003年、平成15年)と第56回(2005年、平成17年)の58組が、ここでのデータ上は最多で、最小は第61回(2010年、平成22年)の44組です。 44組(紅組・白組各22組)だったら、午後9時放送開始だった頃とあまり変わらない数です。 NHKのデータとしては、第54回と第56回はそれぞれ62組、60組となっていますが、上に述べた理由で、ここではいくつかの歌手を一つにまとめています。 よって、ここではこの2回が最多で58組としています。
 放送時間が長いほど出場歌手数が多いというわけではなく、44組から58組の間にいます。 第47回は50組、第56回は51組と、放送時間は長くなっているのに、歌手数はほとんど変わりません。

 では、放送時間が長いと、歌唱時間は長くなるのか? まずは各年の放送時間にしめる全出場歌手の持ち時間(歌唱時間)の推移を下の図に示します。

放送時間にしめる全歌手の持ち時間の関係
 赤い線が放送時間、青い線が出場歌手の持ち時間の合計時間になります。 ここでいう持ち時間は、自分の歌唱順での時間のみを意味するものとします。 ショーコーナーや、が司会を務めていた頃によく別枠で歌っていた「ふるさと」の歌唱時間は含みません。 なんか、最近(2000年代後半あたりから)放送時間の割に、全歌手の持ち時間の合計が減っているような…。
 グラフの描き方を変えてみます。 各年の放送時間を100%として、全歌手の持ち時間が締める割合を棒グラフで示したものが下の図になります。 差を強調するために、縦軸は一番小さくて50%としています。
放送時間にしめる全歌手の持ち時間の割合
 やっぱり、だんだん持ち時間は減っているように見えます。 第47回は75%を超えていた割合が、近年は60%に届かないことが多いです。
 過去20年で最も歌唱時間の割合が少なかった第65回(2014年、平成26年)は放送時間に対する歌手の歌唱時間は55%でした。 残りの時間で何をやっていたかというと、「妖怪ウォッチ」関連の2曲や特別企画枠での「アナと雪の女王」のイディナ・メンゼルや中森明菜サザンオールスターズの中継です。

 歌手一組あたりの持ち時間はどうなのでしょう。 各年の一歌手あたりの平均歌唱時間と、歌唱時間の中間値の推移を下の図に示します。

平均歌唱時間と歌唱時間の推移
 赤い線が平均歌唱時間、青い線が歌唱時間の中央値です。 平均歌唱時間は、単純に全歌手の歌唱時間(持ち時間)を足し合わせて、歌手数で割った時間です。 歌唱時間の中央値とは、歌唱時間を長い順に並べて、真ん中にあたる歌手の歌唱時間です。 平均歌唱時間は、近年になってもあまり短くなっていませんが、中央値の方が徐々に短くなって、その差が開いているようです。
 平均値は第66回(2015年、平成27年)でも3分5秒と3分を超えていますが、中央値は2分42秒でした。 一部の歌唱時間の長い歌手に引っ張られる形で、平均時間は余り変わっていませんが、その他の歌手の歌唱時間は短くなっているようです。 正直、第66回の中央値が2分42秒だったことも驚きでした。 もっと短いと思っていました。

 最後に、第47回と第66回で、歌手の歌唱時間の分布はどんな感じだったのかを見てみます。 最初に示す図が、第47回(1996年、平成8年)の歌唱時間の分布です。

第47回(1996年、平成8年)の歌唱時間ごとの歌手数の分布
 短い歌手で2分30秒から40秒の間、長い歌手で4分40秒から4分50秒の間ですが、3分から3分30秒あたりの歌唱時間の歌手が多くなっています。
 次に、第66回(2015年、平成27年)の歌唱時間の分布です。
第66回(2015年、平成27年)の歌唱時間ごと歌手数の分布
 歌唱時間が短い歌手(2分から3分)と、長い歌手(4分40秒以上)で2極化しているように見えます。 2分30秒未満の歌手が22組もいますし、2分10秒未満に絞っても8組いますので、「1番だけ?」という歌手が増えた気がするのも、気のせいではないようです。 そして、歌唱時間が4分を超える歌手も10組(20%くらい)いますので、歌唱時間の平均値が3分を超えていることに加え、中央値も2分42秒と思ったより長い時間になったようです。

 各年の分布は別途こちらに載せておきますので、興味がありましたらご覧ください。 最初に書いた「第60回あたりの歌合戦では、出場歌手一組あたりの歌唱時間は2分30秒から3分くらい」は正確ではなく、2分20秒から2分50秒が一番多かったようです。
 そして、第47回(1996年、平成8年)が過去20年の中で一番歌唱時間のバランスがよかった年で、さらにさかのぼると、また短い歌手と長い歌手の差が大きい時期があったりするのですけど。 第41回(1990年、平成2年)から第46回(1995年、平成7年)くらい。

 最後にもう一度。 せっかく放送時間が長いのですから、もうちょっと歌唱時間を長くしてくだせぇ。 グラフを見る限り、歌唱時間の長い歌手を減らさなくても、1番だけとか2分くらいの歌唱時間の歌手を減らせそうなので。

最終更新 2021年8月14日